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第一章
「好き、私も」
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ほんの少しぎくしゃくし始めていた私と秋永君の雰囲気は、いつの間にかいつもの状態に戻っていた。普通に他愛ない話をして、バカな話に笑いあって。
だけど、そんな中でも私はいつもと違う自分を感じていた。おかげでいつもの美味しいお母さんのご飯が、全く私は味わえずにいた。それもこれも、みんな私がいつもと違って、秋永君に過敏に反応しちゃっているせいなんだけど……。
だって、秋永君と目が合うとドキドキして、秋永君がほほ笑むとキュンキュンしちゃう。しかもおまけに顔だけじゃなくて、秋永君の大きな手や制服のシャツや髪の毛が少し風に靡くのを見ただけでも、胸の辺りがいっぱいになって苦しくなってきちゃうんだ。もう本当、どうしようもない。
……なんなのよって話よね、少し落ち着けよ私。こんなんじゃあ、せっかく気付いた自分の気持ちを、秋永君にちゃんと伝えられるのか心配になっちょうよ。
それでも私は表面上は平静を装って、なんとかお弁当を完食した。
「さて、ごちそうさま! 秋永君、未花が話があるそうだよ」
「え?」
「ちょっと、雅乃!」
まだ心の準備が出来てないのに!
おそらく真っ赤な顔で焦りまくる私を見て、秋永君は大方の予想が着いたようだった。一瞬、キュッと表情を引き締めて、私が渡した空になったお弁当箱を手に席を立った。
「外に出る?」
「……うん」
こうなったらもう腹を括るしかなかった。私の中ではもう、ちゃんと答えは出ているんだから、変に恥ずかしがって拒否したりしたらきっと違う方向に誤解されちゃう。
それは嫌だから、私は汗ばむ手のひらをキュッと握って席を立ち、二人で教室を出た。
校舎を出て、裏庭まで足を延ばした。人っ子一人見えない場所で、秋永君が立ち止まる。
「ここでいいかな。……えっと、今朝の返事……、だよね」
「うん……」
うわっ、すっごい緊張し始めた。さっきまでの比なんかじゃない。ドキドキバクバク、心臓が破裂するんじゃないかって勢いだし、手のひらは汗ばむどころかべったりだ。しかも、喉までカラカラになっちゃって、こんなんで私……、上手く喋れるの……?
秋永君を直視するのすらなんだか恥ずかしくて、ここに来るまで目も合わせてなかったんだけど……。
ふうっと息を吐きだして、おずおずと顔を上げる。秋永君もどこか緊張した面差しで、私を見ていた。
ドキドキする。ドキドキするけど……!
「あ……、秋……な、くん……!」
うわっ、やっちゃった! 声、ひっくり返っちゃったよ、恥ずかしい!!
一人でテンパる私に、秋永君がクスリと笑う。その表情は、なんだか嬉しそう。
「……なに、笑ってんのよ」
「ああ、いや、ごめん。……緊張してくれてるんだなって思ったら嬉しくて。俺だけじゃ無いんだなって、思ったんだ」
「…………」
キュン。
私の胸の奥に、また甘くキュッと絞られるような痛みが走る。
……ああ、もう本当に笑っちゃう。秋永君のことを意識している自分の気持ちに気が付いただけで、こんな風に些細なことでキュンキュンと心が反応しちゃうんだね。
「好き。私も」
あんなに喉に詰まって出て来なかった言葉が、ポロッと自然に飛び出していた。言った自分もびっくりだ。
びっくりだけど、しまい込めないほど膨れ上がっていた思いを言葉にすることが出来て、気持ちは凄くすっきりしている。
「……っしゃー!」
秋永君が大声で嬉しそうに叫んだ。拳を握り体を折るようにして、何度も何度も握った拳を振った後、満面の笑みで私を見た。
「ありがと、ありがとう未花ちゃん! 俺、未花ちゃんのことずっとずっと大切にするから! ずっと一緒にいようね!」
「……っ、う、うん……」
わー、どうしよ。めっちゃ恥ずかしいよ、やっぱ。
ドキドキしながら、チラリと秋永君を見る。秋永君は、なんだかすごく真面目な顔でこっちを見ていて、ドキッとした。
だけど、そんな中でも私はいつもと違う自分を感じていた。おかげでいつもの美味しいお母さんのご飯が、全く私は味わえずにいた。それもこれも、みんな私がいつもと違って、秋永君に過敏に反応しちゃっているせいなんだけど……。
だって、秋永君と目が合うとドキドキして、秋永君がほほ笑むとキュンキュンしちゃう。しかもおまけに顔だけじゃなくて、秋永君の大きな手や制服のシャツや髪の毛が少し風に靡くのを見ただけでも、胸の辺りがいっぱいになって苦しくなってきちゃうんだ。もう本当、どうしようもない。
……なんなのよって話よね、少し落ち着けよ私。こんなんじゃあ、せっかく気付いた自分の気持ちを、秋永君にちゃんと伝えられるのか心配になっちょうよ。
それでも私は表面上は平静を装って、なんとかお弁当を完食した。
「さて、ごちそうさま! 秋永君、未花が話があるそうだよ」
「え?」
「ちょっと、雅乃!」
まだ心の準備が出来てないのに!
