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第二章 始まりの街防衛戦‼

第百六十七話 イベント開始!

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 そして提案された作戦を受け入れたナギやガラハット達やゴド爺さんにアリア達は軽く打ち合わせをして、その場は解散となった。
 ギルドを出て他のプレイヤー達や住民の冒険者達が向かうスタンピードの向かって来る東のフィ―ルドを目指して移動した。すると移動している途中で聞きなれない通知音が聞こえてナギはビクッ!と体を震わせた。

「っ!…いきなりなんだよ…ドラゴからメッセージ?あぁ~そう言えばそんな機能もあるんだったか、これどうやってみるんだ?…これでいいのか?」

 元から機械が苦手なナギは存在すら忘れた機能に四苦八苦しながら何とかメッセージを開く事に成功した。

――――――――――――――――――――――――――
From:ドラゴ

To:ナギ

 今何処にいる?もしよかったらパティーメンバーの紹介もかねて一度集合しないか?場所は東門の左わきに居るからさ‼
――――――――――――――――――――――――――

 メッセージの内容を確認したナギは詰まらなそうに反射的に消しそうになったがなんとか堪え、開くときに偶然見つけた方法で返信する。

「えっと…『了解、今から向かう』でいいか。変に凝った内容にする必要もないしな」

 ちゃんとした返信をする気にもならなかったようでナギは適当に変身を送ると、もう気にする事も無く人並みに任せて東門へと向かった。
 そして無事に外へと出れたナギはメッセージ内容を思い出して左側へと目を向けると、見知った4人と知らない2人を見つけて近寄って行った。すると相手も気が付いたようで一番に気が付いたドラゴが大きく手を振っていた。
 その姿を確認したナギは軽く駆け足で近寄った。

「無駄に目立つからこんなところで手を振るな!」

「おっと、はっはっはっ!AOでならナギの攻撃にも俺も対処できるぜ‼」

「…リアルでは覚えておけよ」

「そこまでの事はしてねぇよ⁉」

 いつものように軽いノリでじゃれ合うナギとドラゴの2人だったが、慣れている焔達3人は気にしなかったが初対面の2人は困惑していた。
 その事に気が付いたナギが今更ながら態度を取り繕っても無駄だと判断して軽い感じで話しかけた。

「はじめまして、俺は君たちのパティーメンバーの知り合いであるナギだ。戦闘も熟すが鍛冶師をしている、よろしくな!」

「あ、あぁ…俺は見ての通り戦士のグレンだ」

「私は魔術師のエレンというわ。正直まだ混乱しているけど、これから関わる事も多いでしょうしよろしくお願いするわね?」


 笑顔で挨拶をしてくるナギに困惑しながらもちゃんと返事を返したグレンとは反対にエレンは、落ち着きを取り戻して楽しそうに笑顔で握手を交わした。さすがにすんなり受け入れて来たエレンの反応にはナギも驚いていたが、いい人のようで良かったと安心して握手に答えた。

 そして初対面の3人の自己紹介が終わるとナギ達は、今回のイベントに関して話し始めた。

「今回のは街の防衛と言うことだけど、具体的にどうすればいいんだろうな?」

「とりあえず、魔物の群れがせめてくるんだから撃退すればいいんじゃねぇのか?」

 今回のはイベントの内容を漠然としかとらえていないドラゴとグレンの2人は、具体的に何をすればいいのかわからずに簡単なそうそうでそう言った。
 ただこの場には単純な2人とは反対に真剣に周囲の状況も考えていべんとの内容を考えている人間が居た。

「いくら早期のイベントとはいえ、そこまで単純な方法でどうにかなるないようではないと思うんですけど…」

「焔に私も賛成ね。このAOは他と違ってNPCがちゃんと試行して生活しているようだし、そんなNPC…住人の人達がこれだけ警戒しているんですもの。私達も警戒していて損はないはずよ」

「その意見には私も賛成ですね~」

 心配そうに焔が言うとそれにエレンが周囲で忙しなく動きまわる住人達を見て賛同して、それにホホまでもが少し気の抜けた感じに賛同した。さすがに真正面から焔達3人に言われてドラゴとグレンも確かに…と静かに納得した。
 しかしナギが一言も話していない事に気が付いて全員がナギを見ると……

「……」

 街の外壁に寄りかかりながら目を閉じているナギの姿があった。それを見たグレンが居眠りしていると思ったのか呆れて呼びに行こうとすると、後ろからドラゴが肩を掴んで止めた。

