【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「やっぱり」*玲央

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 優月が並べてくれたグラタンをフォークで刺すと、中にマカロニ。

「シチューにわざわざマカロニ入れたんだ?」
「うん。だってグラタンだし……好きじゃなかったりする?」
「いや? 好き」

 よかった、と優月が笑う。

「そういえば、玲央って、嫌いなものある?」
「――――……」

 嫌いなもの……。

「そんなに思い当たらないかな……。食べたことないものはあるかもしれないけど」

 オレがそう言うと、優月はクスクス笑って「ピスタチオとか?」と聞いてきたので、頷きながら、ふと。

「そういえば、ピスタチオって、何なの?」
「何って?」

「果物とか?」
「……ナッツ、だったと思う」

「ああ、そうなんだ……ああ、言われてみればナッツっぽいかも」
「うん。多分そう」

「……ナッツの形でも見たことないな」
「……オレも、ナッツの形では無いかも……オレが食べるのはアイスが一番多いかなあ……そういえばもともとどんな形なんだろ」

「もしかしたら、昨日のアイスの袋に書いてあったのかもな」
「……見てないね」


 二人で、顔を見合わせて、ふ、と笑ってしまう。


「嫌いなもの無いなら、ごはん作るのはらくちん」
「優月は?」
「オレも、そこまで絶対食べれないってものはないかな」
「そっか」
「うん」

 優月は頷いてから、ふとオレを見上げてくる。


「玲央が大好きな食べ物って?」
「大好き?」
「うん。一番……ていうか、いくつか好きなの」

 そう言って、なんだかとてもわくわくした顔でオレを見つめてくる。


「……大好きか。えーと……」
「うんうん」

「……刺身とか寿司とか……餃子。ラーメン。カレー……」

 よく食べるものを思い浮かべながら挙げていると、不意に優月がクスクス笑った。

「よかった」
「ん?」

「お刺身とかお寿司が先に来たから、すっごい高級なお店のかなって、ちょっと思ったの」
「――――……」

「そしたらその後、餃子とかラーメンとか、カレーとかになったから。なんだかちょっと嬉しくなっちゃった」

 なんだかすごく楽しそうに笑って、そんなことを言ってる。

 食べ物の好き嫌いの話をしてる、ただもう世間話並みの、普通の会話なのに。……何でこんなに可愛いのだろうか。
 不思議すぎる。


「カレー今度一緒に作ろ」
「うん!」
「色んなスパイス買ってこよっか」

 そう言うと、優月が、ん?とオレを見つめる。

「んん? もしかして、ルー使わない?」
「んー、使ってもいいけど。使わなくてもうまいよ」
「へー……」

 なんだかすごくキラキラした顔でオレを見てくる。

「作る作る。オレ、一から作るの初めて」
「――――……」

「楽しみー。いつ作ろっか」


 なんだか本当に、楽しそう。

 ――――……あぁ、可愛い。何なの、これ。

 可愛いを言い過ぎな自覚があるし、こんな、カレーの話を普通にしてて、急に可愛い言われても困るかなと思うので、咄嗟にちょっと堪えるが。


 手は勝手に動いて。


「――――……?」

 よしよしされた優月がきょとん、としてオレを見上げてくる。


「……?」

 ふふ、と笑んで、でも少し不思議そう。
 何で撫でたのかな? と思っているんだろうなと思うと。



 抑えようと思ったけど、つい、笑ってしまって、口元、握った手でちよっと隠していると。
 優月がますますきょとん、として、オレを見てる。


「――――……あーもう」

 後頭部に手をまわして、そっと自分に引き寄せる。



「……可愛い」

 耐え切れずに結局そう言って、優月の頬にキスすると。

 きょとんとしていたけれど、すぐに、嬉しそうに笑った顔を見て。



 やっぱり言った方がいいのかも、と思った。







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