36 / 75
第一章
「好き、私も」
しおりを挟む
ほんの少しぎくしゃくし始めていた私と秋永君の雰囲気は、いつの間にかいつもの状態に戻っていた。普通に他愛ない話をして、バカな話に笑いあって。
だけど、そんな中でも私はいつもと違う自分を感じていた。おかげでいつもの美味しいお母さんのご飯が、全く私は味わえずにいた。それもこれも、みんな私がいつもと違って、秋永君に過敏に反応しちゃっているせいなんだけど……。
だって、秋永君と目が合うとドキドキして、秋永君がほほ笑むとキュンキュンしちゃう。しかもおまけに顔だけじゃなくて、秋永君の大きな手や制服のシャツや髪の毛が少し風に靡くのを見ただけでも、胸の辺りがいっぱいになって苦しくなってきちゃうんだ。もう本当、どうしようもない。
……なんなのよって話よね、少し落ち着けよ私。こんなんじゃあ、せっかく気付いた自分の気持ちを、秋永君にちゃんと伝えられるのか心配になっちょうよ。
それでも私は表面上は平静を装って、なんとかお弁当を完食した。
「さて、ごちそうさま! 秋永君、未花が話があるそうだよ」
「え?」
「ちょっと、雅乃!」
まだ心の準備が出来てないのに!
おそらく真っ赤な顔で焦りまくる私を見て、秋永君は大方の予想が着いたようだった。一瞬、キュッと表情を引き締めて、私が渡した空になったお弁当箱を手に席を立った。
「外に出る?」
「……うん」
こうなったらもう腹を括るしかなかった。私の中ではもう、ちゃんと答えは出ているんだから、変に恥ずかしがって拒否したりしたらきっと違う方向に誤解されちゃう。
それは嫌だから、私は汗ばむ手のひらをキュッと握って席を立ち、二人で教室を出た。
校舎を出て、裏庭まで足を延ばした。人っ子一人見えない場所で、秋永君が立ち止まる。
「ここでいいかな。……えっと、今朝の返事……、だよね」
「うん……」
うわっ、すっごい緊張し始めた。さっきまでの比なんかじゃない。ドキドキバクバク、心臓が破裂するんじゃないかって勢いだし、手のひらは汗ばむどころかべったりだ。しかも、喉までカラカラになっちゃって、こんなんで私……、上手く喋れるの……?
秋永君を直視するのすらなんだか恥ずかしくて、ここに来るまで目も合わせてなかったんだけど……。
ふうっと息を吐きだして、おずおずと顔を上げる。秋永君もどこか緊張した面差しで、私を見ていた。
ドキドキする。ドキドキするけど……!
「あ……、秋……な、くん……!」
うわっ、やっちゃった! 声、ひっくり返っちゃったよ、恥ずかしい!!
一人でテンパる私に、秋永君がクスリと笑う。その表情は、なんだか嬉しそう。
「……なに、笑ってんのよ」
「ああ、いや、ごめん。……緊張してくれてるんだなって思ったら嬉しくて。俺だけじゃ無いんだなって、思ったんだ」
「…………」
キュン。
私の胸の奥に、また甘くキュッと絞られるような痛みが走る。
……ああ、もう本当に笑っちゃう。秋永君のことを意識している自分の気持ちに気が付いただけで、こんな風に些細なことでキュンキュンと心が反応しちゃうんだね。
「好き。私も」
あんなに喉に詰まって出て来なかった言葉が、ポロッと自然に飛び出していた。言った自分もびっくりだ。
びっくりだけど、しまい込めないほど膨れ上がっていた思いを言葉にすることが出来て、気持ちは凄くすっきりしている。
「……っしゃー!」
秋永君が大声で嬉しそうに叫んだ。拳を握り体を折るようにして、何度も何度も握った拳を振った後、満面の笑みで私を見た。
「ありがと、ありがとう未花ちゃん! 俺、未花ちゃんのことずっとずっと大切にするから! ずっと一緒にいようね!」
「……っ、う、うん……」
わー、どうしよ。めっちゃ恥ずかしいよ、やっぱ。
ドキドキしながら、チラリと秋永君を見る。秋永君は、なんだかすごく真面目な顔でこっちを見ていて、ドキッとした。
だけど、そんな中でも私はいつもと違う自分を感じていた。おかげでいつもの美味しいお母さんのご飯が、全く私は味わえずにいた。それもこれも、みんな私がいつもと違って、秋永君に過敏に反応しちゃっているせいなんだけど……。
だって、秋永君と目が合うとドキドキして、秋永君がほほ笑むとキュンキュンしちゃう。しかもおまけに顔だけじゃなくて、秋永君の大きな手や制服のシャツや髪の毛が少し風に靡くのを見ただけでも、胸の辺りがいっぱいになって苦しくなってきちゃうんだ。もう本当、どうしようもない。
……なんなのよって話よね、少し落ち着けよ私。こんなんじゃあ、せっかく気付いた自分の気持ちを、秋永君にちゃんと伝えられるのか心配になっちょうよ。
それでも私は表面上は平静を装って、なんとかお弁当を完食した。
「さて、ごちそうさま! 秋永君、未花が話があるそうだよ」
「え?」
「ちょっと、雅乃!」
まだ心の準備が出来てないのに!
