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勉強の章
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2年生の半ばを過ぎた頃、ペイストが蒼い顔して返ってきた成績表を見せてきた。
「マオ、助けてくれ・・・置いてかないで・・・」
「何?捨て犬みたいな顔して」
嫌な予感がして成績表を見た。
この学校は成績をキープしないと進級出来ないし、卒業も出来ない。
まず見たのは筆記テスト。
属性、地理、歴史、薬草と毒草、天文。それぞれ100点の五科目で500点満点。
そして、講師の先生が決める実技が500点満点で、合計1000点。
進級は800点以上が必要になる厳しいシステム。
ゲームではミニゲームとして登場し、筆記はクイズとして、実技は対象のスライムにどれだけダメージを与えられるかという楽しいものだったけど、実際には全然違う。
学校での筆記はがっつりテスト。これは前世のよくあるテストと同じカンジ。
実技テストは、モンスターとの実戦で先生が決める。こちらは学年毎に用意されるモンスターも強くなっていき成長よりも成果。出来るか出来ないか。生き残れるか生き残れないかだ。
ペイストの成績表見てみると筆記5科目の合計が350程度しかない。平均すると70。悪くはないけど、ちょっとヤバい。しかし、ペイストは2年生に進級している。
一体何があったのか捨て犬状態のペイストに聞いてみる。
「実は、実技。剣でスランプになってるんだ」
聞いてみると、ペイストの成績は今まで実技で490以上をキープし、五科目の合計が350付近で840点の合格と、実技でかなりカバーしていた事がわかった。体育だけ成績が良いようなタイプだもんね。
最近の実技は370くらいまで落ち込み 合計
720点。
二年生の最後のテストでこの点数なら留年。5年で学校を卒業出来なければ、通常の学校に転校しなくてはいけなくなり、そんな生徒も少なくない。この学校はエリート教育を受けている学校だ。
この学校を卒業する事は将来的に大きな後押しになる。
「実技の先生はなんて?」
『教える事は全て教えた。このままでは君は自滅する。それでも戦っていけるだろうが、進級したいのなら筆記テストに目を向けてみてはどうだ?』
「だって・・・」
先生の言いたい事はなんとなくわかる。同じ授業を一緒に受けたりもしているし、ペイストが最近悩んでるのも気づいてた。
「そうだね。一度剣から離れてみるのもいいかもしれない」
「やっぱりそうか・・・」
「よし!なら・・・」
マオは力強く頷いた後、ニッコリと笑う。ペイストは意味がわからずにキョトンとした。
「ん?」
「なるほど。でしたらみなさん一緒にお勉強会しましょう!私、先生になりますわ!」
「僕も。教えるのは自分の勉強にもなるしね」
「シェール、マオ!2人とも、ありがとう!!」
そう。シェールを連れてきたんだ。1年生の時から教わってきていて、シェールの教え方はとても上手い。ウチの故郷で子供達に教える先生になってほしいくらいだ。
ペイストじゃなくても、この学校のテストは厳しい。進級出来る者は1学年で70%ほど。そしてどんどん少なくなり、3年生で卒業できるのは入学した時の半分以下になってしまう。だからこそ卒業する事や、この学校に通っている事だけで羨望の眼で見られる。
その点、シェールは秀才で優等生。
フォルスの他には、勉強や本が友達だった為、成績はトップクラスで、学年主席だったりする。
元々お人好しな性格で、人一倍友達への憧れは強い。
そしてマオは天才・・・に見えているが、学校の問題はゲームをプレイした記憶を持つゲーマーのマオにとっては、教わっていなくても解けてしまう問題ばかり。思い出しながら解いている。
そして実技は魔王の力。なんだかズルをしている気分なので、ペイストの事はなんとかしてあげたいのだ。
学校の図書室や、寮内、教室など、時間を作って勉強するも、点数はあまり上がらずに合計360。
不安しかない・・・。実技が370なら、合格には430点が必要だ。
成果を得られないまま、最後のテストを控えるのみになってしまう。
今日は試合の日。
最後のテストより一週間前。一年に一回開かれる学校全体での模擬戦で、トーナメント式の勝ち抜きだ。優秀な成績を収めるのは実技テストにモロに響く。マオもシェールも、勿論ペイストも去年は優秀な成績を収めていた。
しかし、今年はペイストの調子が悪い。なんとか勝てる危なげな勝利が多く、ついに、いつも勝ってる相手に負けてしまった。その相手はオルドル。ペイストの弟だった。
試合の後、いつの間にかペイストを見失い、マオは学校中を探し回り、ようやく見つけたのは、空が茜色に染まる頃だった。
中庭の広場の隅で小さくなっている。
そっと近づいていくと、ペイストは顔も上げずに話した。マオだと気配でわかってしまう。
「俺、どうしたんだろ?何もかも上手くいかない。こんなのはじめてだよ・・・でも・・・」
