子持ち専業主婦のアラサー腐女子が異世界でチートイケメン貴族になって元の世界に戻るために青春を謳歌する話

虎ノ威きよひ

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第二章

ご一緒してよろしい?

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 授業が終わってアフタヌーンティーの時間。
 二学期に入ってからは夏休みに騎士の皆さんから刺激を受けたエラルドがあまり付き合ってくれなくなってしまったので1人で食堂へ向かう。
 悲しみ。

 元々、甘いものが大好きってわけでもなく私に付き合ってくれていただけなので、申し訳ないなぁと思ってはいたからいいんだけど。
 
 テーブルに運ばれてきた今日のデザートはパフェだ。
 しかも苺パフェかチョコレートパフェかを選べる贅沢さ。
 チョコレートも食べたいけど苺も食べたかった私は給仕の人が心配するほど真剣に悩んでから苺のパフェを選んだ。

 たっぷりと生クリームが絞ってあり、そこに苺がいくつも綺麗に飾り付けられたものだった。
 縦長のグラスの中はカットされたいちごや、イチゴソースの赤色とアイスクリームの白色の層が描かれている。

 パフェオブパフェ。
 最高。
 柄の長いスプーンを片手に口元が緩む。
 まずは苺から、と掬ったところ。
 
「まぁデルフィニウム様。お1人ですの?」
 
 綺麗な声に話しかけられた。
 良かった口に入れる前で。
 顔を上げるとラナージュがテーブルの横で微笑んでいた。
 
「珍しいですわね、どなたもいらっしゃらないなんて」
「最近は1人なんだ」

 私よりもラナージュがお取り巻きを連れずにいる方がよっぽど珍しい。
 白くて綺麗な手をテーブルに置き、長い髪を揺らしながら首を傾げた。

「1人同士、ご一緒してよろしい?」
「もちろん、喜んで」

 笑って即答したものの、友だちの婚約者と2人でアフタヌーンティーってありなんだろうか。社交の1つだと思えばありか。

 ラナージュは特に悩むこともなくチョコレートパフェを注文していた。決断力があって素晴らしい。
 女友達同士なら、相手が良ければちょっと頂戴が出来るのに!
 いや貴族はちょっと頂戴とかしないか!

 雑談している最中にやってきたパフェは、天辺の生クリームが絞ってあるところに円形の薄い板チョコが1枚と、小さい立方体の生チョコがたくさん飾られていた。やっぱりそっちも美味しそうだ。

 そういえばアンネはチョコが好きだと言っていたな、と呟くと。

「アンネといえば、今日はなんだか元気が無くて……」

 スプーンとは逆の手を頬に当てながらラナージュが小さくため息を吐く。

「何かあったのか?」

 昨日の昼に会ったときは確かいつも通り元気だったはずだ。

「大好きな演劇のお席がとれなかったそうですわ。」
「それは元気出ないだろうな」

 辛すぎる。
 生活する上での楽しみが1回分減ってしまったということなのだから。

 聞くところに依ると、アンネが好きな演者であるライムンド・アイという人が主演の演劇が2ヶ月後にある。
「ルース・コロニラ」という、過去に実在した王子の名を冠した冒険物語の観劇券の販売日が昨日だったのだが、どうしても授業が終わってからだと間に合わなかったらしい。

 趣味のために授業を休むわけにはいかず、一縷の望みを掛けて授業後に走ったが、人気の公演だったため予想通り完売。
 泣く泣く帰って来て、今日もまだ浮上できていないとか。可哀想に。

 私に言ってくれたら授業をサボって並んであげたのに。
 
「わたくしに事前言ってくださればいくらでも都合をつけましたのに、とパトリシアと2人で同じことを言ってしまいましたわ」

 ああ、その手もあったか。今からでも間に合わないかな。
 そんなコネみたいなのは嫌がられるかなー。なんか他のファンに悪いなって気持ちになるし。

「アンネは言わないだろうな。もう完売してしまったから君たちに話したんだ」
「ええ。本当に欲の無い子ですの。シン様、もしアンネに会ったら元気付けてあげてくださいましね」
「善処するよ……」

 演劇を観れる権利以外でどうやって元気付けたらいいんだかさっっっっぱりだ。
 確かアンネは、ルース・コロニラ関連の物語が元々好きだったはずだ。
 推しが好きな物語の主演をするなんて絶対見たいやつなのに!また同じキャストで同じ公演がされることを祈るのみ…!

 それでもその時に観るのとはちょっと違うというのに。
 
「ところでシン様」

 話している最中も上手く間を使って丁寧にパフェを食べていたラナージュの手が止まる。
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