子持ち専業主婦のアラサー腐女子が異世界でチートイケメン貴族になって元の世界に戻るために青春を謳歌する話

虎ノ威きよひ

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第一章

美味しそう

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(学食か?これ……)

 公爵家の食事が毎日豪華だったので慣れてしまってはいたが、学校までこうだとは思わなかった。
 狭いテーブルのため、1人1台のアフタヌーンティースタンドのようなものに皿を乗せて配膳してくれる。
 
 下段に主食になるパン。
 今回はさくっさくのクロワッサンと固めのライ麦パン。果物のジャムもついているが、なにもつけなくてもとても美味しい。

 中段に主菜の豚肉のステーキ。
 グリルされた野菜が添えられていて、胡椒やガーリックの風味がバッチリだった。
 何より肉が柔らかくて噛むたび美味い。美味。

 上段の前菜は見た目に楽しいカラフルな多種類の野菜を蒸したものに、小さな器に入っているバジルソースが添えてある。
 バジルソースが何にでもつけたいくらい美味しい。美味しい以外の言葉がでない。

 最初に出された温かい海鮮スープは最高だった。
 特にエビがプリプリでいくらでも食べられそうだった。
 
 というか学食なので、自分で取りに行くスタイルでいいと思うのだがここはホテルのレストランか?

 ネルスのガミガミを受け流しながら口の中の幸せに浸っていると、エラルドも目を輝かせていた。

「すごいなー、ここの食事! お客さんが来た時の食事みたいだ」

 嬉しそうに食べる姿に、察した表情のネルスと顔を見合わせた。

 ネルスは生粋のお坊ちゃん、このくらいの食事は当たり前でおそらくありがたみも薄いはずだ。
 これは普通の食事じゃないか?と顔に書いてある。

 庶民感覚を持つ私からしたら豪華も豪華だが、貴族の家に来客があった時の食事としては少し質素かもしれない。

 聞くまでもない。
 伯爵家だと言っていたが、おそらくエラルドの父親の領地は豊かな方ではないのだろう。

(ユリオプス家……ユリオプス家……聞いたことあるなー古い名家で、たしか結構地方の……)

 この世界で得た情報を脳内検索にかける。
 由緒ある家柄だったとしても領地によって格差はあるものだ。

(美味しそうに食べるなー)

 作法を守って行儀良く、もりもり食べるエラルド、とてもかわいい。
 自分も口を動かしながら心が安らいだ。

「本当に美味しいな」
「そうだな。特にこれ、毎食出てきても2倍は食べられそうだ!」

 主菜の料理を指して嬉しそうに言う姿が眩しすぎて、本当に片手で目を覆った。
 お肉ねーお肉は美味しいよねー分かるよー。

「そうか、良かったら」
「良かったら僕の分もどうぞエラルド。体の大きさが違うんだ、君の方がたくさん食べた方がいい」

 まさかのネルスに先を越された。
 片手で主菜の皿を差し出し、もう片方の手で口元を覆ってプルプルしている。

 完全にエラルドオーラにやられている。

 この親戚とは好きになる人間の好みが似ているのかもしれない。

「いや、いいよいいよ。ネルスも育ち盛りなんだから、いっぱい食べないとな?」
「……君はもしかして僕が小さいことを馬鹿にしてないか?」
「え? 俺たちくらいの年ってそういうもんだろう?」
「……」

(ほんとそれ)

 ネルスは身長が同年代に比べて低いことを気にしていて、そのことについては過剰に突っかかってくるのだ。
 しかしエラルドには本当に思ってもみなかったという顔をされて口をつぐんだ。

 しつこいが、2人ともかわいい。

「……私はスープがこの中では一番好きだな。海鮮が大好ぶ」
「なんだこの料理は!!」

 陶器が割れる高い音と共に怒鳴り声が空気を裂いた。
 
 まさかの本日2回目のあの声だ。
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