「溺愛ビギナー」◆幼馴染みで相方。ずっと片想いしてたのに――まさかの溺愛宣言!◆

星井 悠里

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第23話

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 翌朝。
 寮の食堂で、朝食を食べてから、登校した。

 オレは窓際の一番後ろ。
 蒼紫は廊下側の前から三番目。

 とりあえず教室を入って、ばらけて、オレは、自分の席に鞄を置いた。

「おっはよー、涼」

 前の席から元気に声をかけてくるのは、宮市 純也みやいち じゅんや。職業は、モデル。結構売れてて、こいつも結構忙しい。お互い忙しくてなかなか会えないけれど、気が合って、一年の時から仲が良い。寮に泊まりに来たりもするので、蒼紫とも仲良くなってる。

「あれー? 涼、なんか寝不足っぽい顔してるけど。平気? クマできてるよ。珍しいね」
「あー……ちょっとだけね」

 オレ、すぐクマに出るんだよなー……。
 昨日、そこまでは、遅くなってないのに。

 昨日はあの後、蒼紫のベッドで、抱き締められて、眠った。

 ちゃんと心の準備が出来てから抱くからと言った蒼紫は、確かにそういうことは、しなかったんだけど。でも、キスしたり抱き締めたり。オレの心臓を乱しに乱して。

 ――しかも蒼紫は、オレを抱き締めたまま、先に寝ちゃったけど。オレは、なかなか眠れなくて。

 腕の中であんまり動けなかったから、何時なのか時計も見れなかったけど、結構眠ったの遅かった、かも。

 しかも。
 朝起きても。

 ……まあ一緒に寝たんだから、当たり前なんだけど。
 目覚めた直後に。

 この世で一番大好きな人が。
 目の前で、オレを見つめてるという。

 心臓にめちゃくちゃ悪い、目覚めを迎えてしまって。
 朝イチから、強烈すぎて。

 急いで、自分の部屋に戻って、顔洗って歯を磨いて、制服を着ていたら。
 部屋に入り込んできた蒼紫に、むぎゅー、と抱き締められて。

 どうしたの? と聞いたら、とりあえず外出る前に抱き締めておこうと思って、とか、言うし。

 結局ちゅうちゅうキスされて、もう。
 ……嬉しいやら、恥ずかしいやら。

 すでに、朝から、いっぱいいっぱいな訳で。

 こてん、と机に突っ伏すと。
 純也がクスクス笑った。

「涼たち、今日は仕事ないの?」
「午後から取材とか」

「写真撮影は無いの?」
「あると思うー……」

「じゃあダメじゃん。まあ、メイクで隠せるかな?」
「多分この位なら、バレないから……まあ午後までには目も覚めるし」

 はー、とため息をついていると。

「何して寝不足だったの?」
「何して……?」

 ……蒼紫の腕の中で、ぎゅーて抱き締められてて、とても心臓が寝られる状態じゃなくて、目の前の、カッコ良すぎる寝顔にときめいてたら、結構遅くなっちゃいました。

 ――とか、言える訳、ない。

 うーん……。

 黙って突っ伏していたら、でっかい手がオレの頭を包んで、クシャクシャされた。

「おー、蒼紫、おはよ」
「ん、はよ。涼、どした?」

 頭の上で、純也と蒼紫が喋ってる。……オレの頭撫でてんの、蒼紫か。
 
「なんか、涼、寝不足っぽいね」
「寝不足?」

 蒼紫の不思議そうな声がするので、仕方なく、ゆっくりと顔を上げた。

「寝不足なの? 涼」

 蒼紫が、あれ? という顔で首を傾げながらオレを見つめる。

 まあ。寝不足になるほど遅く寝たわけではないもんね。特に蒼紫は。
 その反応も、分かるけど。

「なかなか、寝付けなかったから、かも……」

 嘘が言えず、そう言ったら、純也があははーと笑い出した。

「珍しいなー。オレはいつでもどこでも五秒で寝れるとか言ってるのに」
「まあいつもはほんとにそうなんだけど……昨日は――」
「昨日は?」

「ちょっと嬉しすぎなことが、あって」

 つい素直にそう言ったら。
 蒼紫が。
 ものすごいびっくりした顔で固まって。

 オレをマジマジ見つめると。

「痛たっ?」

 蒼紫の手が、オレの両頬をぶにぶにっとつまんで。
 なんか、捏ねた。

「いたたただた、なに? 何なの?」

 騒いでるオレを、純也が大笑いで見てるし。

「あはは、蒼紫、何してんの。すげー面白いんだけど」

 ……めっちゃ楽しそうだけど、純也。

 その時予鈴のチャイムが鳴って、頬が離された。
 む、とした顔で、蒼紫が離れていく。

 何なの、もう! 蒼紫ってばっ。
 ほっぺがーーー!

 と思っていたら、ポケットでスマホが震えた。

 まだ先生が来ていないので、ちらと見たら、蒼紫で。
 なんだよっと思ったら。

『キスしたくなるから、可愛すぎること言わないで。かろうじてほっぺ摘まんで耐えたぞ』
「――……」

 かあっと、知らず、赤くなって。
 オレはスマホを閉じて。ぱたんと、机に、倒れた。





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