【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「双子たち」*優月

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 昨夜ひたすら幸せに眠った。
 で。……朝起きても、幸せで。一緒に朝ご飯食べて。
 午前中は、本を読んだり家事をしたりしている内に時間が過ぎた。

 そろそろお昼かなと思ってたら玲央が来てくれて、結局一緒に食べたのだけど、その前にソファでめちゃくちゃ優しくキスされて。


 なんか。
 ――――……幸せだなあ……。

 一緒に食べ終わった食器を片付けながらずっと、ぼー、と玲央のことを考えてる。

 玲央はオレを幸せにしてくれるから。
 ……オレも、玲央を幸せにしたいな……。

 オレに何ができて、どうしたら、ずっと居られるかなって、よく考えちゃうけど。
 ……オレは、ずっと玲央と居たいなぁって思ってて、玲央も今はそう思ってくれてるみたいだから。

 このままの関係で居られたらいいんだろうけど。

 ……でも、そんなこと言ったら、世界中の恋人たち、誰も別れたりしないだろうし。
 付き合い始めた時の、このままで居るっていう、そこが難しいんだろうけど。


 ――――……玲央と居れる時間が大事って。
 居れる限り、ずーっと思ってよ……。


 とりあえずそんな結論に落ち着いて、ちょうど食器も片付け終わった。


 ――――……何、しようかなぁ。

 本さっき読み終わっちゃったし。
 二冊目もあるけど。

 窓際に近寄って、広い窓から、空を見上げる。
 前に高い建物がないので、完全に開けっ放しでも、誰からも見えない。


 空が、綺麗。景色、いいなぁ……。


 ……夕飯、何にしよう。
 白いもくもくした雲を見ていると何かが浮かびそうだけど……。


 なんだろう、あの形……。
 ――――……ああ、なんか、連なってて。


 ……焼き鳥にしようかな。
 昨日モモ肉買ってきた。

 ……串はさすがに玲央の家にはなさそうな気がするから……買い物に行ってこよう。
 焼き鳥と、出し巻き卵と、サラダとみそ汁。

 よし、決定。
 窓を網戸にして、財布をカバンを入れて、一応スマホを持って、玄関へ向かう。

 世のお母さんたちも、夕飯のメニューが決まるとこんな感じですっきりなのかなあ、と、そんなことを思ったりもする。
 ふんふん、と鼻歌気分で外に出た時。
 手に持っていたスマホが、震え出した。

 着信――――……。あ。樹里だ。
 そういえばこないだ一樹の方から喧嘩したって電話が来て、そのあと樹里からはきてなかったな……。

 仲直りしたのかと思ってたけど……。

「もしもし? 樹里?」
『あ、ゆづ兄?』
「うん」

『ねえ、今、家?』
「ううん、今出てる」

『ちょっと今日、ゆづ兄のとこ泊めて?』
「え。どうしたの? 明日も学校でしょ?」

『ゆづ兄のとこから行く』

 首を傾げてしまう。珍しい。

「樹里、どうしたの?」
『……一樹がムカつくんだもん』

 案の定のセリフ。
 ……それにしても。

 ――――……あれ、聞いたのいつだっけ。
 もう何日か経ってるなあ。


「一樹にも最近ちょっと聞いたけど。続いてるの? 同じ話かな?」
『……多分』

「なんか、長いね? 喧嘩」
『――――……だって、すごく、ムカつくんだもん」

「……喧嘩してからちゃんとしゃべってないの?」
『うん』

「珍しいね」

 クスクス笑うオレに、笑い事じゃないし、と樹里が怒ったみたいな声を出す。

「んー……最初何があったの?」
『もう覚えてない』

「え、覚えてないの?」
『最初は覚えてないけど、もうその後の一樹の態度が最悪で』

 誰も居ないので、エレベーターもずっと色々聞きながら、スーパーの前に辿り着いた。

「オレ今から買い物してくるからさ。一番最初に喧嘩した理由を、思い出しておいてくれる?」
『もう覚えてないよー!』

「それでも考えてみて? 大事でしょ?」
『……わかった』

「じゃあまた後で連絡するから』

 渋々な樹里との電話を切って、それから、一樹にメッセージを送る。

「樹里と喧嘩した原因、一樹なりのでいいから、オレに送ってくれる?」

 そう入れたら、即座に「忘れた」と入ってくる。
 苦笑いが浮かぶけど。


「思い出して、送ってね」

 そう入れると、少ししてから、了解、と届いた。


 ――――……春休みに帰ったきりだから、すこし会ってないけど。


 こんなに長いこと、喧嘩してるのは珍しい。
 あんなに普段よく喋ってる子たちなのに、喋れてないなら、もうそのことがストレスなんだろうなあ……。


 さてさて。
 ……二人、何て言ってくるかなあ……。

 同じならいいけど。


 

 
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