聖女召喚に巻き添え異世界転移～だれもかれもが納得すると思うなよっ！

きっちりかっちり

　なんちゃって劇場の出演者から、何やら聞き捨てならん台詞が聞こえたようなぁ～
　気のせいかなあぁ～きっと気のせいだよね～そうだよねぇ？
　
　クリスティーナ姫の背後には、ラングに付いた体格いい犬系従魔と、スラッとしたスタイルの良いフリート付きの従魔が足元に侍っている。
　イイ子でお座りはしているが「なんやワレェ」「文句あんのかあ゛ぁん？」という空気はバンバンに出ている。

　そしてアルヴァレス制服の影には、社会科見学よろしく弟君が、このなんだコレ劇場を最前列で見学しているであろう。
　まだ体格が小さいから、知らない人の前に一人で出て行ってはいけません。というシロお兄ちゃんの注意をちゃんと守っているのだが。「きゃう～(わかりまちた～)」とアルヴァレスの制服ポケットに入っていったのには、シロ君と共に殺意が沸いた。

「隊長達が何言ってるか、聞こえんね」
「さすがに距離あるでしょ」
「ここまで聞こえるアイツがおかしいんだろ」

　確かに、二階のここまで聞こえる声量はどうなんだろう。
　なんであんなに偉そうなの？と疑問をぶつけてみれば。

「伯爵家の嫡男だからな～」　

　これまた元の基準では分からない世界がきた。いや、まあ、あるんだけどね。
　世代のコネとかコネとかコネとかコネとか。
　 
　 　用はいい所のお坊ちゃんてことよね。でもそれを言ったら、隊長さん達も結構なお家柄と聞いたような‥‥‥‥。

「本来なら、アルヴァレス隊長にあんな態度出来ないんだけどね」
「ヤツの性格がな」
「終わってるって話」

「だいたい入り口で止められてる時点で、拒否られてるのに気づきなよって話ですね」

　窓から覗き見している自分達とは別に、『ミウの実』ケーキセットを頂いている人物から、ため息交じりの発言が割り込んできた。とはいえ呆れ気味ではなく、甘いものを摂取して満足げなため息だが。

「副室長～。これ美味いですね」
「甘さが脳に染みわたります。自分、こっち来てよかったです」

　二人の部下っぽい人達とケーキを食べながらほわほわ空気を出しているのは、ウィル君のお兄さんだ。
　こちらは、門前払いのなんちゃって劇団の人物とは違い、ちゃんと砦内に通されてウィル君んお手製のケーキで溶けている。　

　ちゃんと前触れを出し、こちらの都合をちゃんと確認した後、指定した日時にしっかり門前に現れたウィル君のお兄さん。
　きっちりかっちり手続きをしてきたのに、現れたのがヤンキー感まる出しの兄ちゃん達でちょっと引いたのだが、ウィル少年が「兄さま、糖分たりてませんよ」とお手製のお茶セットをふるまうと、おらおらオーラはたちまち霧散したのである。

「ふぅ、ちょっと落ち着きました。締め日が近かったので、皆気が立ってたんです」

　あ、わっかる～～。元社畜の自分にはその気持ち解るわ～～。と同意していると、

「何じゃ貴様らっ─────！ここへ何しに来たっっ！！」

　誰よりもデカい声が響き渡り、思わず耳を塞いだ。─────おっさん声でけぇよ。


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　ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
　時間を割いてくださった事に感謝感激で、連続前転ローリングをかまします。