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第29話
しおりを挟む「あ、蒼紫、ちょっと待って」
「ん?」
「脱がないで待ってて」
オレは自分の鞄からスマホを取り出すと、蒼紫に向けた。
「カッコいい顔して?」
ぷっと笑いながら、蒼紫がカメラに向けて、笑ってくれる。
シャッターを押して、学ラン姿の蒼紫、ゲット。
「それ何すんの?」
「え? 何するって……見るだけだよ」
「何で」
「え、何でって。学ランの蒼紫、レアだから」
何でって言われると困るのだけど、と思いながら言うと、蒼紫にまた笑われる。
「涼って、オレのこと、結構好き?」
「え。……うん。結構、ていうか」
かなり、すごく、だいぶ、大大大好きだけど。なにか?
なんて、さすがに恥ずかしくて言えないので、心の中で言うと。
でも何となくニュアンスで伝わったみたいで、蒼紫はなんだかとっても嬉しそうにしている。
「涼も撮らせて」
「え。あ、うん。ちょっと待って」
蒼紫に外されたボタンをぷちぷち留めていると。
「そのままでいいのに。ちょっとエロいし」
「ばっ……! どっかで何かの表紙に見られたら困るだろっ!!」
真っ赤になって睨んでると、蒼紫がおかしそうに笑いながら、そんなオレを写真に撮ってる。
「あ! 今のは消してよ」
「んー、あとでな? ほら、こっち向いて」
「もー」
「ほらほら、笑って。良い顔」
そう言われると、ついつい笑顔になってしまう、条件反射。
それに、蒼紫に撮ってもらえて、それもまた嬉しい。
だってオレが蒼紫の写真、ほしいみたいに、蒼紫もオレの写真がほしいのかなーって思ったら。嬉しい。
「ん、可愛い」
「カッコいいじゃないの?」
「可愛いしカッコいいよ」
くすくす笑いながら、蒼紫が言って、スマホをテーブルに置いた。
「なんかオレら、お互いこんなにダダ漏れになるくらい好きだったのに、よく、ばれないように我慢してたな?」
学ランのボタンをはずしながらそんなことを言ってる蒼紫に、オレはプルプルと首を振った。
「当り前じゃん。バレないことに最大限気を使ってたもん」
「まあ、オレもだけど」
「蒼紫なんて、まったくかけらも思わなかったよ」
「まあ……バレたら居られなくなると思ったら、そりゃ絶対ばらさないだろ」
そういう言い方をされると――そんなに、オレと居たかったのかーと思えて、とても嬉しい。
ふふ、と微笑んでしまいながら、学ランを脱いでいると、蒼紫が、そういえば、と笑った。
「お前、さっき、撮影で最後見つめ合った時、照れたろ」
「あ……」
「ちょうどOKかかって良かったけど」
言いながら蒼紫が上着を脱いでハンガーにかけてる。
「もいっかい、気合いれろよ。バレるぞ?」
くすくす笑ってる蒼紫に、うん、と頷きながらも。
「ていうか、蒼紫が」
「ん?」
「蒼紫が、今までと違う感じで、オレに笑いかけたりするから、だもん」
そう言ったら、蒼紫は、え、と固まって。
「そうだった?」
苦笑いしている。
「え、意識してないの?」
「そう言われると、あん時、確かに、すげー可愛いなと思ってたかも」
オレも学ランの上着を脱いで、ハンガーにかけながら、蒼紫を見つめる。
「オレ、見つめ合った時は、大丈夫、耐えれる、て思ったのにさ」
恨めし気に言うと、蒼紫が苦笑い。
「――お互い、気合、入れ直すか」
「うん。そだね」
「とりあえず当分はバレないように、行こ。邪魔されたら嫌だし」
「うん。分かってる」
うんうん、とめっちゃ頷いて。
ぷ、と笑った蒼紫に、頬に触れられて、ぷに、と摘ままれた。
「二人きりじゃない時は、触んねえから」
「ん」
「寮帰ったらいっぱい触る」
「うん」
「つか。そろそろ着替えねーとヤバいか」
「うん」
ぷ、と笑いあって。
オレ達は、急いで、着替えに入った。
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