49 / 63
2巻 2科分裂編
第3話 ③
しおりを挟む
「……そんな太一君に憧れたあたしもあなたの影を追いはじめたわ。太一君が中学を卒業してからね」
「雫も合気道の技を覚えていたのはそういう経緯があったからか」
蓮見さんの話がすとんと胸に落ちたのか、太一はうんうんと首を縦に振っている。
「3年生に上がって嫌でも実感したの。もう太一君は側にいない。自分の身は、自分で守るしかないって」
太一がいる間は奴に守ってもらえたけど、不幸にも太一と蓮見さんは年齢が一つ違う。蓮見さんが3年生に上がった時、太一は否応なしに彼女の側にはいられない。
「だからあたしも合気道を習ったわ。気の持ちようや弱気な性格を変えるためにイメトレも実践した」
そうだったんだ。蓮見さんは去年一年間、周囲に負けないように自分を高めて戦ってきたんだ。そして努力の甲斐あって強気な性格と合気道の実力を手にした。
(あれっ? 蓮見さんの話って……)
「つまり、あたしも2科と同じ境遇だったってわけ」
蓮見さんが呟くと、穏やかな風が彼女のツインテールの髪を揺らした。
そう、まさにそれだ。蓮見さんは2科と似た境遇を味わっていたんだ。
けれど彼女はかつての同族であったはずの2科に対して明確に敵意をむき出している。ついでに言うとその中でもなぜか俺をとりわけ嫌っている。普通にヘコむ。
「あたしは自分を変えた。でもあの人たちは違う」
太一から視線を外し、遠くを見つめる蓮見さん。その瞳は爽やかな五月の陽気に不釣り合いなほどに冷たく、醒めている。
「自身ではなく、2科って『肩書き』の評価を変えたい。あの人たちの要求はそこだけでしょ。だから見ててすっごくイライラする」
努力で自分を変えて心身の強さを身につけ、戦える状態を作った彼女からしてみれば、弱者のイチャモンで騒ぎ立てる2科の姿勢がたいそう腹立たしいのだろう。
「そうじゃないでしょうと。肩書きにしがみつくんじゃなくて、自分自身を高めなきゃ意味なんてない。高めるべきは『2科』じゃなくて各々の能力よ。学科に囚われたってしょうがないわ」
蓮見さんは先の学科対決の時も同じようなことを言ってたっけ。変な勝負で勝ちを証明しようとするのではなく、正面から見返せ、と。
主張自体はごもっとも、ド正論だ。
「そうかもね」
太一も蓮見さんの言い分を汲み取っている。
だけど――
「けれど、俺たちも俺たちなりのスタンスでやっている。それを曲げるつもりはないんだ」
口調こそ穏やかだけど、太一は透徹した瞳を蓮見さんへと向けて言い返した。
俺も同意見だ。2科も蓮見さんのやり方で1科に抗えるのならばそれが一番理想的だけど、それはあくまでも理想にすぎない。現実はそうそう甘くはないんだ。
「……前にも言ったけど、勝手にすればいいわ」
蓮見さんは呆れ果てているのか2科の活動を強く糾弾する気はないっぽい。
「でも!」
しかし、どうしても物申したいとばかりにすごんでみせた。
「なんで太一君はあそこまで高坂先輩に肩入れするの!?」
その言葉にびくりとしたのは太一ではなく俺の方だった。
「中学からの友達なのは分かるわ! けど……けど! あたしは更に長い付き合いなのに! 太一君はいっつも宏彰宏彰ってさ!」
壊れた噴水のように、溜め込んできた感情が溢れている蓮見さんの口からは恨み節が止まらない。
