黒銀のフェンリル

代替わり

　　あれから長い時が流れた。　
「エリオル、王宮の方はどうだ？」
「はい、来月新国王の即位式がありますので、その時はまたお願いします。」
「何代変わった？」
「あれか1000年程経ちますからね………11代？12代？そのくらいです………」
「お前は………」

「ジェームス、教会の方は？」
「今のところ黒銀様にお願いすることは何も…」
「そうか……あぁ、そこ気持ちいいな」

「ここですか？」
「あぁーずるいー私も！」
今、俺の隣でブラッシングしているのは、新しく入ったメイドのミリーとマインだ。
「ここは　どうですかぁ？」
「気持ちいいぞ…」

ふと、視線を感じそちらを見ると、可愛い顔で俺を睨むリルがいた。
「終わったのか？」
そう言いのそりと体を起こしリルの方へ行く。
ラグの上にペタリとすわるリルのそば行くと
「アンナ、ブラシを頂戴！」
と、俺の毛を撫でる。
俺にブラシをかけるリルの口元に鼻を寄せ、チュッと口付けると少し機嫌が戻る。
「リルのブラッシングが一番気持ちいい……」
そう言いリルの膝に頭を乗せね転べば、完璧だ！
ふふふっと笑みをこぼし機嫌が直る
「お嬢様は甘いのです！」
と、ブツブツ言うアンナに
「昨日も楽しそうだったな！」
と、からかえば
「なぁぁぁぁー！！」
と　蹲る。
「と、言うことは、マークは昨日も変態でしたかのぅ？」
「そんな、ジェームス様！」
「ふっふっふっ、昨日はな変態では無かった」
ほっとした顔をするアンナとマーク
「昨日は　獣だった！」
「「なあぁぁー！！」」
二人同時に蹲る。
そんな話をしていると、もじもじとする真っ赤な顔のリルがいた
「どうしたのです？リル様？」
エリオルが聞くと
「あの……私も聞いてしまったの……あんな事！フェンリルのナナにもされた事無い！！」
「「！！！」」
声もなく真っ白になる二人を見ながら
「何故、リル様が……？」
「昨夜繋がってる時に、たまたま聞こえたものが、リルにも聞こえたんだろう。おかげで、リルが集中しなくなって、昨日は途中で終わらせた……」
「いつまでも仲がよろしいですね………黒銀様、あれから1000年程経ちます。代替わりの事をそろそろお聞きしていいでしょうか？」
「そうだな……」
そろそろ話すか…と、話し始める。
代替わりは、黒銀の寿命が後わずかになると、フェンリルの里で新しい黒銀が生まれる
どうして分かるかなど分かっていないが、そうなっている。そして国技が生まれると、
今代黒銀にもそれが分かるらしい。
「俺はまだ感じてない。もし、わかったら必ず教える」
「黒銀は生まれて一年半で里を出る。俺は、里を出てすぐリルに会った。黒銀が乙女に会ったら、俺たちの時間は、そこで終わる。」
「もう、そう長く無いと思うぞ」