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第二章
雨降って、地固まったよ
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それからのヒロくんは私に約束した通り、女子に囲まれてもすぐに私の所に来るようになったし、他の女子に呼び出されても応じなくなった。
「ついに糸魚川さんの尻に敷かれるようになったか」
私たちのそんな状況を見て、椎名君が揶揄うように言う。
「ええっ? そんなことないでしょ、ねえ? ヒロくん」
「うん。敷かれてなんてないぞ?」
「そういうところが、……ねえ?」
「なあ?」
雅乃まで揶揄ってくるんだから、しょうがない。でも、いいんだもん。
あの後も、三輪さんは何度かここに訪ねて来ていた。だけどヒロくんが応じなくなったことが分かって、諦めてくれたようだ。
……それにしても、モテ過ぎだよね、ヒロくん。
「だけどさあ。秋永君と付き合ってから、未花、表情柔らかくなったよね」
「え?」
なに、突然。
「ああ、それ言えるよな。前まではちょっとでも俺ら男子が近づくと、手や足が飛んでくるイメージだったけど」
「だって……、私男嫌いだもん」
「今でも?」
「……んー。それが直ったって言うと嘘になるけど。ヒロくんに出会ったことで、男の人全員を色眼鏡で見るのは間違ってたのかなと思えるようにはなったよ。皆がみんな、嫌な人たちばかりじゃないって分かったし、最初から変に決めつけるのは止めなきゃって今は思ってる」
「へえ? じゃあもう、俺らがちょっとくらい近付いても凹られる心配はないのかな?」
「……あー。それもちょっとまだ。でも、ヒロくんが送り迎えしてくれるようになってからは被害も激減してるから、もしかしたらそれも少しずつ変わっていけるかもしれない、かな?」
「そっか」
頷く椎名君の横で、ヒロくんの嬉しそうな顔が見えた。
「あ、でも、椎名君も信用してるよ?」
「そっか! ヒロ、糸魚川さん俺のこと信用してるって!」
「ああ、はいはい」
「なんだよー、親友が信用されてんだぜ。もう少し喜べよ」
「ハハッ。秋永君、嫉妬してるよ」
「え?」
雅乃の揶揄いに、ヒロくんはバツの悪そうな表情になった。
「……俺だって最近、ちょっと反省したところなんだぞ。俺以上に未花ちゃんに信頼されるようになったら腹立つ」
「ええっ? いくらなんでも、それは無いよ!」
「ぷはっ……! 心配性かよ! もう飯にしようぜ。昼休み無くなっちゃう」
「あ、そうだね!」
あまりにも大仰なヒロくんを皆で笑い飛ばし、お弁当を広げた。
今日はお弁当を作ってきたので、いつものようにヒロくんにおすそ分けだ。「はい」と渡すと、ヒロくんは嬉しそうにお礼を言った。
バカッとランチボックスの蓋を開けて、「あっ」とヒロくんが声を上げた。
「唐揚げときんぴらだ」
「うん。今回の唐揚げは全部自分で作ったんだよ?」
初めて、ヒロくんに持ってきたおかずと全く同じものだ。料理を手伝うようになってから、私の腕前は少しずつだけど確実に上がっているはずだ。
「いただきまーす」
「はい、どうぞ」
ぱくりと口の中に放り込み、もぐもぐと咀嚼する。そして、く~っと美味しそうな表情になった。
「すっげー、美味い」
「そ? よかった!」
二人でえへへと笑いながら箸を進める。その横で、雅乃と椎名君が苦笑いを浮かべていた。もしかしたら呆れられているのかもしれない。
私を痴漢から守るために送り迎えを申し出てくれたヒロくんに、少しでもお礼をしたいと思って作ったこのお昼のおすそ分け。この鶏のから揚げは、ヒロくんとこうやって親しくなれた切っ掛けでもあるんだ。
きっとこの習慣はずっと続いていくと思う。恋人でもありボディガードでもある、大事なヒロくんの為に……。
「ついに糸魚川さんの尻に敷かれるようになったか」
私たちのそんな状況を見て、椎名君が揶揄うように言う。
「ええっ? そんなことないでしょ、ねえ? ヒロくん」
「うん。敷かれてなんてないぞ?」
「そういうところが、……ねえ?」
「なあ?」
雅乃まで揶揄ってくるんだから、しょうがない。でも、いいんだもん。
あの後も、三輪さんは何度かここに訪ねて来ていた。だけどヒロくんが応じなくなったことが分かって、諦めてくれたようだ。
……それにしても、モテ過ぎだよね、ヒロくん。
「だけどさあ。秋永君と付き合ってから、未花、表情柔らかくなったよね」
「え?」
なに、突然。
「ああ、それ言えるよな。前まではちょっとでも俺ら男子が近づくと、手や足が飛んでくるイメージだったけど」
「だって……、私男嫌いだもん」
「今でも?」
「……んー。それが直ったって言うと嘘になるけど。ヒロくんに出会ったことで、男の人全員を色眼鏡で見るのは間違ってたのかなと思えるようにはなったよ。皆がみんな、嫌な人たちばかりじゃないって分かったし、最初から変に決めつけるのは止めなきゃって今は思ってる」
「へえ? じゃあもう、俺らがちょっとくらい近付いても凹られる心配はないのかな?」
「……あー。それもちょっとまだ。でも、ヒロくんが送り迎えしてくれるようになってからは被害も激減してるから、もしかしたらそれも少しずつ変わっていけるかもしれない、かな?」
「そっか」
頷く椎名君の横で、ヒロくんの嬉しそうな顔が見えた。
「あ、でも、椎名君も信用してるよ?」
「そっか! ヒロ、糸魚川さん俺のこと信用してるって!」
「ああ、はいはい」
「なんだよー、親友が信用されてんだぜ。もう少し喜べよ」
「ハハッ。秋永君、嫉妬してるよ」
「え?」
雅乃の揶揄いに、ヒロくんはバツの悪そうな表情になった。
「……俺だって最近、ちょっと反省したところなんだぞ。俺以上に未花ちゃんに信頼されるようになったら腹立つ」
「ええっ? いくらなんでも、それは無いよ!」
「ぷはっ……! 心配性かよ! もう飯にしようぜ。昼休み無くなっちゃう」
「あ、そうだね!」
あまりにも大仰なヒロくんを皆で笑い飛ばし、お弁当を広げた。
今日はお弁当を作ってきたので、いつものようにヒロくんにおすそ分けだ。「はい」と渡すと、ヒロくんは嬉しそうにお礼を言った。
バカッとランチボックスの蓋を開けて、「あっ」とヒロくんが声を上げた。
「唐揚げときんぴらだ」
「うん。今回の唐揚げは全部自分で作ったんだよ?」
初めて、ヒロくんに持ってきたおかずと全く同じものだ。料理を手伝うようになってから、私の腕前は少しずつだけど確実に上がっているはずだ。
「いただきまーす」
「はい、どうぞ」
ぱくりと口の中に放り込み、もぐもぐと咀嚼する。そして、く~っと美味しそうな表情になった。
「すっげー、美味い」
「そ? よかった!」
二人でえへへと笑いながら箸を進める。その横で、雅乃と椎名君が苦笑いを浮かべていた。もしかしたら呆れられているのかもしれない。
私を痴漢から守るために送り迎えを申し出てくれたヒロくんに、少しでもお礼をしたいと思って作ったこのお昼のおすそ分け。この鶏のから揚げは、ヒロくんとこうやって親しくなれた切っ掛けでもあるんだ。
きっとこの習慣はずっと続いていくと思う。恋人でもありボディガードでもある、大事なヒロくんの為に……。
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