21 / 35
第4章◇なんで?
「散歩好き?」
しおりを挟む投げつけた枕を、快斗が優しく投げ返してくれる。
「オレ、そんなに緊張してた?」
「うん。してた。オレが笑ったら、ホッとした顔してた」
クスクス笑ってる快斗。
……そう言われてみれば、してたかも……。
「快斗は……何でも分かっちゃうんだもんな……」
「ん?」
「考えてる事さ、昔から、何でも分かっちゃうんだよなー……」
「ああ……そう思ってたのか?」
「うん。昔から、快斗は人の気持ちが分かってすげーなーって思ってた」
「人の気持ち……」
快斗はちょっと苦笑い。
「つーか――――……オレが何でも分かるのは、愁の事だけだよ」
「……ん?」
「そんだけお前のことばっか見て、考えてたって事。他の奴の事はそこまでは分かんねーよ?」
「あ ……そう、なんだ……」
……また恥ずかしいこと、平気で言う。
いや、でも、快斗は他の人の事も鋭い、と思うけど…。
「それにさ、分かんない事もあるよ。特に、今の愁が何考えてるかは、今日話して分かった事も、いっぱいある」
「――――……そっか……」
……そりゃそうだよな。
……オレだって、自分の気持ち、話しながら、色々考えてる感じだもんな。
ここ数カ月は快斗、側に居なかった訳だし。
「また明日色々話そうな?」
「……うん」
オレが頷くと、快斗も、ふ、と微笑む。
「……今日はそろそろ、寝よっか。早く寝て、明日早く起きて散歩しよ」
「―――…うん」
快斗が電気を暗くしたので、布団にあおむけに転がる。
……散歩。 昔からよく、快斗に連れだされたっけ。
よく一緒に歩いたなあ……。
「……散歩好きだよね、快斗」
「――――……ん?」
「―――……散歩いこって、しょっちゅう誘われて、河原とか駅の方とかよく行ったなーって。オレ、裏道、超詳しくなったもん」
「ああ……」
少しの沈黙の後。快斗が、ぷ、と笑った。
「……何で笑うの??」
「んー。愁って、ほんと、何も分かってないなーと思って」
「……?? 何が?」
ちょっとむっとして。むく、と起き上がって、快斗の方を見る。
暗いけど、カーテンの隙間からの光で、表情位は見える。
快斗はうつぶせに寝ころんだまま、顎に手をついて、斜めに見上げてくる。
「オレ、別に散歩好きじゃないよ?」
「……散歩、好きじゃないの? え、じゃあなんであんなに……」
「散歩が好きなんじゃなくて、愁と話しながら歩くのが好きなんだよ」
「――――……っっ……」
――――……もう。無理。絶対、勝てないし。 絶対、無理だし。
なんかもう、今日あちこちでドキドキしすぎて、もう、無理。
オレは何も答えず、ずるずるとうつぶせに布団に沈んだ。
◇ ◇ ◇ ◇
――――……んん……。
………ん?
あれ?
「――――……愁……」
快斗の裸、カッコイイ。
筋肉がキレイについてて、男っぽい。
……え。なんで、快斗、裸?
裸の快斗に、抱き締められて。
ゆっくりキス、されて。
ほわほわ浮かんでるみたいな気持ちになって。
ああ、オレ、快斗、大好きだなーなんて、思って。
ぎゅ、と抱き付いて。 優しいキスを、受けてると。
舌がまた、入ってきて。
――――……それも気持ちよくて、
何も、抵抗もできずに、抱き付いて――――…。
「かいと……」
大好き。そう言おうとした瞬間。
「あ、起きた? 愁」
「………………え」
その声に、はっと現実に引き戻された。
快斗のかわりに抱き締めていたのは、枕だった。
あ、そうか……ゆうべ、あのまま寝ちゃったのか……。
ゆ……夢か。
ごろん、と転がって、枕をさらに抱きしめる。
恥ずかしすぎて、快斗の顔を見られない。
41
あなたにおすすめの小説
「短冊に秘めた願い事」
星井 悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
「誕生日前日に世界が始まる」
星井 悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる