小説の悪党公爵とお見合い結婚することになっちゃいました

月冴桃桜

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15、初めてのお見合いが終わる頃

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短い時間だったけど話をしたお陰で、
「……エミリー様は何が好きですか?」
と質問すれば、
「……えっと、お花が好きです。」
と答えてくれるようになったエミリーちゃん。
「そうなんですね? 私もお花好きです。」
私がそう言うと、パッと明るい表情になる。
「……フィオナ様は、どんなお花がお好きですか?」
と質問までしてくれるようになったことにさらに嬉しくなるフィオナ。

自分はどんな花が好きか、どんな色の花が好きだとか、楽しそうに話すエミリーちゃん。
それを幸せそうに見つめるフィオナ。
そして、そんな二人を愛おしげに見つめていた公爵。

ーーついうっかりと、そのを信じてしまいそうになる。
信じてはいけない……と言うよりも、

だと言うこと。
この貴族の仮面をつけたままでは、本音も本音として素直に信じることもできにくい。
勿論、
信じていいこともある。

ーーとにかく、そんなことを考えてしまうほどに、私はを大切に思っているのだ。
「(……私ってば、こんなにも公爵のことを真剣に考えるようになっていたんだろう。)」
私は、このくすぐったいふわふわとした気持ちを何とか押せようとした。


ーー先に声を出したのは、公爵だった。

「エミリー、そろそろ話をやめなさい。暗くなってしまうよ。」
と、エミリーの話を止める。勿論、本人が傷付かないように《》と、決して嘘ではないことを指摘して。

「……あ!」とエミリーちゃん本人も自分が思っている以上に話し込んでいたことと、空を見上げて確かに少し日が落ちかけていることに気が付く。
「ごめんなさい。」
と申し訳なさそうに謝るエミリーちゃんに、
「……いいえ。私エミリー様と過ごす時間がとても楽しくて時間を忘れておりました。」
と笑い掛けると、パッと嬉しそうな笑顔をより戻してくれたエミリーちゃん。

「……は楽しくありませんでしたか?」
と、公爵がで寂しそうにしていて、私はまた心臓を撃ち抜かれてしまった。

「……い、いいえ、公爵様との時間もとても楽しかったです。」
とどぎまぎしながら答える私に嬉しそうに微笑んでくる公爵。
「それは良かったです。」
と微笑んで、
。」
と、公爵はをしていたことに内心驚いてしまう。

「(……そうか、すでに。)」
と、内心自分に呆れつつ、先に立ち上がった公爵はフィオナにエスコートの手を差し出す。
おずおずとその手を取って立ち上がると、公爵と一歩でも踏み出せば触れそうな距離で目があってしまう。

美しい銀髪と美しい赤い目。
皆は怖いという赤い目もルビーのような深い赤色でだと思う。

「……あの……フィオナ嬢?」
気遣うように名前を呼ばれて、自分がずっと見上げるように公爵を見て見つめていたことに気付いて、真っ赤になってしまう。
「……す、すみません。」
思わず俯きそうになると、ぐっと公爵に引き寄せられてしまう。
「!」

見つめあったまま引き寄せられてしまったために、公爵の顔までの距離にまで接近してしまった。
「「!!??」」
ーー超至近距離で見つめ合う二人。
すると、公爵の方が顔が赤くなっていた。だから、私も赤くなってしまう。

「……コホンッ。それでは、行きましょう。」
と、一つ咳払いしてトーマスに何か合図をすると、素早くエスコートしてくれる公爵。頷いて黙ってついていく。
ーー馬車までゆっくりと歩いていく二人。


「(……。)」
チラリと隣を歩くフィオナ見つめた公爵は、を思い出してしまう。

ーーそう、だ。
そう、エスコートしようと手を取ったフィオナ嬢が立ち上がった時、になり、恥ずかしさで俯いて目をそらそうとした彼女の見つめる目を思わず引き寄せていた。
だが、思った以上に力が強かったせいであと数センチでにまで近付いてしまった。
……いや、が、本当は……本当は……。

そう、のだ。
「(………が……。)」
ほんの一瞬だったが、それでも
ーー意図したことではないにしろ、
「(これは、。)」
チラリとフィオナを見つめてから、
「(……自分には……な。)」
そう思い、そのまま馬車までエスコートした。


「今日はありがとうございました。」
と馬車の前で公爵からお礼を言われる。
「いえ、こちらこそありがとうございました。」
私も素直にお礼を言う。
「フッ。」と微笑んだ公爵は、自然と口にしていた。
楽しみにしています。」

「え!?」驚く私の声に公爵も驚いた顔をする。
「いえ」とすぐに驚いた顔を隠して、少し考え込んでから、私の手を取ると、
「また、会ってくれますか?」
と微笑む。
「はい!!」
反射的に返事をしてしまうと、おかしそうに笑った公爵は、そっと私の手の甲にキスを落として、
「それでは、連絡します。」
と《》をして、そのまま馬車に乗せてくれた。

ーー馬車が静かに走り出すと、馬車の中から公爵を見つめると、公爵は優しい笑顔で見送ってくれるのだった。
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