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欲には底がない
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「なによあんたっ!生意気よっ!!」
派手なピンク色の装飾が、あらゆるところに配置された豪奢な部屋から、素養の欠片も感じない怒鳴り声が響いてきた。
「聖女様、どうか落ち着いてください!」
「危のうございますっ!」
怒鳴り声と共に、何かを投げたらしくガチャンとガチャンと物が割れる音が続く
「私は尊い身分なのよっ!もっと敬いなさいよ!気ィ使いなさいよね!!」
バタン!と荒々しく扉が開き、中から侍女が数人逃げるように走り出てくる。
逃げ出したと同時に扉が閉められ、扉に更に物が当たる音が響き渡った。
「なによ、あれ」
「しっ声が大きい」
「まだ聞こえるわよ」
先ほどまでの態度とは違い、侍女達からは本性が駄々洩れになっていた。
「聞かれてもかまわないわよ。辞めてやるわこんな所。もうごめんだわ」
「そうね。もう、この教団にいいことないし」
「なんかもう、どうでもいいって感じよね」
彼女たちは貴族などの高い身分のあるわけではないが、文字や計算が出来る市民として給料につられてきただけしかない。
市井にでれば、彼女たちにはそれなりの職場はあるので、ここの仕事にすがりつく事はないのだ。
「それにさ。あの人、前よりなんか変じゃない」
「やっぱり!?気になったの、私だけじゃなかったんだ」
「性格はともかくさ、オーラというか、前は他の人と違う何かがあるって感じだったわよね?」
ピンク教団の聖女は、黙っていれば人を魅了する『聖女』であった。
だが、それはここ最近までの話。
「ほらなんか今は、ちょっと能力が高いだけの人って感じ?」
「そうそう!なんていうか前はもっと、こちらが恐縮しちゃう感じだったわよね」
「それにあれ !! ジーク様の件 !! 」
つい先日までいた、美貌の神官。
他に重鎮の神官がいたにも関わらず、存在だけで他を圧倒するオーラの持ち主。
なんなら彼を信仰したした方が、信者が集まるのじゃないかと裏では言われていた異色の存在。
だが彼を繋ぎ止めるには、それなりだけでは足りないモノが必要らしい。
「本当にあっさり行ってしまわれたものね」
「聖女様は自分の魅力に、相当自信がおありだったようよ」
「やっぱりそうよね。あの聖女様、絶対ジーク様狙ってたわよね。ないわ~」
「あんたもでしょ」
「悪い?何か文句でも? 皆そうだったじゃない」
もう辞めるからいいやと、エプロンなどの装備品も歩きながら外していく。
「お前たち聖女様のお世話はどうした。持ち場に戻れ!」
三人の前にお目付け役の神官が立ちふさがるが、開き直った彼女達に神官の言葉は響かない。
「聖女様は私達のお世話が気に入らないようです。ご自身でなさったらいかがですか」
「それに私、聖女様につけられた傷が痛むので」
「私もです」
チラリと袖をめくれば、痛々しい痣がのぞく。
あれだけ物が投げられれば、こちらも無傷とはいかなかった。
「何を言っているのだ。聖女様だぞ!お世話はどうなる!」
そのことに気づきながらも神官はしらをきったが、女性陣を従わせることはできなかった。
「あなた方が信じてくれなくても結構です」
「我々はもうここを去りますので。ごきげんよう」
「では、失礼」
勢いそのままで去っていく女性陣。それを苦い顔で見送りながら「またか‥‥」と呟きが出てしまう。
なにも彼女たちが最初ではなく、ここ最近この教団から離れていく者達が続出しているのだ。
前までは、無給でも構わないからと列をなしていたものだが、今は蜘蛛の子を散らすように人が去っている。
『前は他の人と違う何かがあるって感じだったわよね?』
侍女たちが発していた言葉は、神官の耳にも届いていた。
それは神官自身も、身に覚えのある事であった。
他を圧倒していた『聖女』というオーラ。
‥‥‥‥それが今は、錯覚だったのかと思うぐらい感じられない。
勢力図を広げていた教団は、美貌の神官が去ったのを契機に、急速にその勢いを失くしつつあった。
感が良い者は『あの』ジークを引き寄せた『何か』が喪失したのではないかと疑われている。
「‥‥‥‥それでは困るんですよ」
懐の金貨を撫でながら、神官は『聖女』のご機嫌とりにいった。
~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
時間を割いてくださった事に感謝感激で、連続前転ローリングをかまします。
派手なピンク色の装飾が、あらゆるところに配置された豪奢な部屋から、素養の欠片も感じない怒鳴り声が響いてきた。
「聖女様、どうか落ち着いてください!」
「危のうございますっ!」
怒鳴り声と共に、何かを投げたらしくガチャンとガチャンと物が割れる音が続く
「私は尊い身分なのよっ!もっと敬いなさいよ!気ィ使いなさいよね!!」
バタン!と荒々しく扉が開き、中から侍女が数人逃げるように走り出てくる。
逃げ出したと同時に扉が閉められ、扉に更に物が当たる音が響き渡った。
「なによ、あれ」
「しっ声が大きい」
「まだ聞こえるわよ」
先ほどまでの態度とは違い、侍女達からは本性が駄々洩れになっていた。
「聞かれてもかまわないわよ。辞めてやるわこんな所。もうごめんだわ」
「そうね。もう、この教団にいいことないし」
「なんかもう、どうでもいいって感じよね」
彼女たちは貴族などの高い身分のあるわけではないが、文字や計算が出来る市民として給料につられてきただけしかない。
市井にでれば、彼女たちにはそれなりの職場はあるので、ここの仕事にすがりつく事はないのだ。
「それにさ。あの人、前よりなんか変じゃない」
「やっぱり!?気になったの、私だけじゃなかったんだ」
「性格はともかくさ、オーラというか、前は他の人と違う何かがあるって感じだったわよね?」
ピンク教団の聖女は、黙っていれば人を魅了する『聖女』であった。
だが、それはここ最近までの話。
「ほらなんか今は、ちょっと能力が高いだけの人って感じ?」
「そうそう!なんていうか前はもっと、こちらが恐縮しちゃう感じだったわよね」
「それにあれ !! ジーク様の件 !! 」
つい先日までいた、美貌の神官。
他に重鎮の神官がいたにも関わらず、存在だけで他を圧倒するオーラの持ち主。
なんなら彼を信仰したした方が、信者が集まるのじゃないかと裏では言われていた異色の存在。
だが彼を繋ぎ止めるには、それなりだけでは足りないモノが必要らしい。
「本当にあっさり行ってしまわれたものね」
「聖女様は自分の魅力に、相当自信がおありだったようよ」
「やっぱりそうよね。あの聖女様、絶対ジーク様狙ってたわよね。ないわ~」
「あんたもでしょ」
「悪い?何か文句でも? 皆そうだったじゃない」
もう辞めるからいいやと、エプロンなどの装備品も歩きながら外していく。
「お前たち聖女様のお世話はどうした。持ち場に戻れ!」
三人の前にお目付け役の神官が立ちふさがるが、開き直った彼女達に神官の言葉は響かない。
「聖女様は私達のお世話が気に入らないようです。ご自身でなさったらいかがですか」
「それに私、聖女様につけられた傷が痛むので」
「私もです」
チラリと袖をめくれば、痛々しい痣がのぞく。
あれだけ物が投げられれば、こちらも無傷とはいかなかった。
「何を言っているのだ。聖女様だぞ!お世話はどうなる!」
そのことに気づきながらも神官はしらをきったが、女性陣を従わせることはできなかった。
「あなた方が信じてくれなくても結構です」
「我々はもうここを去りますので。ごきげんよう」
「では、失礼」
勢いそのままで去っていく女性陣。それを苦い顔で見送りながら「またか‥‥」と呟きが出てしまう。
なにも彼女たちが最初ではなく、ここ最近この教団から離れていく者達が続出しているのだ。
前までは、無給でも構わないからと列をなしていたものだが、今は蜘蛛の子を散らすように人が去っている。
『前は他の人と違う何かがあるって感じだったわよね?』
侍女たちが発していた言葉は、神官の耳にも届いていた。
それは神官自身も、身に覚えのある事であった。
他を圧倒していた『聖女』というオーラ。
‥‥‥‥それが今は、錯覚だったのかと思うぐらい感じられない。
勢力図を広げていた教団は、美貌の神官が去ったのを契機に、急速にその勢いを失くしつつあった。
感が良い者は『あの』ジークを引き寄せた『何か』が喪失したのではないかと疑われている。
「‥‥‥‥それでは困るんですよ」
懐の金貨を撫でながら、神官は『聖女』のご機嫌とりにいった。
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