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3、違和感
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答えがでないまま、ぐるぐる悩んでいると、ケイトから今日はミシェルと会う約束していた日だったと聞いて、内心驚く。
ーーい、いきなり直接対決、か。
思わず出た冷や汗に生唾を飲むと、怪訝な顔をするケイトに「何でもない」と言って、身支度の手伝いを頼んだセレス。
ちょうど支度が終わった頃、「ミシェルがやって来た」と伝えてきた侍女。
内心、ひどく緊張。
緊張と動揺を何とか表に出さないように、ミシェルが待つ応接室に向かった。
廊下を一歩一歩歩く度に大きくなっていく心臓の音。
ーーまさしく口から心臓が飛び出しそうって、この事を言うんでしょうね。
応接室に入ると、優雅に紅茶をすするミシェルが目に入る。
そのあまりに華麗な姿とヒロインに出会えた事に思わず感動で泣きそうになってしまう。
変なことを口走ってしまわないように口元を押さえていると、ミシェルがこちらに気付く。
セレスを見た瞬間、パッと嬉しそうな愛らしい笑顔を浮かべると、
「セレス~」
と嬉しそうに駆け寄ってくる。
ーーくーーーーっ。
何とかセレスを保ち、
「待たせてごめんね?」
と謝ると、「全然」と笑うミシェル。
私はその眩しい笑顔にノックアウトされかけてしまった。
「どうかした?」
首をかしげるミシェルの可愛さに内心やられながらも、何とか平静を装ってテーブルについたセレス。
そっとミシェルを伺いながら紅茶を飲むと、
ーー確か、アルフレッドとのことを相談されるんだったよね?
ーー最近、忙しくて会えないから、不安だとか何とかって。
小説の内容を思い出してると、言いにくそうにしていたミシェルが、
「ーー最近、王太子殿下と騎士団長様から言い寄られて困ってるの」
「そうそう王太子と騎士団長に言い寄られ……て、ん?」
予想外の話題に面食らってしまうセレス。
ミシェルを見ると、困ってると言いながらも、どこか嬉しそうにも見えるそわそわとした様子に理解が追い付かず、思考が停止してしまう。
「セレス?」
不安げに見つめてくるミシェルの表情は、変わらずまっすぐで純粋な感じ。
小さく首を振って息を整えると、
「えっと、お二人から誘われたりとか何か特別なお言葉を貰ったの?」
念のため、誰に聞かれているかわからないので、やんわり言葉を濁すように聞き返すと、
「まだハッキリとお言葉を貰った訳じゃないけど、でも、あの熱い眼差しは……」
そういって恋する乙女のように溜め息を吐いたミシェル。
私は呆然としてしまった。
ーーどうしてミシェルが他の男への興味をしめすなんて、しかも複数……
小説の中のミシェルは一途だった。
勿論、親切や優しさと言った軽い好意を示すことはあった。
でも、この好意はただの好意ではない。
恋慕が混じってる。
私は目の前に座ってる生身のミシェルと小説の中のヒロインであるミシェルとの間に違和感を感じてしまうのだった。
ーーこれは、ただ現実と小説の違いだけなのだろうか。
それともーーー
「セレス?」
不思議そうにしている目の前のミシェルからは、邪な気配は伝わってこない。
目を閉じて、もう一度、小説の中のミシェルのことを思い浮かべてみる。
ゆっくりと目を開けてみて、目の前に座るミシェルを見つめてみる。
やはり、邪な気配は感じない、か。
ただの現実と小説の違いってことだけなのか。
気付かれないように息を吐いたセレス。
ーーこの違和感をどうするべきか。
「ねえ、どうしたら言いと思う?」
悪気なく質問を続けてくるミシェルに、
「もう少し様子を見ては? ただの親切心かもしれないし、特別な想いだったとしても伝えてこないうちは礼儀として気付かないフリをしてあげるのがいいのでは?」
