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第三章
11.
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【side*伊織】
ショッピングモールの外に出て、改めて見ると、小さな店の多さに戸惑う。
悠斗が言ってた携帯ショップはどこだろう、と思って、探しながら歩こうと思っていたら。
心春が、自分で思い出して、まっすぐ、そこに向かった。
――――……通じあってるって。こういう事をいうんだろうか。
そう思ったら、ふ、と笑んでしまった。
店に入って、品物を受け取った瞬間から。
心春は、号泣。
声を上げてはいないけど、しゃくりあげるから、目立つ目立つ。
代金を払って、店の外。
それでも目立つ。
――――……まあでも。
気持ちは、分かるから、泣き止むまで一緒に過ごして。
とりあえず甘いもの、食べさせて。
よし、帰ろう、という時に。
まさかの、アホどもが登場。
心春の腕を掴んでるのに、腹が立った。
こいつは、悠斗が、ずっと大事にしてきた奴なんだから。
気安く触ってんじゃねえよ。そう思って。
「お前らなんかが触っていい奴じゃねえんだよ。離れろ」
そう言ったら。どうやら、カチンときたみたいで、殴りかかってきた。
いつもなら、避けて終わる。
止まってるみたいに見える拳だし。
でも避けたら後ろの心春にあたりそうで。
そのパンチを、払ったら。
衝撃で、アホどもが、まとめて倒れやがった。
「はー? 弱すぎなんだけど。オレ今払っただけだぜ? 倒れんなよ。オレがなんかしたみたいじゃん」
心春を後ろに庇いながら、そう言った瞬間。
「あっちですー!!」
すぐ近くの交番の警察官が、呼ばれて走ってきてしまった。
あ、やっべー……。今のこの状況。まずい。
「心春、離れてろ。お前関係ないから」
「無理……っ関係あるっ」
「――――……はー……?」
「説明するし……っ」
帰りそうにない。……もう遅いか。
まあいいか。こいつはおもいきり、被害者だから、すぐ帰れるだろ。
ふと、気づくと、心春の手が、震えてる。
ぽんぽん、と背中を叩く。
「大丈夫だって、お前はすぐ帰れるから」
そう言ったら、「伊織は?」と聞かれた。
「……運悪く、あのバカどもが倒れてるとこ見られてるから……まあ。それでも、説教食らうくらいだろ」
「――――……」
「大丈夫だから、震えんな。落ち着け」
苦笑しながら言うと。
「大丈夫、私が全部説明するから」
震えてるくせに、そんな風に言う。
◇ ◇ ◇ ◇
結局、近くの警察所に連れてこられてしまった。
心春は、完全に巻き込まれて絡まれただけだとすぐ分かってくれて、心春の親が迎えに来た時点で、先に帰って行った。
まぁ、良かった。
で、心春の説明のおかげで、オレも、無罪放免になる事になった。
まあ。殴られそうになったのを払っただけだし、当然なんだけど。
で。オレは。
じいちゃんが迎えにやってきた。
「あれ? とーさんは?」
「食事を作ってたから置いてきた」
「さすが、慣れてんね、じーちゃん」
「お前……霊にも人にも絡まれ過ぎだ。バカたれが」
「――――……ごめん。ちっと払ったら、弱すぎて倒れやがってさー。そこに警察が」
「もう良い。今回は、女の子を守ったんだろ。もう聞いた――――……帰るぞ」
「ん。ごめんな、じーちゃん」
そんな話をしながら今まで入っていた部屋を出た瞬間。
その廊下で、オレに絡んでた、激弱のアホどもとかち合ってしまった。その保護者達も一緒に居る。
「……上宮さん?」
保護者の一人が、じいちゃんに話しかけた。
「――――……ああ。榊のせがれか」
じいちゃんが、ちら、と確認して、そう言った。
「もしかして、うちのが絡んだ相手は上宮さんの――――……」
「孫だな」
「榊のせがれ」は、オレでも分かる位、焦った顔をした。
「どうやら中学からよく絡まれてるらしいな」
「――――……っっ」
更に焦ってる。
「……しっかり反省させて、また改めて伺います」
「まあ、気にしなくていいが――――……反省はさせておいたほうが良さそうだな」
じいちゃんは、口調は穏やかだけれど、はっきりそう言って。
「榊のせがれ」に言われて、あいつらは、オレとじいちゃんに、めちゃくちゃ謝りながら帰って行った。
「ん、何今の一連のやりとり。意味わかんないんだけど。じいちゃん、知り合い?」
「榊の親がな。お前みたいな奴なんだよ」
「どーいうこと?」
「霊を呼び寄せる。しかもお前よりも、もっと悪霊っぽいのを」
「――――……ああ」
「それで何度か、助けに行ってる。榊のせがれも一度巻き込まれてな」
「はぁ……」
じいちゃんは、可笑しそうに笑う。
「多分あの感じだと、あの孫、お前にはもう、絡まんだろ。中学の時もあいつだと分かってたら、もっと早く止められたのに」
「別に。あいつら弱ぇんだよ。全然相手になんねえし」
「――――……お前、空手やってるんだから。間違っても拳でも当たったら、試合に出られなくなるぞ」
「そーだな。確かに。気を付ける」
「だから、あいつらにはもう絡まれないぞ」
「だといーけど」
「賭けてもいいぞ」
じいちゃんは、面白そうに笑ってる。
まあ。もしそーなら、楽だけど。弱くても、絡まれるのは面倒だし。
歩いて帰る途中。じいちゃんと、公園の所で別れた。
悠斗の所に寄るのも知ってて、でも何も言わず、じいちゃんは離れて行った。
ショッピングモールの外に出て、改めて見ると、小さな店の多さに戸惑う。
悠斗が言ってた携帯ショップはどこだろう、と思って、探しながら歩こうと思っていたら。
心春が、自分で思い出して、まっすぐ、そこに向かった。
――――……通じあってるって。こういう事をいうんだろうか。
そう思ったら、ふ、と笑んでしまった。
店に入って、品物を受け取った瞬間から。
心春は、号泣。
声を上げてはいないけど、しゃくりあげるから、目立つ目立つ。
代金を払って、店の外。
それでも目立つ。
――――……まあでも。
気持ちは、分かるから、泣き止むまで一緒に過ごして。
とりあえず甘いもの、食べさせて。
よし、帰ろう、という時に。
まさかの、アホどもが登場。
心春の腕を掴んでるのに、腹が立った。
こいつは、悠斗が、ずっと大事にしてきた奴なんだから。
気安く触ってんじゃねえよ。そう思って。
「お前らなんかが触っていい奴じゃねえんだよ。離れろ」
そう言ったら。どうやら、カチンときたみたいで、殴りかかってきた。
いつもなら、避けて終わる。
止まってるみたいに見える拳だし。
でも避けたら後ろの心春にあたりそうで。
そのパンチを、払ったら。
衝撃で、アホどもが、まとめて倒れやがった。
「はー? 弱すぎなんだけど。オレ今払っただけだぜ? 倒れんなよ。オレがなんかしたみたいじゃん」
心春を後ろに庇いながら、そう言った瞬間。
「あっちですー!!」
すぐ近くの交番の警察官が、呼ばれて走ってきてしまった。
あ、やっべー……。今のこの状況。まずい。
「心春、離れてろ。お前関係ないから」
「無理……っ関係あるっ」
「――――……はー……?」
「説明するし……っ」
帰りそうにない。……もう遅いか。
まあいいか。こいつはおもいきり、被害者だから、すぐ帰れるだろ。
ふと、気づくと、心春の手が、震えてる。
ぽんぽん、と背中を叩く。
「大丈夫だって、お前はすぐ帰れるから」
そう言ったら、「伊織は?」と聞かれた。
「……運悪く、あのバカどもが倒れてるとこ見られてるから……まあ。それでも、説教食らうくらいだろ」
「――――……」
「大丈夫だから、震えんな。落ち着け」
苦笑しながら言うと。
「大丈夫、私が全部説明するから」
震えてるくせに、そんな風に言う。
◇ ◇ ◇ ◇
結局、近くの警察所に連れてこられてしまった。
心春は、完全に巻き込まれて絡まれただけだとすぐ分かってくれて、心春の親が迎えに来た時点で、先に帰って行った。
まぁ、良かった。
で、心春の説明のおかげで、オレも、無罪放免になる事になった。
まあ。殴られそうになったのを払っただけだし、当然なんだけど。
で。オレは。
じいちゃんが迎えにやってきた。
「あれ? とーさんは?」
「食事を作ってたから置いてきた」
「さすが、慣れてんね、じーちゃん」
「お前……霊にも人にも絡まれ過ぎだ。バカたれが」
「――――……ごめん。ちっと払ったら、弱すぎて倒れやがってさー。そこに警察が」
「もう良い。今回は、女の子を守ったんだろ。もう聞いた――――……帰るぞ」
「ん。ごめんな、じーちゃん」
そんな話をしながら今まで入っていた部屋を出た瞬間。
その廊下で、オレに絡んでた、激弱のアホどもとかち合ってしまった。その保護者達も一緒に居る。
「……上宮さん?」
保護者の一人が、じいちゃんに話しかけた。
「――――……ああ。榊のせがれか」
じいちゃんが、ちら、と確認して、そう言った。
「もしかして、うちのが絡んだ相手は上宮さんの――――……」
「孫だな」
「榊のせがれ」は、オレでも分かる位、焦った顔をした。
「どうやら中学からよく絡まれてるらしいな」
「――――……っっ」
更に焦ってる。
「……しっかり反省させて、また改めて伺います」
「まあ、気にしなくていいが――――……反省はさせておいたほうが良さそうだな」
じいちゃんは、口調は穏やかだけれど、はっきりそう言って。
「榊のせがれ」に言われて、あいつらは、オレとじいちゃんに、めちゃくちゃ謝りながら帰って行った。
「ん、何今の一連のやりとり。意味わかんないんだけど。じいちゃん、知り合い?」
「榊の親がな。お前みたいな奴なんだよ」
「どーいうこと?」
「霊を呼び寄せる。しかもお前よりも、もっと悪霊っぽいのを」
「――――……ああ」
「それで何度か、助けに行ってる。榊のせがれも一度巻き込まれてな」
「はぁ……」
じいちゃんは、可笑しそうに笑う。
「多分あの感じだと、あの孫、お前にはもう、絡まんだろ。中学の時もあいつだと分かってたら、もっと早く止められたのに」
「別に。あいつら弱ぇんだよ。全然相手になんねえし」
「――――……お前、空手やってるんだから。間違っても拳でも当たったら、試合に出られなくなるぞ」
「そーだな。確かに。気を付ける」
「だから、あいつらにはもう絡まれないぞ」
「だといーけど」
「賭けてもいいぞ」
じいちゃんは、面白そうに笑ってる。
まあ。もしそーなら、楽だけど。弱くても、絡まれるのは面倒だし。
歩いて帰る途中。じいちゃんと、公園の所で別れた。
悠斗の所に寄るのも知ってて、でも何も言わず、じいちゃんは離れて行った。
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