おそらく真っ赤な顔で焦りまくる私を見て、秋永君は大方の予想が着いたようだった。一瞬、キュッと表情を引き締めて、私が渡した空になったお弁当箱を手に席を立った。
「外に出る?」
「……うん」
こうなったらもう腹を括るしかなかった。私の中ではもう、ちゃんと答えは出ているんだから、変に恥ずかしがって拒否したりしたらきっと違う方向に誤解されちゃう。
それは嫌だから、私は汗ばむ手のひらをキュッと握って席を立ち、二人で教室を出た。
校舎を出て、裏庭まで足を延ばした。人っ子一人見えない場所で、秋永君が立ち止まる。
「ここでいいかな。……えっと、今朝の返事……、だよね」
「うん……」
うわっ、すっごい緊張し始めた。さっきまでの比なんかじゃない。ドキドキバクバク、心臓が破裂するんじゃないかって勢いだし、手のひらは汗ばむどころかべったりだ。しかも、喉までカラカラになっちゃって、こんなんで私……、上手く喋れるの……?
秋永君を直視するのすらなんだか恥ずかしくて、ここに来るまで目も合わせてなかったんだけど……。
ふうっと息を吐きだして、おずおずと顔を上げる。秋永君もどこか緊張した面差しで、私を見ていた。
ドキドキする。ドキドキするけど……!
「あ……、秋……な、くん……!」
うわっ、やっちゃった! 声、ひっくり返っちゃったよ、恥ずかしい!!
一人でテンパる私に、秋永君がクスリと笑う。その表情は、なんだか嬉しそう。
「……なに、笑ってんのよ」
「ああ、いや、ごめん。……緊張してくれてるんだなって思ったら嬉しくて。俺だけじゃ無いんだなって、思ったんだ」
「…………」
キュン。
私の胸の奥に、また甘くキュッと絞られるような痛みが走る。
……ああ、もう本当に笑っちゃう。秋永君のことを意識している自分の気持ちに気が付いただけで、こんな風に些細なことでキュンキュンと心が反応しちゃうんだね。
「好き。私も」
あんなに喉に詰まって出て来なかった言葉が、ポロッと自然に飛び出していた。言った自分もびっくりだ。
びっくりだけど、しまい込めないほど膨れ上がっていた思いを言葉にすることが出来て、気持ちは凄くすっきりしている。
「……っしゃー!」
秋永君が大声で嬉しそうに叫んだ。拳を握り体を折るようにして、何度も何度も握った拳を振った後、満面の笑みで私を見た。
「ありがと、ありがとう未花ちゃん! 俺、未花ちゃんのことずっとずっと大切にするから! ずっと一緒にいようね!」
「……っ、う、うん……」
わー、どうしよ。めっちゃ恥ずかしいよ、やっぱ。
ドキドキしながら、チラリと秋永君を見る。秋永君は、なんだかすごく真面目な顔でこっちを見ていて、ドキッとした。
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