【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
503 / 863
◇同居までのetc

「やっぱり」*玲央

しおりを挟む
 
 優月が並べてくれたグラタンをフォークで刺すと、中にマカロニ。

「シチューにわざわざマカロニ入れたんだ?」
「うん。だってグラタンだし……好きじゃなかったりする?」
「いや? 好き」

 よかった、と優月が笑う。

「そういえば、玲央って、嫌いなものある?」
「――――……」

 嫌いなもの……。

「そんなに思い当たらないかな……。食べたことないものはあるかもしれないけど」

 オレがそう言うと、優月はクスクス笑って「ピスタチオとか?」と聞いてきたので、頷きながら、ふと。

「そういえば、ピスタチオって、何なの?」
「何って?」

「果物とか?」
「……ナッツ、だったと思う」

「ああ、そうなんだ……ああ、言われてみればナッツっぽいかも」
「うん。多分そう」

「……ナッツの形でも見たことないな」
「……オレも、ナッツの形では無いかも……オレが食べるのはアイスが一番多いかなあ……そういえばもともとどんな形なんだろ」

「もしかしたら、昨日のアイスの袋に書いてあったのかもな」
「……見てないね」


 二人で、顔を見合わせて、ふ、と笑ってしまう。


「嫌いなもの無いなら、ごはん作るのはらくちん」
「優月は?」
「オレも、そこまで絶対食べれないってものはないかな」
「そっか」
「うん」

 優月は頷いてから、ふとオレを見上げてくる。


「玲央が大好きな食べ物って?」
「大好き?」
「うん。一番……ていうか、いくつか好きなの」

 そう言って、なんだかとてもわくわくした顔でオレを見つめてくる。


「……大好きか。えーと……」
「うんうん」

「……刺身とか寿司とか……餃子。ラーメン。カレー……」

 よく食べるものを思い浮かべながら挙げていると、不意に優月がクスクス笑った。

「よかった」
「ん?」

「お刺身とかお寿司が先に来たから、すっごい高級なお店のかなって、ちょっと思ったの」
「――――……」

「そしたらその後、餃子とかラーメンとか、カレーとかになったから。なんだかちょっと嬉しくなっちゃった」

 なんだかすごく楽しそうに笑って、そんなことを言ってる。

 食べ物の好き嫌いの話をしてる、ただもう世間話並みの、普通の会話なのに。……何でこんなに可愛いのだろうか。
 不思議すぎる。


「カレー今度一緒に作ろ」
「うん!」
「色んなスパイス買ってこよっか」

 そう言うと、優月が、ん?とオレを見つめる。

「んん? もしかして、ルー使わない?」
「んー、使ってもいいけど。使わなくてもうまいよ」
「へー……」

 なんだかすごくキラキラした顔でオレを見てくる。

「作る作る。オレ、一から作るの初めて」
「――――……」

「楽しみー。いつ作ろっか」


 なんだか本当に、楽しそう。

 ――――……あぁ、可愛い。何なの、これ。

 可愛いを言い過ぎな自覚があるし、こんな、カレーの話を普通にしてて、急に可愛い言われても困るかなと思うので、咄嗟にちょっと堪えるが。


 手は勝手に動いて。


「――――……?」

 よしよしされた優月がきょとん、としてオレを見上げてくる。


「……?」

 ふふ、と笑んで、でも少し不思議そう。
 何で撫でたのかな? と思っているんだろうなと思うと。



 抑えようと思ったけど、つい、笑ってしまって、口元、握った手でちよっと隠していると。
 優月がますますきょとん、として、オレを見てる。


「――――……あーもう」

 後頭部に手をまわして、そっと自分に引き寄せる。



「……可愛い」

 耐え切れずに結局そう言って、優月の頬にキスすると。

 きょとんとしていたけれど、すぐに、嬉しそうに笑った顔を見て。



 やっぱり言った方がいいのかも、と思った。







しおりを挟む
感想 840

あなたにおすすめの小説

複数番ハーレムの中に運命の番が加わったら破綻した話

雷尾
BL
合意を得なきゃだめだよね。得たところで、と言う話。割と目も当てられないぐらい崩壊します。

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

僕たちの世界は、こんなにも眩しかったんだね

舞々
BL
「お前以外にも番がいるんだ」 Ωである花村蒼汰(はなむらそうた)は、よりにもよって二十歳の誕生日に恋人からそう告げられる。一人になることに強い不安を感じたものの、「αのたった一人の番」になりたいと願う蒼汰は、恋人との別れを決意した。 恋人を失った悲しみから、蒼汰はカーテンを閉め切り、自分の殻へと引き籠ってしまう。そんな彼の前に、ある日突然イケメンのαが押しかけてきた。彼の名前は神木怜音(かみきれお)。 蒼汰と怜音は幼い頃に「お互いが二十歳の誕生日を迎えたら番になろう」と約束をしていたのだった。 そんな怜音に溺愛され、少しずつ失恋から立ち直っていく蒼汰。いつからか、優しくて頼りになる怜音に惹かれていくが、引きこもり生活からはなかなか抜け出せないでいて…。

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

宮本くんと事故チューした結果

たっぷりチョコ
BL
 女子に人気の宮本くんと事故チューしてしまった主人公の話。  読み切り。

今からレンタルアルファシステムを利用します

夜鳥すぱり
BL
大学2年の鳴水《なるみ》は、ずっと自分がオメガであることを隠して生きてきた。でも、年々つらくなる発情期にもう一人は耐えられない。恋愛対象は男性だし、男のアルファに会ってみたい。誰でも良いから、定期的に安全に話し相手をしてくれる人が欲しい。でもそんな都合のいい人いなくて、考えあぐねた結果たどり着いた、アプリ、レンタルアルファシステム。安全……だと思う、評価も星5で良いし。うん、じゃ、お問い合わせをしてみるか。なるみは、恐る恐るボタンを押すが───。 ◆完結済みです。ありがとうございました。 ◆表紙絵を花々緒さんが描いてくださりました。カッコいい雪夜君と、おどおど鳴水くんです。可愛すぎますね!

処理中です...