ペイストはゆっくりと立ち上がる。表情はまだ見えない。
でも、ここははじめてペイストと戦ったあの場所だって、気づいた。
「マオ、助けてくれ・・・置いてかないで・・・」
「何?捨て犬みたいな顔して」
嫌な予感がして成績表を見た。
この学校は成績をキープしないと進級出来ないし、卒業も出来ない。
まず見たのは筆記テスト。
属性、地理、歴史、薬草と毒草、天文。それぞれ100点の五科目で500点満点。
そして、講師の先生が決める実技が500点満点で、合計1000点。
進級は800点以上が必要になる厳しいシステム。
ゲームではミニゲームとして登場し、筆記はクイズとして、実技は対象のスライムにどれだけダメージを与えられるかという楽しいものだったけど、実際には全然違う。
学校での筆記はがっつりテスト。これは前世のよくあるテストと同じカンジ。
実技テストは、モンスターとの実戦で先生が決める。こちらは学年毎に用意されるモンスターも強くなっていき成長よりも成果。出来るか出来ないか。生き残れるか生き残れないかだ。
ペイストの成績表見てみると筆記5科目の合計が350程度しかない。平均すると70。悪くはないけど、ちょっとヤバい。しかし、ペイストは2年生に進級している。
一体何があったのか捨て犬状態のペイストに聞いてみる。
「実は、実技。剣でスランプになってるんだ」
聞いてみると、ペイストの成績は今まで実技で490以上をキープし、五科目の合計が350付近で840点の合格と、実技でかなりカバーしていた事がわかった。体育だけ成績が良いようなタイプだもんね。
最近の実技は370くらいまで落ち込み 合計
720点。
二年生の最後のテストでこの点数なら留年。5年で学校を卒業出来なければ、通常の学校に転校しなくてはいけなくなり、そんな生徒も少なくない。この学校はエリート教育を受けている学校だ。
この学校を卒業する事は将来的に大きな後押しになる。
「実技の先生はなんて?」
『教える事は全て教えた。このままでは君は自滅する。それでも戦っていけるだろうが、進級したいのなら筆記テストに目を向けてみてはどうだ?』
「だって・・・」
先生の言いたい事はなんとなくわかる。同じ授業を一緒に受けたりもしているし、ペイストが最近悩んでるのも気づいてた。
「そうだね。一度剣から離れてみるのもいいかもしれない」
「やっぱりそうか・・・」
「よし!なら・・・」
マオは力強く頷いた後、ニッコリと笑う。ペイストは意味がわからずにキョトンとした。
「ん?」
「なるほど。でしたらみなさん一緒にお勉強会しましょう!私、先生になりますわ!」
「僕も。教えるのは自分の勉強にもなるしね」
「シェール、マオ!2人とも、ありがとう!!」
そう。シェールを連れてきたんだ。1年生の時から教わってきていて、シェールの教え方はとても上手い。ウチの故郷で子供達に教える先生になってほしいくらいだ。
ペイストじゃなくても、この学校のテストは厳しい。進級出来る者は1学年で70%ほど。そしてどんどん少なくなり、3年生で卒業できるのは入学した時の半分以下になってしまう。だからこそ卒業する事や、この学校に通っている事だけで羨望の眼で見られる。
その点、シェールは秀才で優等生。
フォルスの他には、勉強や本が友達だった為、成績はトップクラスで、学年主席だったりする。
元々お人好しな性格で、人一倍友達への憧れは強い。
そしてマオは天才・・・に見えているが、学校の問題はゲームをプレイした記憶を持つゲーマーのマオにとっては、教わっていなくても解けてしまう問題ばかり。思い出しながら解いている。
そして実技は魔王の力。なんだかズルをしている気分なので、ペイストの事はなんとかしてあげたいのだ。
学校の図書室や、寮内、教室など、時間を作って勉強するも、点数はあまり上がらずに合計360。
不安しかない・・・。実技が370なら、合格には430点が必要だ。
成果を得られないまま、最後のテストを控えるのみになってしまう。
今日は試合の日。
最後のテストより一週間前。一年に一回開かれる学校全体での模擬戦で、トーナメント式の勝ち抜きだ。優秀な成績を収めるのは実技テストにモロに響く。マオもシェールも、勿論ペイストも去年は優秀な成績を収めていた。
しかし、今年はペイストの調子が悪い。なんとか勝てる危なげな勝利が多く、ついに、いつも勝ってる相手に負けてしまった。その相手はオルドル。ペイストの弟だった。
試合の後、いつの間にかペイストを見失い、マオは学校中を探し回り、ようやく見つけたのは、空が茜色に染まる頃だった。
中庭の広場の隅で小さくなっている。
そっと近づいていくと、ペイストは顔も上げずに話した。マオだと気配でわかってしまう。
「俺、どうしたんだろ?何もかも上手くいかない。こんなのはじめてだよ・・・でも・・・」
ペイストはゆっくりと立ち上がる。表情はまだ見えない。
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