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第3章
「ルカの結界」
しおりを挟むゼクスとカノンが呆れたように、オレとミウを見てから、ちょっとため息をつきながら言った。
「創神のお気に入りを変身しさせて向こうに飛ばした挙句、死なせたとか……マジでありえねえよな。謝った方がいいのかな……」
カノンが言う。すると、ゼクスも嫌そうに眉を顰めながらも。
「とりあえず救いがあるのは、全然ダメージもなさそうにここに居ることと、向こうの世界で懐いてた人間と、今も楽しそうにしてるってことだな」
「……まあ、それはそうか。なら平気かなぁ……?」
オレはミウをぎゅ、と抱き締めつつ、二人を見つめた。涙を手の甲で拭いてから、頭フル回転で考える。さっきから気になってたことがある。
「あのさ、ミウもオレもこっちに来ちゃってるってことは……命、ルカの世界に偏っちゃってるんじゃないの?」
「お、鋭いな、ソラ」
カノンがオレを指差して、うんうん頷いてくる。人を指差しちゃいけないんだぞ、と思いながら、神様にそれを教える奴はいないのか? とか、どうでもいいことが浮かぶけど、それはすっ飛ばして、次の質問を考えながら口にする。
「ほんとは魔王とミウを交代させとくはずだったのに、オレまでこっちに来ちゃってるし、ミウも戻ってきちゃってる、てことだよね?」
「そうそう、お前、意外と頭良いな」
……意外とって。カノンのセリフに、むーっと思いながらも、先が聞きたいからそのまま続ける。
「オレと魔王は、向こうに帰らなきゃいけないって、ことだよね?」
「まあ、そうだな。大体分かった?」
オレは、色々考えながらも、小さく頷いた。すると、ゼクスが少し真剣な視線でオレを見て、声を低くした。
「魔王は確実に向こうに返さなきゃいけない存在ではある。魔王が居る限り、魔物が生まれ続ける設定になってるし。そこはルカが魔王討伐を頑張ると思うんだけど――それで、ソラの話なんだが……」
「――うん」
――オレ、すぐに、戻らないといけないのかな。
ルカと皆と、ミウとも……今すぐに、離れないといけないのかな。
帰らなきゃいけないんだと思いながらも、そう考えると、なんだか、背筋が、そわ、と寒くなる。
「本当は、あの後、すぐお前のとこ行って、元の世界に戻すつもりだった。でも、出来なかった」
できなかった……? ゼクスの言葉に首を傾げたオレに、カノンが「ほんと意味分かんないんだけどさ」と言った。
「ルカがさ、かなり強力な結界をソラに張っていたみたい」
「――」
「それでこっちから全然見つけられなくてさ。だからもうお前は死んじゃって、元の世界で生まれ変わってるんだって思ってたんだよ。だって、オレ達が見つけられないなんて、普通無いしさ」
そういえば、ルカ、言ってたっけ。何かも、分からない物から守る、みたいなこと。誰かにオレが連れ去られないようにって言ってたルカの結界。本当に役立ってたんだ、と思うと、なんとも言えない気持ちになる。
「……もしも、オレが本当にこっちの世界で死んでたら、向こうで生まれ変わる、として……元のオレの家族とかはオレのこと、覚えてるの?」
「あー、そこは、家族にとったら、行方不明扱いになるかもね」
「……はー? ……それはひどくない? 家族には何も知らせず、オレだけ生まれ変わるの? どっかで別の赤ちゃんになるってこと?」
軽いカノンの言葉にムッとしたオレに、ゼクスが大きく頷いた。
「そうなる。人間が一人くらい行方不明になったって、別に大したことはないし。そもそも、たくさんいるだろう、行方不明者なんて」
「……居る、とは聞いたこと、あるけど……」
確かにかなりの数の行方不明者がいるとは、ニュースで見たことはあるけど……。
「その中のどれ位かは分からないが、別の次元に行った奴もいると思う。とにかく、オレ達は、その命がどこかの世界で生きて、バランスが取れていればいいんだ」
「――――っ」
あーもう。なんかひどい。こういうとこ、人間ぽくない。
オレらは、お前らのコマじゃないんだけど! と言いたいけど。通じない気がする。
――ムカつくけど、言っても無駄そうなことより、今はもっと実になる話をすべきだよな……。
「……じゃあ……もし、オレをすぐ見つけて、元の世界にすぐ返してくれてたらどうなってたの?」
「こっちの世界の記憶は消して、あのゲームをやってた瞬間に、ソラを戻したと思う」
それなら、オレは何もしらず、元通りになってたってことか。もしかしたら、それはそれで、良かったんだろうか……でも、それだと――ルカ達とのことは、全部なかったってことで……それはものすごく、寂しいって思うし。
「なあ。お前は、ルカとどんな関係になってんだよ?」
「……え??」
不意にカノンに聞かれたことを、自分の中で繰り返す。
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