まるで後からのこのこ現れたよそ者に自分の大切なものを奪われてしまったかのような悲哀。
「――――少しくらいあたしのことも構ってくれたっていいじゃない!」
そして最後に零れ落ちたのは、着飾ることのない、彼女の素直な心情。
今、太一に最も伝えたい想いはこれなのよという勢い。
蓮見さんって――心の底から太一を慕っているんだね。だから少しでも一緒にいたい。それを俺が邪魔してしまっている。やるせない気持ちになる。
「君はそろそろ俺から巣立つべきだと思うんだよね」
「なんでそんなこと言うの!? あたしは今だって太一君に憧れてるし、太一君から学びたいことだってたくさんあるんだから!」
太一から浴びせられた突き放すような言葉に、蓮見さんは信じられないといった愕然とした表情で太一に言い返した。
「俺を過大評価しすぎだよ」
「そんなことない!!」
太一の謙遜を聞いた蓮見さんは力強く否定した。
「……ところで、さ。話を戻すけど――」
と、ここで蓮見さんは急にモジモジしはじめた。
「およよ? もよおしちゃったかな?」
「そんなわけないでしょ」
俺の弟がちっとも空気を読んでくれないんですけど。
「彼氏がいるのはウソって認めたわ。だから……」
彼女の声は震えている。蓮見さんらしからぬ、ためらいがちな態度。
「え、えっと……あ、ああ……」
生唾を一つ飲み込んでなんとか続けた。
「あたしが、お……お願いしたら――――太一君は彼氏役になってくれる?」
「断る」
「瞬殺されたわ!?」
秒でフラれた蓮見さんだった。切ない。
「愛のない交際はまっぴらだ。それになにより――」
涙目で口をあんぐりと開けて茫然としている彼女に太一は続ける。
「俺には二次元の幼女たちが――」
「なんで!? どうしてよっ!」
「あいたっ」
あまりにもあんまりな追い打ちだった。太一よ、お前は外道か。
蓮見さんは懇願が通らなかった無念さからか太一に技をかけて仰向けで地面に叩きつけた。
同情はするけど暴力ではなにも解決しないよ。得た力を乱用するのは控えようよ。俺の超能力と一緒で危ないよ。
「あたしがどれだけ太一君のこと……もう知らないっ!」
すっかりいじけてしまった蓮見さんはぷいっと太一から身体ごと背けた。
「さっき言ったよね!? 縁がどうのって! あたしは自分が好きな人以外との縁なんか必要ないんだから!」
「だったらなおさら俺を彼氏役にするのはおかしいよね? 冷静になりなよ」
「だから……っ!」
なおも口調に熱がこもっている蓮見さんとは対照的に太一は冷静さを崩さないも、やれやれと頭を掻いた。
「現実での両想いは並大抵のことじゃ成し遂げられないと肝に銘じておくべきだね」
「それくらい身を持って理解してるわよ! けど妥協なんてしたくないもん!」
目を瞑って叫ぶ蓮見さん。身を持ってということは、彼女は誰かに想いを寄せたけど恋が実らなかった経験があるのだろうか。
「近所迷惑だからもう少し声のトーンを落とそうよ」
「悪かったわよ……質問には答えたわ! もういいでしょ! バイバイ!」
ぷりぷりと怒る蓮見さんは太一から、その場から離れようと踵を返す。
あの二人には様々な絆があったんだなぁ――
と、ここで。
「――――あっ」
「げ」
なんと、涙に潤む蓮見さんの瞳が俺と元貴を視界に捉えてしまったのだ。
しまった! しみじみしてる場合じゃなかった!
