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第四章

第110話

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「請求書……ああアレか……」

 アレとは、治療する際には一人当たり神殿への寄付金の1.5倍を支払うことに加え、神殿と兄弟姉妹からの干渉を極力防ぐこと、そして俺を騎士としての特権を持ちながら特定の主君や国家・勢力に帰属しない『自由騎士』に任命することで合意した契約のことを指している。

「――ッ!? なっ! なんだこれは」

 激昂する兄の声に兄の乳兄弟は困惑の表情を浮かべる。

「拝見させて頂きます……っ!? なんですかこの追加料金というのは!?」

「先ほどビンセントから説明があったと思いますが……もう一度説明させていただきます。俺と神殿の協力で強力な呪物『呪怨瓶じゅおんへい』を破壊しましたここまではよろしいですね?」

「……ああ」

「俺の仕事は負傷した騎士や兵士の治療でしたよね? 『呪怨瓶じゅおんへい』無力化は俺の仕事の範疇ではないのです。これを無料でやってしまえば不測の事態が予測されるなかで、契約させ結んでしまえば俺の力は使い放題になってしまうそういう懸念を感じましたので、こういう契約書をあらかじめ作成させていただきました」

「……俺が信じられないというのか?」

「はい。一度約束を破っている人間が初陣前の勲等程度で信頼を回復できると思ったのですか? 正規の料金を支払った上でトントン。更に何かプラスが無ければ信頼など築ける訳もないでしょうに……」

「記載の通り、請求額の合計15パーセントが冒険者ギルド、傭兵ギルド、神殿の三者の取り分となっています。また債権は既に商業ギルドに売却しておりますのであしからず」

「……判った。報酬とは別に金を出そう。これか良い関係が築けるように努力しよう」

「それでは俺からのアドバイスです。傭兵ギルド、冒険者ギルド、神殿はタブレットポーションに強い興味をしめしていましたので、兄上に卸している倍額で販売すれるか入札制にすればよろしいのでしょうか?」

「俺に商人の真似をしろと?」

「交易の要所を抑えている貴族が何をいまさら」

「これからの時代は単純な武力を持つものではなく、金を持つ者の時代となるでしょう。それに政治闘争でも武力闘争でも実弾カネは汎用性の高いカードですあって困るものではないでしょう?」

「その通りだ。精々お前の掌の上で上手に踊ってやる」

 五者にメリットを提示しつつ力を示すことにも成功した俺の一人勝ちとになるのだった。
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