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初夜の翌朝失踪する受けの話
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固まる俺を置いて彼らの話はどんどん進んでいく。
「恵って好きな子居たんだな」
驚いたようにそう言ったのは恵さんの友人だった。すかさずそれにもう1人の女の子が反応する。
「何それ、実はいないんじゃないですか?」
「はは、ちゃんといるよ」
「どんな人なんですか? 可愛い?」
畳みかけるように聞く女の子から視線を外しながら、恵さんはそうだね、と蕩けるような笑みを浮かべて言った。
「世界でいちばん可愛くて、綺麗で、頑張り屋さんな子かな」
「何だそれ」
いや、本当に何それ。
俺はハッと鋭く息を吐き出した。無意識に止めていた呼吸が再開される。
世界でいちばん、はこの際置いておこう。好きにな人に対してはフィルターがかかってしまうものだ。俺も恵さんのことを世界でいちばんカッコいいと思っている。いや、実際恵さんは世界でいちばんカッコいいけど。
そうじゃなくて、可愛くて、綺麗で、頑張り屋さん?
俺全然違くない?
目の前が真っ暗になったようだった。
俺は骨張った自分の手を眺めながら、グーパーと開いたり閉じたりした。あの言い方だと、恵さんの好きな子はきっと女の子だ。俺が逆立ちしたってなれない女存在。
「……いいなあ」
うっかり口からこぼれた声は周りの喧騒が掻き消してくれた。
「どうした?」
いつの間にか戻ってきたらしい友達が怪訝そうな顔で俺を小突いた。それに答えられずにいると、大丈夫か?と顔を覗き込まれた。そこでやっと意識が戻ってくる。
「あ、あれ? 知り合い?」
あれ、と言って恵さん達を指さす友達にいや、と小さく首を振る。いつの間にか女の子2人組の姿は消えていたけど、さっき見た光景がずっと頭の中を回っていた。
「兄さんの友達かなって思ったんだけど違ったっぽい」
「ふうん? まあカッコいいもんなあの人」
イケメンってよくイケメン引き寄せるよな、と言う友達に曖昧に頷く。そのよくわからない理論はともかく恵さんはかっこいい。性格も完璧だ。よく知ってる。
「というか顔青くね? 本当に大丈夫か?」
「ダメかも…」
「ハ?! そういうのは先に言え!」
怖い兄ちゃん達に殺されるだろ! 俺が!とよく分からないことを叫ぶ友達に首を傾げる。
「何それ」
「無自覚かよ俺は本当に怖えわあの人たちが」
「いや本当に何」
「とにかく帰るぞ」
「可愛い女の子は?」
「速攻で振られた。言わせんな」
ぐい、と俺の腕を掴んで立たせた友達はそのままタクシーを呼んだ。口を挟む間もなく行われた鮮やかな流れ作業に俺はポカンと口を開けたまま、気づいたらタクシーの中だった。
「そんじゃお大事に!」
「ええ…」
大学で会おうな!と手を振る友達に見送られタクシーが出発する。よく分からないけど動き出してしまえば今までの疲れがドッと襲ってきて、俺は後部座席に深く沈み込んだ。
「恵って好きな子居たんだな」
驚いたようにそう言ったのは恵さんの友人だった。すかさずそれにもう1人の女の子が反応する。
「何それ、実はいないんじゃないですか?」
「はは、ちゃんといるよ」
「どんな人なんですか? 可愛い?」
畳みかけるように聞く女の子から視線を外しながら、恵さんはそうだね、と蕩けるような笑みを浮かべて言った。
「世界でいちばん可愛くて、綺麗で、頑張り屋さんな子かな」
「何だそれ」
いや、本当に何それ。
俺はハッと鋭く息を吐き出した。無意識に止めていた呼吸が再開される。
世界でいちばん、はこの際置いておこう。好きにな人に対してはフィルターがかかってしまうものだ。俺も恵さんのことを世界でいちばんカッコいいと思っている。いや、実際恵さんは世界でいちばんカッコいいけど。
そうじゃなくて、可愛くて、綺麗で、頑張り屋さん?
俺全然違くない?
目の前が真っ暗になったようだった。
俺は骨張った自分の手を眺めながら、グーパーと開いたり閉じたりした。あの言い方だと、恵さんの好きな子はきっと女の子だ。俺が逆立ちしたってなれない女存在。
「……いいなあ」
うっかり口からこぼれた声は周りの喧騒が掻き消してくれた。
「どうした?」
いつの間にか戻ってきたらしい友達が怪訝そうな顔で俺を小突いた。それに答えられずにいると、大丈夫か?と顔を覗き込まれた。そこでやっと意識が戻ってくる。
「あ、あれ? 知り合い?」
あれ、と言って恵さん達を指さす友達にいや、と小さく首を振る。いつの間にか女の子2人組の姿は消えていたけど、さっき見た光景がずっと頭の中を回っていた。
「兄さんの友達かなって思ったんだけど違ったっぽい」
「ふうん? まあカッコいいもんなあの人」
イケメンってよくイケメン引き寄せるよな、と言う友達に曖昧に頷く。そのよくわからない理論はともかく恵さんはかっこいい。性格も完璧だ。よく知ってる。
「というか顔青くね? 本当に大丈夫か?」
「ダメかも…」
「ハ?! そういうのは先に言え!」
怖い兄ちゃん達に殺されるだろ! 俺が!とよく分からないことを叫ぶ友達に首を傾げる。
「何それ」
「無自覚かよ俺は本当に怖えわあの人たちが」
「いや本当に何」
「とにかく帰るぞ」
「可愛い女の子は?」
「速攻で振られた。言わせんな」
ぐい、と俺の腕を掴んで立たせた友達はそのままタクシーを呼んだ。口を挟む間もなく行われた鮮やかな流れ作業に俺はポカンと口を開けたまま、気づいたらタクシーの中だった。
「そんじゃお大事に!」
「ええ…」
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