「や、やぁ、蓮見さん」
「人の顔見て『げっ』てなんですか」
「いやその……ごめん……」
見つかってしまった以上は大人しく出ていくしかない。
「宏彰に元貴、高坂兄弟が揃ってここで何してるんだい?」
太一は自身の前に現れた俺たちを見て目を丸くした。
「いやぁたまたま二人を見かけてね」
盗み聞きの部分は隠したけど、嘘は吐いてない。
「やぁやぁ蓮見ちゃん。オレっちとはお初ッスね!」
「……誰?」
一方で命知らずの元貴は蓮見さんにウザ絡みしはじめた。
馴れ馴れしさ全開の我が弟に対して蓮見さんは嫌悪感を露わにした。隠す気なんてさらさらないというね。
「オレっちは高坂元貴! こいつの弟!」
元貴は俺の肩を組んで自己紹介する。チャラついた野郎め。
蓮見さんは俺と元貴を冷たい眼差しで交互に見やる。
「……似ても似つかないわね」
「よく言われるよ」
蓮見さんの感想は至極真っ当だ。
「キミはまだ身も心も子供だけど、オレっちと絡むことで大人の階段をのぼれるんだぜ?」
「は? 喧嘩売ってんの?」
「ま、ちょっとだけね☆」
「本当なんなのよ……」
元貴から軽薄な絡みを受け続ける蓮見さんは怒りを通り越して引いている。
一方の元貴はそんな蓮見さんに一切の動揺すら見せない。我が弟ながらメンタルが強い。ちょこっとだけ羨ましいぞ。
太一はというと、優雅に俺たち三人のやりとりを傍観している。おい、貴様もこの場の当事者でしょうが。
「あたしはもう帰るからあなたたちに構うつもりはないんだけど?」
「まぁまぁ。オレっちは瞬時に理解したんだってばよ。蓮見ちゃんは太一っちのことがス――」
「いやあああぁっ!?」
「うごっ!?」
蓮見さんは言わせないとばかりに元貴の腕を掴んで地面に叩きつけ――
「なぜっ!?」
ついで扱いで俺も蓮見さんに技をかけられ餌食となった。
……ス? 元貴は何を言わんとしていたのか?
「はぁ、はぁ……あなたたち高坂兄弟はあたしにろくなことしないわね!」
地面から蓮見さんを見上げると、彼女は心底恨めしそうにこちらを睨んでいた。右手で握り拳を作って怒りを露わにしている。
「申し訳ない」
「マジメンゴっす~」
俺と元貴はただただ謝ることしかできなかった。元貴の謝罪からは微塵も誠意が感じられないけど。
「ははは。本当に宏彰を取り巻く環境は面白いね」
太一はおかしそうに笑うと、
「いや、一番面白いのは宏彰自身だね」
俺にとっては全く面白くないことを宣ってきやがった。
「絶対バカにしてるでしょ……」
ゆっくりと立ち上がって太一に視線を向けると爽やかな笑みを浮かべていた。
俺の心はそんな爽やかな状態じゃないんだけどな……。
そんな休日の朝は、蓮見さんの怒号と俺と元貴の唸り声で締めくくられたのだった。
早起きは三文の徳とは一体……?
「雫も合気道の技を覚えていたのはそういう経緯があったからか」
蓮見さんの話がすとんと胸に落ちたのか、太一はうんうんと首を縦に振っている。
「3年生に上がって嫌でも実感したの。もう太一君は側にいない。自分の身は、自分で守るしかないって」
太一がいる間は奴に守ってもらえたけど、不幸にも太一と蓮見さんは年齢が一つ違う。蓮見さんが3年生に上がった時、太一は否応なしに彼女の側にはいられない。
「だからあたしも合気道を習ったわ。気の持ちようや弱気な性格を変えるためにイメトレも実践した」
そうだったんだ。蓮見さんは去年一年間、周囲に負けないように自分を高めて戦ってきたんだ。そして努力の甲斐あって強気な性格と合気道の実力を手にした。
(あれっ? 蓮見さんの話って……)
「つまり、あたしも2科と同じ境遇だったってわけ」
蓮見さんが呟くと、穏やかな風が彼女のツインテールの髪を揺らした。
そう、まさにそれだ。蓮見さんは2科と似た境遇を味わっていたんだ。
けれど彼女はかつての同族であったはずの2科に対して明確に敵意をむき出している。ついでに言うとその中でもなぜか俺をとりわけ嫌っている。普通にヘコむ。
「あたしは自分を変えた。でもあの人たちは違う」
太一から視線を外し、遠くを見つめる蓮見さん。その瞳は爽やかな五月の陽気に不釣り合いなほどに冷たく、醒めている。
「自身ではなく、2科って『肩書き』の評価を変えたい。あの人たちの要求はそこだけでしょ。だから見ててすっごくイライラする」
努力で自分を変えて心身の強さを身につけ、戦える状態を作った彼女からしてみれば、弱者のイチャモンで騒ぎ立てる2科の姿勢がたいそう腹立たしいのだろう。
「そうじゃないでしょうと。肩書きにしがみつくんじゃなくて、自分自身を高めなきゃ意味なんてない。高めるべきは『2科』じゃなくて各々の能力よ。学科に囚われたってしょうがないわ」
