304 / 307
第3章
「目覚める」
しおりを挟む「どんなって……?」
「オレらに感じ取らせない程の強力な結界なんて、結構な力を使うはずなのに、ルカ、ずっと張ってたんだよな」
「――――」
「つか、オレらから見えない結界って、そもそもなんだっつー話……」
呆れたように、倒れたままのルカを見下ろして、ため息をついてる。
「ソラ、さっき、魔王のとこに居たんだろ? お前の気配、感じて見に行ったら、魔王とルカが居るし、なんな訳?」
「――魔王の結界の中に居た時も、オレのこと、見えなかったの?」
「そう。つか、その前にも、一瞬、気配を感じたんだよな。でもすぐになくなったから、なんだろうとは思ってたんだけど」
「それって多分……ルカの結界から出て、魔王のところに飛ばされる瞬間、かな……?」
不思議そうなカノンに、思い当たることを聞いてみると、ゼクスが、それだな、と頷いてる。
「――そういうことかぁ。ルカも魔王も、なんでお前に結界を張りまくってるんだ?」
カノンはめちゃくちゃ不思議そう。
「……魔王は、多分、ルカに見えないように、だと思うけど」
「じゃあ、ルカは、なんで?」
はー、とため息を吐くカノンと、隣で黙って考えてるっぽいゼクスを見ながら、オレも、考える。
魔王の結界の理由は、今言ったとおり、オレを、ルカに見せないためだよね……。
魔王がオレをさらったのは、自分が魔王としてルカの世界にきた時の光と、オレが現れた時の光が、一緒だったからって、言ってたから――あれだな、自分がどこから来たのか、知りたがってたって話だ。
ルカは……オレをルカの世界に送った奴がいるなら、そいつに見えないようにって言ってた訳で。
――神様二人が不思議がるような、そんな強力な結界を、ずっとオレに張っててくれたんだなぁと思うと。なんだかちょっと感動して、また涙が滲む。
とにかくさ、とカノンがまた話し始める。
「さっき、お前の気配を感じた時も、本当は、そのまますぐ元の世界に返そうと思ったんだ。こんな説明はせずに、元の世界に返して、ソラもルカも、お互いのことは忘れさせればいいし……全部が元通り、あとは、さっさとルカが魔王を倒して、魔王を戻せばいい、とも思ったんだけど……」
「……けど、何?」
オレは首を傾げながら、腕の中のミウを、よしよしと撫でる。
元の世界に……無理無理戻されて、ルカのこととか、忘れるとこだったんだと思うと。それが、本来そうあるべきだと思うのに、切なさに、泣きそう。
……もう今のオレにとって、ミウのフワフワは、かなりの精神安定剤だ。
ゼクスとカノンは、顔を見合わせて、眉を寄せた。
「ただ、あれだけの結界を張ってまで、守りたかった奴を、ルカがすんなり忘れてくれるのかっていうのが気がかりで――ルカは、色々規格外なんだよな。ソラのことを思い出されて、居なくなったダメージで魔王を倒せないとかなったら困るし」
そこまでカノンが言った時、横たわっていたルカが、不意に動き出して、額を押さえながら体を起こした。
「あ。ルカ……!」
ミウは、オレの腕からふわりと浮いて、オレは、ルカの隣に膝をついた。よかった、目が覚めて。
なんだかものすごくほっとして、またまた涙が浮かぶ。
ルカは、ぼんやりした顔をしてる。
まだ目を開けたばかりで、状況とかは何も分かってないと思うのに。
ふ、とオレに視線を向けて、顔を見つめた瞬間。
「ソラ」と名を呼んで、そのままオレを引き寄せた。
「……何、泣いてンだ」
そう言って。腕の中に、守るみたいに。
……よけい、涙が、滲む。
すると、カノンが呆れたようにため息をついた。
「――だからさぁ……なんで勝手に目覚めるわけ? 起きれるはずないんだけど……」
ほんと嫌、と、カノンがぼやいている。
539
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる