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第8話
しおりを挟む「テメェぇぇぇええええっ!!」
激情し襲い掛かる半グレに、彩華の鋭く鞭のようにしなる上段蹴りが、半グレの顎に命中し半グレ男は意識を失ったようだ。
「これで粗方片付きましたね」
「そうだな」
「舐めるんじゃねぇぞ!」
半グレ集団が最後の武器として取り出したのは、大量のクロスボウであった。
「こいつで仕留めてやる!」
そう言ってクロスボウを構えた半グレ達は、俺達を取り囲む様にして半月型に包囲した。
ボウガン、クロスボウや弩と呼ばれるこの武器は、紀元前5世紀程度から存在が確認されており、日本でも800年代後半には資料に記されているほど古い兵器ではある物の、弓のように技術がいらず長年規制されていなかったため、銃刀法改正され施行される令和4年3月15日までは、規制が存在しなかったので密かに集めた武器なのだろう。
「俺達はファイルを渡してもらえればそれでいいんだよ。なぁあんたも十分依頼人とやらへの義理は果たしただろう? 早くファイルを渡せ!」
「先輩……」
不安そうな表情で彩華は俺を見る。
「渡してやってもいいが俺達の身の安全を約束してはくれないか?」
「お前はいいが女はダメだな。可愛い手下を絞められたんだ……体でご奉仕でもしてもらおうかな? ギャァハハッハハハハッ!」
「ならダメだな……彩華俺の後ろに隠れろ」
「でも!」
「【直感未来視《ストライクヴィジョン》】じゃ見切れてもこの数は流石に躱せないだろ? 俺が何とかするし最悪お前の盾になってやるから能力だけは発動しておけ」
「は、はい……」
俺は「大丈夫何とかする」とそうは、言ったもののどうすればいいのかはまだ考え切れていない。
「内緒話は終わったか?」
バニーが呆れた口調で、確認した。
「あぁ待ってくれるなんてお前、案外優しんだな」
「俺は女にもてるタイプなんでな」
「そうかよ……狙うなら顔はやめてもらえるか? 死ぬにしても親を泣かすのは一度でいいと思ってるんだ」
「それは親孝行で良いやつだな……」
――――とバニーと中身のない軽口をたたいて、時間を稼ぐ。
バニーは射撃の合図として手を振り下ろす動作をすると、半グレ集団は一斉に引き金を引くと矢を放った。
刹那――――。
俺は手を払いのけるようにして、俺が【アイテムボックス】と呼んでいる空間干渉系に分類される異能力を発動させて、空間操作し時空間を捻じ曲げて、異空間に発射された矢を回収し無力化した。
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