蓮見さんは先の学科対決の時も同じようなことを言ってたっけ。変な勝負で勝ちを証明しようとするのではなく、正面から見返せ、と。
主張自体はごもっとも、ド正論だ。
「そうかもね」
太一も蓮見さんの言い分を汲み取っている。
だけど――
「けれど、俺たちも俺たちなりのスタンスでやっている。それを曲げるつもりはないんだ」
口調こそ穏やかだけど、太一は透徹した瞳を蓮見さんへと向けて言い返した。
俺も同意見だ。2科も蓮見さんのやり方で1科に抗えるのならばそれが一番理想的だけど、それはあくまでも理想にすぎない。現実はそうそう甘くはないんだ。
「……前にも言ったけど、勝手にすればいいわ」
蓮見さんは呆れ果てているのか2科の活動を強く糾弾する気はないっぽい。
「でも!」
しかし、どうしても物申したいとばかりにすごんでみせた。
「なんで太一君はあそこまで高坂先輩に肩入れするの!?」
その言葉にびくりとしたのは太一ではなく俺の方だった。
「中学からの友達なのは分かるわ! けど……けど! あたしは更に長い付き合いなのに! 太一君はいっつも宏彰宏彰ってさ!」
壊れた噴水のように、溜め込んできた感情が溢れている蓮見さんの口からは恨み節が止まらない。
まるで後からのこのこ現れたよそ者に自分の大切なものを奪われてしまったかのような悲哀。
「――――少しくらいあたしのことも構ってくれたっていいじゃない!」
そして最後に零れ落ちたのは、着飾ることのない、彼女の素直な心情。
今、太一に最も伝えたい想いはこれなのよという勢い。
蓮見さんって――心の底から太一を慕っているんだね。だから少しでも一緒にいたい。それを俺が邪魔してしまっている。やるせない気持ちになる。
「君はそろそろ俺から巣立つべきだと思うんだよね」
「なんでそんなこと言うの!? あたしは今だって太一君に憧れてるし、太一君から学びたいことだってたくさんあるんだから!」
太一から浴びせられた突き放すような言葉に、蓮見さんは信じられないといった愕然とした表情で太一に言い返した。
「俺を過大評価しすぎだよ」
「そんなことない!!」
太一の謙遜を聞いた蓮見さんは力強く否定した。
「……ところで、さ。話を戻すけど――」
と、ここで蓮見さんは急にモジモジしはじめた。
「およよ? もよおしちゃったかな?」
「そんなわけないでしょ」
俺の弟がちっとも空気を読んでくれないんですけど。
「彼氏がいるのはウソって認めたわ。だから……」
彼女の声は震えている。蓮見さんらしからぬ、ためらいがちな態度。
「え、えっと……あ、ああ……」
生唾を一つ飲み込んでなんとか続けた。
「あたしが、お……お願いしたら――――太一君は彼氏役になってくれる?」
「断る」
「瞬殺されたわ!?」
秒でフラれた蓮見さんだった。切ない。
「愛のない交際はまっぴらだ。それになにより――」
涙目で口をあんぐりと開けて茫然としている彼女に太一は続ける。
「俺には二次元の幼女たちが――」
「なんで!? どうしてよっ!」
「あいたっ」
あまりにもあんまりな追い打ちだった。太一よ、お前は外道か。
蓮見さんは懇願が通らなかった無念さからか太一に技をかけて仰向けで地面に叩きつけた。
同情はするけど暴力ではなにも解決しないよ。得た力を乱用するのは控えようよ。俺の超能力と一緒で危ないよ。
「あたしがどれだけ太一君のこと……もう知らないっ!」
すっかりいじけてしまった蓮見さんはぷいっと太一から身体ごと背けた。
「さっき言ったよね!? 縁がどうのって! あたしは自分が好きな人以外との縁なんか必要ないんだから!」
「だったらなおさら俺を彼氏役にするのはおかしいよね? 冷静になりなよ」
「だから……っ!」
なおも口調に熱がこもっている蓮見さんとは対照的に太一は冷静さを崩さないも、やれやれと頭を掻いた。
「現実での両想いは並大抵のことじゃ成し遂げられないと肝に銘じておくべきだね」
「それくらい身を持って理解してるわよ! けど妥協なんてしたくないもん!」
目を瞑って叫ぶ蓮見さん。身を持ってということは、彼女は誰かに想いを寄せたけど恋が実らなかった経験があるのだろうか。
「近所迷惑だからもう少し声のトーンを落とそうよ」
「悪かったわよ……質問には答えたわ! もういいでしょ! バイバイ!」
ぷりぷりと怒る蓮見さんは太一から、その場から離れようと踵を返す。
あの二人には様々な絆があったんだなぁ――
と、ここで。
「――――あっ」
「げ」
なんと、涙に潤む蓮見さんの瞳が俺と元貴を視界に捉えてしまったのだ。
しまった! しみじみしてる場合じゃなかった!
