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新作
ハイヒールの女
しおりを挟む「ない…」
踏切の近くで落とした御守りを探していた。
子供の時から大事にしていた御守り。
おばあちゃんの忘れ形見だ。
持っている時は気にしてなかったが、無くなると無性に不安になる。
もう夕暮れ時で、時間と共に日は落ち、だんだん辺りは暗くなる。
転んで落としたお守りは、不思議と見つからなかった。
転んだ場所とその付近を捜索したが、御守りは影も形もない。もう誰かに拾われたのかも知れない。
お腹も空いてきたし、疲れてきた。
それに暗くなると危険だ。
諦めて帰る頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
帰路につくことにし帰り道を歩いていると、前方に人影が見えた。
街灯の下に女性が立っている。
赤いワンピースを着た女性。
ブツブツと何か呟いている。
それは普通の人とは違う雰囲気を纏っていた。
私には幽霊がみえる。
人の形をしているが人ではないもの。
直感的にそれだと感じた。
「ねえ、あなた…」
女に話しかけられた。
私は聞こえないふりをした。
「御守りを落としたでしょ…」
それを聞いて僅かに反応してしまったかもしれない…。
「大事な、大事な御守り…」
無視してその場を通り過ぎる。
しばらく進み、何事もないことに安心する。
ほっとしたのもつかの間、足音がついてくる。
「カツン、カツン」
ハイヒールの足音がついてくる。
つけてくるものにわからない程度に、歩くペースをあげる。
足音もそれにあわせてペースをあげてくる。
「カツン、カツン」
足音で距離が少しずつ詰められているのがわかる。
気がつくと自宅のアパート前についていた。
玄関ドアを開けて中に入る、うつむきながらドアをしめるとき、隙間からハイヒールを履いた女性の足と赤いワンピースが見える。
すぐ後ろまで女はついてきていた…。
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