「なんだよ。この状況で休んでいるから呼びに行こうと…」

「いや、あれは休んでるんじゃなくて集中しているんだ。こういう時に話しかけると本当に危ないからやめとけ」

「そ、そうか、なら言う通りにしておくわ」

 あまりに真剣に止めるドラゴの様子にグレンは少し動揺しながらも頷いて答えた。
 そんな2人の様子を見ていた焔達は少し離れたところでエレンが焔とホホに質問していた。

「彼って怒るとやっぱり怖いの?」

「怖い…と言えば怖いんですけど…」

「何と言えば良いんだろ~?恐ろしいって言う方がしっくりくるかな?」

「確かに感覚的にはその方が近いですね‼」

「…つまりはめんどくさいって事でいいのかしら?」

「「その認識で問題ないです‼」」

 身も蓋もないエレンの物言いに焔とホホの2人は『それだっ!』と言うように笑顔で頷いた。その反応の速さにエレンは少し驚いたが、同時に2人に躊躇なくめんどくさい宣言されるナギと言う人間に少なからず興味を抱くのだった。

(このイベントが終わったらゆっくり話してみようかしら)

 そんな風にイベントが終わったらナギと少し話してみようと決めたエレンは楽しそうに微笑むのだった。

 それからは集中するために目を閉じて壁に寄りかかるナギを除いたドラゴ達は少し離れた場所で最後の確認をすることにしたのだ。

「とりあえず大規模な戦闘になりそうだけどポーション類は買ってあるよな?」

「はい、ちゃんと買っておきましたよ。スタンピードのせいで品薄になっているようで、普段より値段が割高でしたけど…」

「そう言うところが本当にリアルだよな。まぁ必要経費だから仕方ない、それに緊急依頼でかなり稼いだし問題は無いだろ」

「それはそうなんですけどね。ポーションに加えて、全員の装備を新調したから所持金がかなり減りましたから。今回のイベントの報酬をしっかり確保しないと」

「そこまで気にしなくていいと思うんだけどな~」

 戦闘などの話し合いはギリギリになって大きく変える訳でもないのですぐに終わり、その後は準備に使った所持金の減りについてドラゴと焔が話していた。この2人はパーティーの中でリーダーと副リーダのような役割をしているため、パーティーの活動資金の管理を任されていたのだ。
 ただ楽観的なドラゴと慎重な焔では少しお金に関する考え方が違って結局は纏まらずに終わる。
 
 そんな話をしている間にも周囲の人達は慌ただしく動いていて大半は住人の冒険者と騎士達だった。たまに住人に交じってプレイヤーの姿が確認できた。
 彼らは協力し合って前方の森方面に木製のバリケードを設置して、後方には小さな台のようなものを用意していた。その様子を不思議そうに遠巻きに見るプレイヤー達が見つめ始めると台の上に人の姿が現れた。

「冒険者に騎士、そして異邦人の者達も今回は良く集まってくれた。私はこの街のギルドマスターをしているジィーリストだ‼今回のスタンピードはゴブリンと低級の魔物だと考える者も多いだろうが、油断すれば…死ぬ。その事実をよく理解して周囲との連携を気にし、それが出来なくとも邪魔だけはしないようしろ!そして最後になるが今回は緊急依頼としてギルドで扱う事になっているので、活躍によっては高額報酬に冒険者ランクのアップの可能性も十分にある‼以上、死ぬ気で死なぬように頑張って戦えお前達‼」

「「「「うぉぉぉぉ~~~!」」」」

 台の上に現れたジィ―リスは周囲を挑発するように高圧的ではあったが発破をかけるように挨拶を終わらせて下がって行った。それに合わせるようにそこかしこで叫び声が上がっていた。
 その理由は様々で住人の冒険者や騎士達は報酬の話に、プレイヤーの大半も報酬の話に反応していたのだが同時に別の事にも反応していた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
《イベント:始まりの街の防衛‼》【開始‼】

 内容:押し寄せて来る魔物の集団から始まりの街を防衛せよ。異常繁殖したゴブリンの影響で東の森から魔物が溢れ出し、始まりの街へと襲い掛かって来るので被害を出さずに守り切れ‼防衛に失敗して被害を出した場合は一定期間、街の機能の一部が使用できなくなります。

 成功報酬は活動によって変動します。イベント後には活躍度ランキングの発表もあり、上位者には別で特別報酬を用意しているので頑張ってランキング入りを目指してください‼

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 ジィーリスの宣言と同時に全プレイヤーの目の前にイベント開始のシステムメッセージが表示されていたのだ。その内容を読んだプレイヤー達は興奮して叫び声をあげたと言う事だった。
 その中にはドラゴ達も入っていてメッセージが表示されると同時に装備を整えて何時でも戦えるように準備していた。

 そして壁に寄りかかりながら集中していたナギもメッセージには一応目を通したが別にやる事が変わる訳でもないので、すぐに興味を失くしたようにメッセージを消して森の方へと視線を向けた。
 するとガサガサ!と草をかき分けながら魔物達が飛び出してきて…ついにイベントが始まった。
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