あくまでもヒロイン·ミシェルへのアドバイスとして、悪くなってしまわないように答えたのだった。
ーーい、いきなり直接対決、か。
思わず出た冷や汗に生唾を飲むと、怪訝な顔をするケイトに「何でもない」と言って、身支度の手伝いを頼んだセレス。
ちょうど支度が終わった頃、「ミシェルがやって来た」と伝えてきた侍女。
内心、ひどく緊張。
緊張と動揺を何とか表に出さないように、ミシェルが待つ応接室に向かった。
廊下を一歩一歩歩く度に大きくなっていく心臓の音。
ーーまさしく口から心臓が飛び出しそうって、この事を言うんでしょうね。
応接室に入ると、優雅に紅茶をすするミシェルが目に入る。
そのあまりに華麗な姿とヒロインに出会えた事に思わず感動で泣きそうになってしまう。
変なことを口走ってしまわないように口元を押さえていると、ミシェルがこちらに気付く。
セレスを見た瞬間、パッと嬉しそうな愛らしい笑顔を浮かべると、
「セレス~」
と嬉しそうに駆け寄ってくる。
ーーくーーーーっ。
何とかセレスを保ち、
「待たせてごめんね?」
と謝ると、「全然」と笑うミシェル。
私はその眩しい笑顔にノックアウトされかけてしまった。
「どうかした?」
首をかしげるミシェルの可愛さに内心やられながらも、何とか平静を装ってテーブルについたセレス。
そっとミシェルを伺いながら紅茶を飲むと、
ーー確か、アルフレッドとのことを相談されるんだったよね?
ーー最近、忙しくて会えないから、不安だとか何とかって。
小説の内容を思い出してると、言いにくそうにしていたミシェルが、
「ーー最近、王太子殿下と騎士団長様から言い寄られて困ってるの」
「そうそう王太子と騎士団長に言い寄られ……て、ん?」
予想外の話題に面食らってしまうセレス。
ミシェルを見ると、困ってると言いながらも、どこか嬉しそうにも見えるそわそわとした様子に理解が追い付かず、思考が停止してしまう。
「セレス?」
不安げに見つめてくるミシェルの表情は、変わらずまっすぐで純粋な感じ。
小さく首を振って息を整えると、
「えっと、お二人から誘われたりとか何か特別なお言葉を貰ったの?」
念のため、誰に聞かれているかわからないので、やんわり言葉を濁すように聞き返すと、
「まだハッキリとお言葉を貰った訳じゃないけど、でも、あの熱い眼差しは……」
そういって恋する乙女のように溜め息を吐いたミシェル。
私は呆然としてしまった。
ーーどうしてミシェルが他の男への興味をしめすなんて、しかも複数……
小説の中のミシェルは一途だった。
勿論、親切や優しさと言った軽い好意を示すことはあった。
でも、この好意はただの好意ではない。
恋慕が混じってる。
私は目の前に座ってる生身のミシェルと小説の中のヒロインであるミシェルとの間に違和感を感じてしまうのだった。
ーーこれは、ただ現実と小説の違いだけなのだろうか。
それともーーー
「セレス?」
不思議そうにしている目の前のミシェルからは、邪な気配は伝わってこない。
目を閉じて、もう一度、小説の中のミシェルのことを思い浮かべてみる。
ゆっくりと目を開けてみて、目の前に座るミシェルを見つめてみる。
やはり、邪な気配は感じない、か。
ただの現実と小説の違いってことだけなのか。
気付かれないように息を吐いたセレス。
ーーこの違和感をどうするべきか。
「ねえ、どうしたら言いと思う?」
悪気なく質問を続けてくるミシェルに、
「もう少し様子を見ては? ただの親切心かもしれないし、特別な想いだったとしても伝えてこないうちは礼儀として気付かないフリをしてあげるのがいいのでは?」
あくまでもヒロイン·ミシェルへのアドバイスとして、悪くなってしまわないように答えたのだった。
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