62 / 274
side*陽斗 6
しおりを挟む嘘だろ。昨日のオレ。マジか。
……酔ってた。…………酔っては、いたけど。
――――……でも、そこまで前後不覚だった訳じゃない。
――――……全部覚えてるし。
起きるのを待つのは耐えられなくて、三上を起こした。
がばっと起き上がられて。びっくりする。
「あ。――――……おはようございます……」
普通に、挨拶はしてくれた。
よかった。怒っては、ないみたい。
でも、とにかくとんでもない事させて、ごめん、と、
ひたすら謝ったら。
そしたら。キスしたくてしたんだ、と三上は言った。
今も、キスしたい、と。
しばらく考えさせてとオレが言ったら、観光を楽しもう、と言ってくれた。
……やっぱり、優しいし。
なんかオレの中の三上の評価がものすごい上がっていく……。
朝食の時、迷ったり後悔したりしないのか聞いたら。
「昨夜した事は後悔してないですし。今もしたいっていうのは……本当ですけど。 でも、先輩が嫌なら、2度としませんよ」
って、なんかものすごく普通の事みたいに言うけど。
普通そんなに割り切れないと思うんだけど。
――――……昨日はしたくてしたから後悔してない。今もしたい。でも嫌なら2度としない。とかさ。
……オレだって、昨日、嫌だったら、途中で止めてる。
いけない、と思いながら、良すぎて、流れに任せてしまった。
嫌じゃなさ過ぎたから、本当に、困ってしまう。
「――――……今夜も、一緒に、泊まります?」
そう言われて。
昨日の事が全部頭によみがえってきてしまった。
その時に浮かんだ感情は、それを嫌だとは思っていない、そんな想いで。
鼓動が早過ぎて、困る。
目の前に居るのは、後輩。
昨日は酒飲んで変な相談とかしちゃって、あんな事になってしまったけど、来週からまた、自分の下に居る、指導すべき、後輩。
顔見て、ドキドキする対象の相手じゃない。
はず。
なのに。
部屋に戻ってすぐ、洗濯してもらった洋服を三上に渡すと、さっさと浴衣を脱ぎ捨てて、着替え始めてしまった。
……男同士だし、昨日、風呂も一緒に入ったし、全然普通の、行為。
なのに。その裸に、昨日しがみついてしまった、三上を思い出して。
オレは、思わず、洗面所に逃げ込んでしまった。
着替え持って洗面所って。
……女子か、オレ!!
なんか、出られない。
隠れてしまったせいで、余計恥ずかしくなった。
外で普通に着替えれば良かった。
こんなの、意識してるって、言ってるみたいなもんじゃん。
……マジでバカ、オレ。 しっかりしろよ。
恋したての女子高生じゃあるまいし……
と自分で考えて、更にその考えた言葉に、クラクラしてくる。
って ……恋したてってなんだ!
女子高生ってなんだよーもうーー!
思考自体がアホっぽくて、もう、自分にうんざりしてくる。
時間が経てば経つほどに、戻れなくなると思って、何とか着替えて部屋に戻ると。
「似合いますね」
なんて言われて。
「あ。うん。……ありがと。三上も、似合うよ」
「そうですか? 自分的には、かなり違和感ありますけど」
……っっ何なんだこの会話。
めっちゃ恥ずかしい。
そう思っていたら、三上が、オレの横を通って、その瞬間。
びく、と体が震えてしまった。
なんでオレ。今。びくついた?
触られるとか思った?
でもべつに 嫌だったわけじゃない。
どき、と、した。
ああ、もう――――……ヤバい。
三上は、昨日、言ってた。
そんな事しても、仕事に支障なんか出さないって。
大人なんだし、慣れてるし、今更、とか。
……このままじゃ、どう考えてもオレだけが、仕事にめちゃくちゃ支障が 出てしまいそう。――――……どうしよう。
ふらふら窓際にたどり着き、綺麗な庭園を眺める。
――――……キレイ。ちょっと落ち着く。
そうだよ。ちょっと落ち着け、オレ……。
――――……昨日は、酔ってた。
三上も、絶対酔ってた。
……キスは良すぎて困ったけど。
まあ最初の生理的な嫌悪とかがなければ、別に男でもできてしまうんだなって、分かってしまった事はびっくりだったけど。
……ていうか。
ほんとにヤバい位。良すぎて、困ったけど。
キスしたいと思わない、とか。
……どの口が言ってんだ、オレ。
91
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる