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6、セレスティーヌの決意
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ミシェルを見送って部屋に戻ると、ふと自分の手が意思に反して酷く震えているのに気付く。
「ーーな、何……これ……」
落ち着こうと、ふらふらと椅子に近付くと椅子に座る前にその場に腰が抜けたように座り込んでしまったセレス。
「……なん、で」
それでも力が入らず座り込んでいると、お茶を用意して部屋に入ってきたケイト。
椅子のそばで座り込むセレスの姿を見て驚きの声をあげて、駆け寄ってくる。
「お嬢様!? どうかなさいましたか?」
ケイトの手を借りながら椅子に座ると、
「……何でもないわ。お茶頂ける?」
とようやく答えることができたのだった。
心配そうな表情のままお茶を用意するケイトを見つめながら、ボーッとしていたセレス。
テーブルに運ばれた紅茶を一口飲んでようやく落ち着いてきて、そっと息を吐いているのを見たケイトは何も言わずに部屋を出ていく。
ケイトが部屋を出た瞬間、淑女モードが切れてそのまま頭を抱えてしまう。
「……一体何が起きてるの……」
そんなセレスの呟きに答えるものはなく、静けさだけが伝わってくる。
自分が小説の中に転生しただけでも異常なことなのに、さらに理解不能なことが起きてしまい、思わず髪をくしゃくしゃとかきむしってしまう。
自分以外にも転生者がいるかもしれない
ーーいや、
憑依者のパターンかもしれない
ーーもしかしたら、
自分が本の世界に転生したことで、普通の登場人物に変化が起きたかもしれない
自分のせいで異変が起きてしまったのかもしれない
そんなマイナスな自分を追い込むような考えにさらに頭を抱えてしまう。
「ーーー違う。私が悪いとは限らない」
とりあえず、心を落ち着かせるためにも私は思っていた疑問を口にしていった。
「もしも、今のミシェルが転生者だった場合、果たして彼女は味方なんだろうか?」
「どんな思いでこの世界にいるのだろうか?」
「この世界が小説だってことには気付いているのだろうか?」
「この世界が小説『光の果てに』だってことに気付いているのだろうか?」
「小説『光の果てに』が好きだったのだろうか?」
「この世界の事に気付いて、どう生きるべきか決めたのだろうか?」
「王道ハッピーエンドを目指しているのだろうか?」
ーーいや、
「純粋に小説『光の果てに』 が好きでこの世界を謳歌しているだけなのか?」
「それとも」
そこまで口にすると、こめかみに汗がたらりと一滴、
「まさかただのハッピーエンドだけでなく、乙女ゲームかのようにハーレムエンドでも目指しているのだろうか?」
今日会ったミシェルがアルフレッドではなく、王太子や騎士団長のことをうっとりと話していた様子を思い出す。
「ーーーーもしそうならば」
ミシェルはハーレムエンドを目指す転生者かもしれない
その言葉を口にすることはできなかった。
実際に口にしたら、そこでフラグがたってしまうような気がして言えなかった。
ほとんど冷めてしまった紅茶を一口飲んで落ち着こうとする。
ティーカップの紅茶に写る不安そうに青ざめた自分の姿。
ーーハーレムエンドーー
つまり、攻略対象の男たちを……ううん。
もしかしたら、登場人物のイケメンたちすべてを手に入れたいと思っているのかもしれない。
「まさか」と言いたいところだけど、あの時のミシェルの様子からして、まったくない可能性なのかもしれない。
冷たくなった紅茶を一気に飲み干す。
「………ミシェル、本当にあなたは……そうなの?」
すべての悪い考えを吐き出したセレスは、「それでも」とほんのわずかな希望に願いを託す。
そして、それと同時にセレスは「生き残る道」を模索する。
ーーーどうすれば生き残れるのか。
「まずは小説の内容をできるだけ細かいところまで思い出さないとーー」
そう言いながら、机の棚から紙とペンを取り出すと、インクをつけながら本の知識を思い出せるだけ書いていく。
特に登場人物関係やこれから起こるはずの事件関係。
「うーーーん。あと何だったかな?」
数枚分書き出したところで、改めて思い出そうと記憶をひねり出す。
「とりあえずこれくらいかしら?」
数十枚書き出したのを軽く見直してみる。
「ーーーとりあえずはこんなところね。あとは思い出した時にメモすればいいわね」
書き出した紙を見ながら、どうすればいいかと考えてみる。
「………やっぱり、誰か強い味方を作るべきね。できれば多ければ多いほど、地位が上であればあるほどに」
少し考え込んでいたセレス。
