魔王の娘

4

　どこにでも、勘違いヤローはいるもので………

「俺は魔王を倒して、この国の英雄になる！！！」

阿呆である………


そんなバカが、ヴァル領に来てしまった！
こんな阿呆は、クロルの格好のおもちゃ！
この阿呆は、泣いて帰るか、ここにいつくかどちらだろう………



カランッカランッ
ウエルカムベルを鳴らしながら入って来るのは、ここでは見ない顔
「いらっしゃいませ」
「何か冷たいものをくれ！」
「畏まりました。お客様、こちらは初めてですか？」
「あぁ、俺は魔王を倒すために旅をしている勇者だ！！」

店の中が静まり返る……
「魔王ですか！」
「そうだ、この世界のどこかに魔国への入り口があるらしい！俺はそれを探し出し魔王を倒すんだ！！そして英雄になるんだ！！」
「………まさか、その入り口がここにあるのですか！？」
まるで知らない！と言わんばかりに、大袈裟に驚いてやる
「それを探してるんだ！！ここは、何か魔族の被害は起こってないのか！！」
「そうですね～…」

カランッカランッ

銀の美しい髪の女性が入って来る
「………いらっしゃいませ……」


体のラインを出したドレスを着た……クロルが入ってきた
もちろん薄化粧をして……


「あら、あなた見ない顔ね…」
綺麗なお姉さんに話しかけられれば、どんな男でも鼻の下を伸ばすだろう
当然、この男も………可哀想に………

「あぁ、俺は魔王を倒すために旅をしている！」
「まぁ！魔王！そんな怖い！だって魔族って冷徹で人を笑いながら食べるのでしょう！！」
「だから俺が倒して英雄になるんだ」
「まぁ、頼もしいのね…」
「あぁ、俺が守ってあげるよ！」
「嬉しい……」
などと言い、クロルは男にしなだれ掛かる……