「や、やぁ、蓮見さん」
「人の顔見て『げっ』てなんですか」
「いやその……ごめん……」
見つかってしまった以上は大人しく出ていくしかない。
「宏彰に元貴、高坂兄弟が揃ってここで何してるんだい?」
太一は自身の前に現れた俺たちを見て目を丸くした。
「いやぁたまたま二人を見かけてね」
盗み聞きの部分は隠したけど、嘘は吐いてない。
「やぁやぁ蓮見ちゃん。オレっちとはお初ッスね!」
「……誰?」
一方で命知らずの元貴は蓮見さんにウザ絡みしはじめた。
馴れ馴れしさ全開の我が弟に対して蓮見さんは嫌悪感を露わにした。隠す気なんてさらさらないというね。
「オレっちは高坂元貴! こいつの弟!」
元貴は俺の肩を組んで自己紹介する。チャラついた野郎め。
蓮見さんは俺と元貴を冷たい眼差しで交互に見やる。
「……似ても似つかないわね」
「よく言われるよ」
蓮見さんの感想は至極真っ当だ。
「キミはまだ身も心も子供だけど、オレっちと絡むことで大人の階段をのぼれるんだぜ?」
「は? 喧嘩売ってんの?」
「ま、ちょっとだけね☆」
「本当なんなのよ……」
元貴から軽薄な絡みを受け続ける蓮見さんは怒りを通り越して引いている。
一方の元貴はそんな蓮見さんに一切の動揺すら見せない。我が弟ながらメンタルが強い。ちょこっとだけ羨ましいぞ。
太一はというと、優雅に俺たち三人のやりとりを傍観している。おい、貴様もこの場の当事者でしょうが。
「あたしはもう帰るからあなたたちに構うつもりはないんだけど?」
「まぁまぁ。オレっちは瞬時に理解したんだってばよ。蓮見ちゃんは太一っちのことがス――」
「いやあああぁっ!?」
「うごっ!?」
蓮見さんは言わせないとばかりに元貴の腕を掴んで地面に叩きつけ――
「なぜっ!?」
ついで扱いで俺も蓮見さんに技をかけられ餌食となった。
……ス? 元貴は何を言わんとしていたのか?
「はぁ、はぁ……あなたたち高坂兄弟はあたしにろくなことしないわね!」
地面から蓮見さんを見上げると、彼女は心底恨めしそうにこちらを睨んでいた。右手で握り拳を作って怒りを露わにしている。
「申し訳ない」
「マジメンゴっす~」
俺と元貴はただただ謝ることしかできなかった。元貴の謝罪からは微塵も誠意が感じられないけど。
「ははは。本当に宏彰を取り巻く環境は面白いね」
太一はおかしそうに笑うと、
「いや、一番面白いのは宏彰自身だね」
俺にとっては全く面白くないことを宣ってきやがった。
「絶対バカにしてるでしょ……」
ゆっくりと立ち上がって太一に視線を向けると爽やかな笑みを浮かべていた。
俺の心はそんな爽やかな状態じゃないんだけどな……。
そんな休日の朝は、蓮見さんの怒号と俺と元貴の唸り声で締めくくられたのだった。
早起きは三文の徳とは一体……?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる