接近禁止!なのにその壁を、溺愛男子に破られました

らいち

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第一章

押し切られちゃった

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 焦りだか緊張だか、私の額や背中を変な汗が流れる。しかも、心臓はさっきよりも激しく鳴り始めた。

「なによ、困ることないじゃない。良い提案だよ! 秋永君、私からもお願いするよ。未花のこと、よろしくね」
「うん。任せといて!」
「ちょっと、二人とも! 私を措いて勝手に話を進めないでよ。私、ボディガードなんていらな……」

「痴漢されずに済むんだよ! 触られないで済むんなら、こんないいことないじゃない! 今朝だって、痴漢に遭ったんでしょ?」

「それは……」
「え!? 未花ちゃん、痴漢に遭ったの?」
「う……」
「そうなのよ! それで朝、いつもより遅い時間になっちゃってたんだよ」
「じゃあ決まり。今日から俺がボディガードな。で、帰りはもちろん送っていくし、行きも駅まで迎えに行くから」

 二人に真剣な表情でじっと見られて言葉に詰まった。
 確かに、盾になってくれる人がいたら助かるとは思うのよ。だけど、でも。だけど、でも……。

「未花」

 雅乃が、低ーい声で私を呼んだ。ジタバタするなと言いたいのだろう。

「……分かった。……お願いします」

 仕方が無いので、不貞腐れたようにボソボソと返事をした。雅乃は呆れた表情だったけど、秋永君は嬉しそうにニッコリと笑った。

「でも、秋永くんちどこなの? 朝迎えに来るって言うけど、私の乗る駅はS駅だよ?」
「S駅? ……ああ、うん、大丈夫だよ。そんなに遠くないし、基本俺、朝には強いから」
「ふうん……」

 話が着いた頃には順番が回ってきた。だけどお目当てのカツサンドはとうに売れ切れていて、私たちは仕方なくミックスサンドと唐揚げを買ったのだった。
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