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第一章
強い理由
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「とにかくさ、私も安心したよ。秋永君なら強いし優しいし、ボディガードにはもってこいじゃん」
「長束さんにそう言ってもらえると、ホッとするなー」
「そう?」
「うん、未花ちゃんの親友だろ? 認めてくれたんだなって思えて自信がつく」
「アハハ。そっかー、そりゃよかった」
「…………」
なんだか話が変な方向に行ってるなー。……それは、そうと。
「ずっと不思議だったんだけど」
「ん? なに?」
ぽつりとつぶやいた私に、秋永君が瞬時に反応した。
「秋永君、強いよね。反射神経もいいし。もしかして何か習ってたりするの? 柔道とか、合気道とか」
「ああ、それ。中一の頃まで空手を習ってたんだ」
「ええ? 空手?」
「すごーい、凄い、凄い! え? でも中一までって、何で止めちゃったの?」
「それまで近所の空手道場に通ってたんだけど、その後こっちに引っ越して来ちゃってさ。それで。こっから前の道場まで通うには、ちょっと遠すぎるんだよな」
「そうなんだ、もったいなかったね」
「んー、まあ、でも。空手に通ってたのは体を鍛えるためってくらいで、特に凄く極めたいだとかそんな気持ちは無かったからなぁ」
「鍛えるって、体弱かったの?」
「うん。よく風邪ひく子で、一度、肺炎も起こしかけたらしいんだ。それでこれは鍛えてもらわなきゃダメだってことになって、たまたまあった近所の道場に放り込まれたんだよ」
「へえ……」
そうなんだ。今はそんなか弱いふうには見えないよね。鍛えられたんだ……。
秋永君の体型は、がっしりとしているわけではないけれど、引き締まった感じだし、筋肉はしっかり付いていそうだ。
「そういう未花ちゃんも強いよね。誰かに教わったの?」
「え? いや、私は別に」
「別に?」
急に私の方に話題を振られて思わず慌てた。だって……。
「未花の手本は、『仮面ダッシュ』だよねー」
「ちょっと、雅乃!」
もう、何で雅乃はこうなんでもペラペラ秋永君に喋っちゃうかな? そりゃあさ、別に秋永君みたいに格好良く道場に通わなきゃならないってことは無いだろうけど、何も仮面ダッシュの真似でキックやらパンチやらを覚えただなんてばらすこと無いじゃない。
「いいじゃん、いいじゃん。『仮面ダッシュ』、秋永君も見てたでしょ?」
「うん、もちろん! 俺らも結構真似して遊んだよな―。今でも毎年ヒーロー変えて、続いてるよな。特撮では、人気ナンバーワンだろ?」
「だよねー。ヒーローみんな、イケメンだし」
「そこかよ」
雅乃の言葉に、秋永君はさも楽しそうに笑った。そして私に視線を向ける。
「……でも、その真似だけじゃ、力はつかないよね。色々自分なりに努力したんだね」
「…………」
びっくりして言葉を失った。やっぱ、秋永君って聞き上手。
困ったな、この感じ。悪い気がしない。ちゃんと自分の話を聞いてくれて、しかもそれが表面だけのものじゃないって分かったら、嫌な気持ちになる人なんてきっといない。
でもだからと言って警戒心が薄れたとか、胡散臭い人かもって気持ちが薄れたわけじゃないけど。
「長束さんにそう言ってもらえると、ホッとするなー」
「そう?」
「うん、未花ちゃんの親友だろ? 認めてくれたんだなって思えて自信がつく」
「アハハ。そっかー、そりゃよかった」
「…………」
なんだか話が変な方向に行ってるなー。……それは、そうと。
「ずっと不思議だったんだけど」
「ん? なに?」
ぽつりとつぶやいた私に、秋永君が瞬時に反応した。
「秋永君、強いよね。反射神経もいいし。もしかして何か習ってたりするの? 柔道とか、合気道とか」
「ああ、それ。中一の頃まで空手を習ってたんだ」
「ええ? 空手?」
「すごーい、凄い、凄い! え? でも中一までって、何で止めちゃったの?」
「それまで近所の空手道場に通ってたんだけど、その後こっちに引っ越して来ちゃってさ。それで。こっから前の道場まで通うには、ちょっと遠すぎるんだよな」
「そうなんだ、もったいなかったね」
「んー、まあ、でも。空手に通ってたのは体を鍛えるためってくらいで、特に凄く極めたいだとかそんな気持ちは無かったからなぁ」
「鍛えるって、体弱かったの?」
「うん。よく風邪ひく子で、一度、肺炎も起こしかけたらしいんだ。それでこれは鍛えてもらわなきゃダメだってことになって、たまたまあった近所の道場に放り込まれたんだよ」
「へえ……」
そうなんだ。今はそんなか弱いふうには見えないよね。鍛えられたんだ……。
秋永君の体型は、がっしりとしているわけではないけれど、引き締まった感じだし、筋肉はしっかり付いていそうだ。
「そういう未花ちゃんも強いよね。誰かに教わったの?」
「え? いや、私は別に」
「別に?」
急に私の方に話題を振られて思わず慌てた。だって……。
「未花の手本は、『仮面ダッシュ』だよねー」
「ちょっと、雅乃!」
もう、何で雅乃はこうなんでもペラペラ秋永君に喋っちゃうかな? そりゃあさ、別に秋永君みたいに格好良く道場に通わなきゃならないってことは無いだろうけど、何も仮面ダッシュの真似でキックやらパンチやらを覚えただなんてばらすこと無いじゃない。
「いいじゃん、いいじゃん。『仮面ダッシュ』、秋永君も見てたでしょ?」
「うん、もちろん! 俺らも結構真似して遊んだよな―。今でも毎年ヒーロー変えて、続いてるよな。特撮では、人気ナンバーワンだろ?」
「だよねー。ヒーローみんな、イケメンだし」
「そこかよ」
雅乃の言葉に、秋永君はさも楽しそうに笑った。そして私に視線を向ける。
「……でも、その真似だけじゃ、力はつかないよね。色々自分なりに努力したんだね」
「…………」
びっくりして言葉を失った。やっぱ、秋永君って聞き上手。
困ったな、この感じ。悪い気がしない。ちゃんと自分の話を聞いてくれて、しかもそれが表面だけのものじゃないって分かったら、嫌な気持ちになる人なんてきっといない。
でもだからと言って警戒心が薄れたとか、胡散臭い人かもって気持ちが薄れたわけじゃないけど。
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