聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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世の中は広いんです

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「え~と。この大きいはココに置いていい?」

「あ、それはこちらにお願いします」

 私は今、あの光の柱に入っていった人達が押し付けていった‥‥‥‥もとい、置いていった『遺品』を『アイテムボックス』から取り出しております。
 貴金属なんかは拾った者が所有してもいい。おっさんと同じ説明をされたが、そこは前の世界の感覚が顔を覗く。
 できれば遺族に渡してほしいとお願いすると、なんかびっくりな顔をされた。
 こっちはそういう感覚ないんかな~。
  持っていてもいいと言われても、扱いに困るよね。もともと自分のモノじゃないしね。
 
 ただし、そうなるとギルドとしては、細かく記録をしなくてはならないらしい。
  最初は受付の子が一人だったのだが、ガンガン増えていく『遺品』の数に、だんだん顔色が悪くなっていき「ちょっと失礼します!」と部屋を飛び出て、再び部屋に戻ってきた時には、クリップボードのような物を持った数人の職員を従えていた。
 部屋に入った瞬間、大量の確認作業に、皆顔色が悪くなる。
 ─────作業お疲れ様で~す。

「リオさん、それは僕が持ちます」

 取り出した大きい鎧のような大きなものは、ウィル君が持って行ってくれた。

「ありがとー。後はコレもだな」

 ズルっと取り出したのは、抜き身で足元に刺さってきた剣。コレの持ち主に関しては、一言文句が言いたい!ちゃんと鞘に入れときなさい。危ないから!
 
 ‥‥‥‥あの、どうなってるんですか、あれ。また出てきましたよ‥‥‥‥
 ─────何を見ても動揺するなって、長に言われただろ
 ───── だけど、この量おかしくないですか?
 ─────世の中には、まだまだ色んな人がいるんだよ‥‥‥‥

 ヒソヒソ遠巻きに会話をしているようですが、聞こえてるよ。
 彼らが驚愕しているのは、どうやら『アイテムボックス』の量らしい‥‥‥‥。
  若い職員は出てくる量にビビっているようだが、さすがベテラン勢。顔色一つ変えない。─────プロだな。
 ここでお肉ちゃん出したらどうなるんだろう?さすがにびっくりするかな?─────やめとこ。大きすぎて部屋から出られなくなっちゃう。

「タグっていうやつは、どこに置こう?」

「─────それらはこちらに」

 ざらっと積まれたタグの山に、一同沈黙が流れました。
 ─────タグの数は冒険者の犠牲数と同じと聞いた。ギルド職員としてはショックだろうな。きっと顔見知りとかいただろうし。

 部屋を見渡すと空だった部屋が、ちょっとした倉庫のようになってしまった。
  
「─────あの、こちらの指輪なんですが‥‥‥‥」

 受付嬢が見せてくれたのは、一番最初に押し付けられたあの指輪だ。

「もし指輪が見つかった時には、買取させてほしいと捜索願と共に依頼が出ておりまして」

「─────いやいや、いらないし!」

「え、でも‥‥‥‥」

「待っている人がいるなら、ちゃんと渡してあげて」
  
 そう言うと「‥‥‥‥そうですか」といいながらトレイに戻す。

 それに私は冒険者じゃないから、依頼といわれてもねぇ
 
「─────おう、嬢ちゃん。どうじゃ、終わったかの?」

 扉からおっさんが顔を覗かせた。
 おっさんの肩には、あの冠羽のついた鷹が止まってる。ピコピコ冠羽を揺らすのは止めてほしい。おっさんの頭と揺れ具合が一緒で笑う。
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