聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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あったんだ!

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 ─────ふぉん。

 『再現』をかけると皆が囲っているテーブルの上に『宝玉』が浮き、その周りを半透明の映像が囲んで『宝玉』以外の造形が形成されていく。さながら3D映像のようだ。
 映像再現された元の『杖』の姿はかなり細工が細かく作られ、なおかつ『宝玉』が正に主役といった意匠である。ふーん、これがあの性格に難ありの勇者が、作った『杖』って事かな。
 ‥‥‥‥ちょっと中二病くさいけど。

「「「「 おおおぉぉ!」」」」
『そうじゃっ!これじゃこれじゃあ!これがワシの本当の姿じゃー!』

「これが『魔導士の杖』本来の姿‥‥‥‥。残念ながらこれは設計図でしかありません。─────が、『宝玉』はこの姿に戻る事を子孫に望んでいます。そして、再構築することは可能でしょう‥‥‥‥」

「リオさん?!?」

「しかしそれには必要となる物があるのですっ!それが手に入れば、‥‥‥‥『魔導士の杖』はきっとこの姿を取り戻せるでしょう(笑)っ!!!」

「そっそれは一体何ですかっ!」

 ─────かくして指名された子孫は、目当ての物を探しに旅立った。海をはさんだ向こうの別大陸とやらへ。

「いやぁ~見つかるといいねぇ~『虹鉱石』」

 温かいお茶をのんびりいただいていると、姫さんと三人から呆れた視線で見られていた。─────解せぬ。え?なに姫さん。本当は私がどうにか出来たのじゃないかって?やだ~姫さんたらっ。私の事を買い被りがすぎるってば。
 あの二人がやたらシロ君の傍でウロウロするのが気に入らないとか、ウザったいから排除したかったとか?そんな事思ってないよ~?

「‥‥‥‥まあ、あの二人がいない方が楽ですけど。面倒がなくて」

 やだ、姫さん。心の声が漏れてまっせ。

「自分から旅立ったんだし、いいんじゃね?」
「まあ、いられてもねぇ‥‥‥‥」
「そうだな‥‥‥‥」

 『パンケーキ』をパクつきながら、三人はこれで一応落ち着いたと無理やり収めた。

「でもあの従者の人は確か『先行』って言ってませんでした?」

 お茶の追加をしていたウイル少年からの発言に、確かにそう言っていたと思い出す。
 アレが先発だったとして、また面倒くさいのが増殖するのか‥‥‥‥。

「リオさん。後発部隊の人達は大人なので、あんなのはいないと思います‥‥‥‥」

「本当に?でも『達』なんだね‥‥‥‥」

 大人という事は、空気を読んで欲望丸出しでこちらに絡んで来る事はないのかな。それはそれで厄介かも‥‥‥‥。

 向こうから突っかかってこれば、目には目を方式でやり返しどころか倍返しなのだがな~。

 そんなやり返し方法を考えていたのだが、実際は杞憂に終わった。

 現れた忍者集団は姫さんに挨拶もそこそこに、何故か私にスススッと「お詫びの品です」と布で包んだ品物を手渡して早々に立ち去っていった‥‥‥‥。
 
 実に素早いっ!文句を言う隙なしっ!さすが大人っ!実にスマートだ。

 大人忍者が置いていった『詫びの品』は、液体の入った何故か懐かしの一升瓶。
 中身を確認するや否や、自分でもびっくりするぐらいの声が出た。

『醤油だっ!マジ醤油っ!この世界にあったんだっ!!ちょー嬉しいんだけど』

『これ幻って言われてた「高級醤油」ですよ!存在したんですねっ!』 

 男達は「あんな黒い液体で‥‥‥‥」「そんな嬉しい物か?」「まさか毒じゃ‥‥‥‥」と囁き合っていたが、ハイテンションで喜び合う二人の耳には届かなかった。
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