おそらく真っ赤な顔で焦りまくる私を見て、秋永君は大方の予想が着いたようだった。一瞬、キュッと表情を引き締めて、私が渡した空になったお弁当箱を手に席を立った。
「外に出る?」
「……うん」
こうなったらもう腹を括るしかなかった。私の中ではもう、ちゃんと答えは出ているんだから、変に恥ずかしがって拒否したりしたらきっと違う方向に誤解されちゃう。
それは嫌だから、私は汗ばむ手のひらをキュッと握って席を立ち、二人で教室を出た。
校舎を出て、裏庭まで足を延ばした。人っ子一人見えない場所で、秋永君が立ち止まる。
「ここでいいかな。……えっと、今朝の返事……、だよね」
「うん……」
うわっ、すっごい緊張し始めた。さっきまでの比なんかじゃない。ドキドキバクバク、心臓が破裂するんじゃないかって勢いだし、手のひらは汗ばむどころかべったりだ。しかも、喉までカラカラになっちゃって、こんなんで私……、上手く喋れるの……?
秋永君を直視するのすらなんだか恥ずかしくて、ここに来るまで目も合わせてなかったんだけど……。
ふうっと息を吐きだして、おずおずと顔を上げる。秋永君もどこか緊張した面差しで、私を見ていた。
ドキドキする。ドキドキするけど……!
「あ……、秋……な、くん……!」
うわっ、やっちゃった! 声、ひっくり返っちゃったよ、恥ずかしい!!
一人でテンパる私に、秋永君がクスリと笑う。その表情は、なんだか嬉しそう。
「……なに、笑ってんのよ」
「ああ、いや、ごめん。……緊張してくれてるんだなって思ったら嬉しくて。俺だけじゃ無いんだなって、思ったんだ」
「…………」
キュン。
私の胸の奥に、また甘くキュッと絞られるような痛みが走る。
……ああ、もう本当に笑っちゃう。秋永君のことを意識している自分の気持ちに気が付いただけで、こんな風に些細なことでキュンキュンと心が反応しちゃうんだね。
「好き。私も」
あんなに喉に詰まって出て来なかった言葉が、ポロッと自然に飛び出していた。言った自分もびっくりだ。
びっくりだけど、しまい込めないほど膨れ上がっていた思いを言葉にすることが出来て、気持ちは凄くすっきりしている。
「……っしゃー!」
秋永君が大声で嬉しそうに叫んだ。拳を握り体を折るようにして、何度も何度も握った拳を振った後、満面の笑みで私を見た。
「ありがと、ありがとう未花ちゃん! 俺、未花ちゃんのことずっとずっと大切にするから! ずっと一緒にいようね!」
「……っ、う、うん……」
わー、どうしよ。めっちゃ恥ずかしいよ、やっぱ。
ドキドキしながら、チラリと秋永君を見る。秋永君は、なんだかすごく真面目な顔でこっちを見ていて、ドキッとした。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる