接近禁止!なのにその壁を、溺愛男子に破られました

らいち

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エピローグというより番外編?

ヒロくんちに行くよ

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 そして、それからしばらく経ってヒロくんにお家に招待された。なんでもお兄さんが、この日曜日に用事があって外出するそうなんだ。
 どうもヒロくんは、私を極力お兄さんには会わせたくないらしい。

「未花、バター溶けたからレンジから出して、そこに出ている粉と刻んだクルミを入れてさっくり混ぜてくれる?」
「分かった」

 指示通り、無駄に練り込まないように気を付けて、なるべく軽く混ぜ合わせた。

「こんな感じ?」
「そうね。じゃあちょっと貸して」
「ハイ」

 お母さんに手渡すと、それにバニラエッセンスを振り手早くまとめて取り出した。

「ほら、これ。2センチくらいに丸めて。オーブンで焼くから」
「オッケー、分かった。……こんな感じ?」

 一個丸めて見せてみた。頷いてくれたので、大体そのくらいの大きさになるように注意しながら丸めていく。お母さんも手伝ってくれたので、それほど時間は掛からなかった。
「焼くのに15分くらい掛かるから、後はお母さんがやっといてあげる。未花は支度してきなさい」
「うん、分かった。ありがとう」

 今日のヒロくんちは、お父さんもお兄さんも出かけているとの事だけど、お母さんや弟君はいるという事なので、手土産を持っていった方が良いかということになったんだ。初めての訪問の、ご挨拶も兼ねて。

 何もかも準備が終わった頃、ヒロくんが迎えに来てくれた。

「こんにちはー」
「こんにちは、秋永君。今日は未花のことをよろしくね」
「はい、任せて下さい」
「未花も、ちゃんと挨拶するのよ」
「分かってるわよ。じゃあ、行って来るね」
「行ってらっしゃい」

 私とヒロくんは、お母さんに見送られてヒロくんちへと出発した。

「未花ちゃん、それ何?」

 ヒロくんが指差した先は、さっきお母さんと一緒に作ったスノーボールが入った袋だった。その目は期待でか、心なしか輝いている。

「これね、さっき作ったばかりのスノーボールだよ」
「未花ちゃんの、手作り?」
「うん。お母さんと一緒にね」
「そっかー、楽しみだな」

 そうやって雑談をしながら歩いている内に、駅に着いた。

「どこで降りるの?」
「O駅」

「えっ? O駅って……。ごめん、もしかしたらヒロくんの家からここに来るまで40分くらい掛かっちゃってたんじゃないの?」

「う~ん、そこまでは掛からないよ。それに言ったろ? 俺、朝は強いって」
「うん、でも……」
「だーかーらー、気にしないでって。それに俺、登下校の時間はデートだと思ってるんだけどな」
「ヒロくん……、うん」

 これに関しては、何度も気にしなくていいとヒロくんに言われ続けていた。やっぱり悪いなと思う気持ちはあるれけど、頑なに気にしているという態度を見せるのもどうかと思い引くことにした。
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