「やっぱり、あの人を味方につけるべきか」
決意を固めて、セレスはあの人物と接触してみようと考えるのだった。
「ーーな、何……これ……」
落ち着こうと、ふらふらと椅子に近付くと椅子に座る前にその場に腰が抜けたように座り込んでしまったセレス。
「……なん、で」
それでも力が入らず座り込んでいると、お茶を用意して部屋に入ってきたケイト。
椅子のそばで座り込むセレスの姿を見て驚きの声をあげて、駆け寄ってくる。
「お嬢様!? どうかなさいましたか?」
ケイトの手を借りながら椅子に座ると、
「……何でもないわ。お茶頂ける?」
とようやく答えることができたのだった。
心配そうな表情のままお茶を用意するケイトを見つめながら、ボーッとしていたセレス。
テーブルに運ばれた紅茶を一口飲んでようやく落ち着いてきて、そっと息を吐いているのを見たケイトは何も言わずに部屋を出ていく。
ケイトが部屋を出た瞬間、淑女モードが切れてそのまま頭を抱えてしまう。
「……一体何が起きてるの……」
そんなセレスの呟きに答えるものはなく、静けさだけが伝わってくる。
自分が小説の中に転生しただけでも異常なことなのに、さらに理解不能なことが起きてしまい、思わず髪をくしゃくしゃとかきむしってしまう。
自分以外にも転生者がいるかもしれない
ーーいや、
憑依者のパターンかもしれない
ーーもしかしたら、
自分が本の世界に転生したことで、普通の登場人物に変化が起きたかもしれない
自分のせいで異変が起きてしまったのかもしれない
そんなマイナスな自分を追い込むような考えにさらに頭を抱えてしまう。
「ーーー違う。私が悪いとは限らない」
とりあえず、心を落ち着かせるためにも私は思っていた疑問を口にしていった。
「もしも、今のミシェルが転生者だった場合、果たして彼女は味方なんだろうか?」
「どんな思いでこの世界にいるのだろうか?」
「この世界が小説だってことには気付いているのだろうか?」
「この世界が小説『光の果てに』だってことに気付いているのだろうか?」
「小説『光の果てに』が好きだったのだろうか?」
「この世界の事に気付いて、どう生きるべきか決めたのだろうか?」
「王道ハッピーエンドを目指しているのだろうか?」
ーーいや、
「純粋に小説『光の果てに』 が好きでこの世界を謳歌しているだけなのか?」
「それとも」
そこまで口にすると、こめかみに汗がたらりと一滴、
「まさかただのハッピーエンドだけでなく、乙女ゲームかのようにハーレムエンドでも目指しているのだろうか?」
今日会ったミシェルがアルフレッドではなく、王太子や騎士団長のことをうっとりと話していた様子を思い出す。
「ーーーーもしそうならば」
ミシェルはハーレムエンドを目指す転生者かもしれない
その言葉を口にすることはできなかった。
実際に口にしたら、そこでフラグがたってしまうような気がして言えなかった。
ほとんど冷めてしまった紅茶を一口飲んで落ち着こうとする。
ティーカップの紅茶に写る不安そうに青ざめた自分の姿。
ーーハーレムエンドーー
つまり、攻略対象の男たちを……ううん。
もしかしたら、登場人物のイケメンたちすべてを手に入れたいと思っているのかもしれない。
「まさか」と言いたいところだけど、あの時のミシェルの様子からして、まったくない可能性なのかもしれない。
冷たくなった紅茶を一気に飲み干す。
「………ミシェル、本当にあなたは……そうなの?」
すべての悪い考えを吐き出したセレスは、「それでも」とほんのわずかな希望に願いを託す。
そして、それと同時にセレスは「生き残る道」を模索する。
ーーーどうすれば生き残れるのか。
「まずは小説の内容をできるだけ細かいところまで思い出さないとーー」
そう言いながら、机の棚から紙とペンを取り出すと、インクをつけながら本の知識を思い出せるだけ書いていく。
特に登場人物関係やこれから起こるはずの事件関係。
「うーーーん。あと何だったかな?」
数枚分書き出したところで、改めて思い出そうと記憶をひねり出す。
「とりあえずこれくらいかしら?」
数十枚書き出したのを軽く見直してみる。
「ーーーとりあえずはこんなところね。あとは思い出した時にメモすればいいわね」
書き出した紙を見ながら、どうすればいいかと考えてみる。
「………やっぱり、誰か強い味方を作るべきね。できれば多ければ多いほど、地位が上であればあるほどに」
少し考え込んでいたセレス。
「やっぱり、あの人を味方につけるべきか」
決意を固めて、セレスはあの人物と接触してみようと考えるのだった。
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