「桜の樹の下で、笑えたら」✨奨励賞受賞✨

星井 悠里

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第二章

12.

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「いいなあ。心春と高校に通えて」
「――――……」

「しかも同じクラスとか。羨ましいなあ……んー、伊織、呪っても良い?」

 霊に呪っていいか、直で聞かれた……。
 悠斗に視線を向けると、クスクス笑ってる。

「……悠斗にはできねーよ。そういう感じ、一切ねえし」
「冗談だよ」

 可笑しそうに笑う悠斗。

「でもほんと――――……いいなぁ……」

 しみじみ言った悠斗の素直な言葉に。
 何だか色々考えながら、家に帰る。

 じいちゃんはさっき出かけてたから、父さんと二人で昼食を取った。


「あ、そうだ、伊織」


 父さんが何かを持ってきて、苦笑いと共に、オレに差し出す。
 受け取って見ながら。


「何……伝票?」
「じいちゃんから言伝なんだけど」
「?」

「伊織、買い物頼む、って」

「……買い物?」

 言いながらよくよく見ると、あれやこれやの予約票。
 品名見ると、神社で使うものから、絶対じいちゃんの私物っぽいものまで様々。

「何これ。何枚あんの?」
「神社の物は多目に買うから取り寄せになる物も多いらしくて。あとは父さんにもよく分からない物もあるけど」

「――――……はー。もーいーや。わかった」

 どうせ午後は暇だし。
 明日からまた空手が始まるから、行くなら今日中に行った方がいい。


「これ全部支払い済み?」
「うん、多分」

「じゃあ受け取ってくる」

「ありがと、伊織」

 父さんが苦笑いでお礼を言ってるが。
 頼んだのじいちゃんだしなと、オレも苦笑い。



◇ ◇ ◇ ◇


 食事の後少し休んでから、駅前にある大きなショッピングモールに来た。

 一体、何なんだ、こんなにたくさん。
 絶対、オレに行かせようとして、ためてたに違いない……。

 仕方なく、予約票の店名と、館内案内の店名を見ながら、あちこちの店に受け取りに行く。
 やっと全部受け取り終えた時にはもうぐったり。

 大きなショッピングモール。東館、西館、南館、北館、それそれが4階建て。

 じーちゃんも、こんなあちこち、よく注文したなぁと、変に感心してしまう。

 荷物を空いてるベンチに置き、隣にあった自販機で飲み物を買って、腰かけた。

 あー。疲れたな……。

 店多すぎるし、あまり来なくて全然把握してないから、案内を見ながらも迷いつつだったので、無駄な時間がかかりすぎた。


 飲んだらさっさと帰ろ――――……。

 と思っていた時。



「――――……」


 少し先の、ある店から出てきた、悠斗の片割れ――――……心春、に気付いた。

 なんかあいつ、ほんとよく見かける気がする。
 と一瞬思ったけれど。公園でよく見るのは、悠斗絡みだから話が違うか……。

 買い物は、ここに来れば何でもいっぺんに揃うし。
 ……会っても、不思議はないし。

 高校が一緒のクラスだったってことが、不思議な縁ってだけか。

 ……そんな風に思いながら、お茶を飲んでいると。

 心春は、今出てきた店の、一つ隣の店に、入っていく。


「――――……」


 ……あいつも、オレみたいに何か頼まれてんのか?

 少ししてまた出てきて、手に持ってる案内図に、何か書きながら、また隣へ。


 ……なんかおかしな動きだな。

 ……まあでも、オレには関係ねえか……。

 思いながらも。
 あんまりに、妙な感じで、

 少し店内に入って行っては、出てくる心春。


 オレは、何だか黙っていられず、荷物を持って立ち上がった。


 ――――……つか、悠斗が呼ぶから、オレも心春とか呼んでるけど。そういや名字も知らねえな。


「おい」

 名字も分からないし、心春と呼ぶ訳にもいかず、後ろからそう言ったら。
 びくう!!と、心春が震えた。振り返って、オレを見て、目を少しだけ大きく開いた。

 
「あ。上宮、くん……?」
「……何してんだ?」

「……?」

 心春がオレを見上げた。

「そんなにここの全部の店に買い物があんの?」
「え?」

 心春は瞬きをパチパチしてから。


「あ。……うん。そう」
「にしては何も持ってねーけど」

 絶対、そうじゃないんだろうと思いながら、心春を見下ろして言うと。
 ふと、オレの両手の荷物に気付いて、不思議そう。

「……上宮君は、すごい荷物だね?」
「これは神社に必要な物とか頼まれて。オレのじゃねえよ」


「……そうなんだ。偉いね、おつかい」


 くす、と笑われてしまう。



 おつかい……。
 何だか思わず眉が寄ってしまう。





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