妾の子だった転生勇者~魔力ゼロだと冷遇され悪役貴族の兄弟から虐められたので前世の知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
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第四章
第112話
しおりを挟む本館の中は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
上級下級問わず使用人達は慌てふためいていて、統率が取れているようには見えず。
文官は避難の準備をし、騎士や兵士といった武官は命令を待っている状態に見えた。
(最悪だ……公爵閣下が一人居れば『殺人大蜂』の群れなど雑魚に等しい。配下の騎士団がいるだけでも防衛率は上がるのだが…)
今はそんなことを言っていても仕方がない。
俺は人を掻き分け上階へ向かった。
「オニ兄上!」
執務室のドアをノックすることなく開ける。
「ナオスか!」
兄は光明が見えたと言わんばかりに、オニ兄の顔がパッと明るくなった。
「俺が提言した通りモンスターの大発生が起きたみたいだ」
「本当に『呪怨瓶』がこの町の周囲にあると言うのか? 一体全体だれがそんな愚行を……」
バサバサと羽音を立てて黒いカラスが窓の縁に止まった。
俺はカラスに違和感を覚えた。
(おかしい。絶対におかしい。)
こうもタイミングよくカラスが窓の縁に止まることは異常と言える。
「【鑑定】」
俺は即座に【鑑定スキル】を使用した。
【鑑定スキル】がカラスの正体を教えてくれる。
『武装ノ傷跡鴉』という比較的強力なモンスターで、人間を襲わない賢さを持っている。田舎では害獣やモンスターから人間を守る益魔(有益な魔物)とされている。
羽は金属のように硬く、本種の強力な武器であり鎧となり傷が多いほど強力な個体である証であり、また魔術にも優れ角上部位は仮面のような頭部から生えた角である。
説明文を見る限りは、『殺人大蜂』でも食べに来たように見えるが一番の問題は、『武装ノ傷跡鴉』が『生ける屍』でありさらに使役者が勇者《クラスメイト》の一人である『加藤耕太郎』だと言うことだ。
(どうして加藤が? アイツには嫁や子供も居たハズなのに……)
しかし、加藤が助けてくれるのならより安全にことを運ぶことが出来る……そう楽観的に考えていた。
『武装ノ傷跡鴉』の瞳が赤く怪し気に輝くと、ドロドロとヘドロのようなものが染み出し影のようなものを作る。
影から湧き上がるようにソレが現れた瞬間、世界の全てが凍り付いたかのように、ありとあらゆるものの動きが止まった。
そして――絶望を見た。
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