あなたが嫌われ者でも好きなんです

らいち

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無理なものは無理だから

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翌日登校すると、広美さんが私を見つけて駆け寄って来る。
「ちょっと」と呼ばれて、机にカバンを置いて廊下へと出た。

「まさか草津さんが、あんなふうに1人で先に帰っちゃうなんて思わなかったよ」

静かな口調だけれど、その声には苛立ちが感じられた。
表情も険しいし、怒っているんだろうな……。

確かに、何もかも放り投げて逃げ出してしまったのは良くないかもしれないけど、元をただせば強引に私を城田君に引き合わせようとしたのは広美さんじゃないかと、八つ当たりにも似た感情が沸々と沸き上がって来た。

でももちろん、そんな事は言えないので「ごめんね」と謝っておく。

「悪いと思ってるんなら、もう一回お膳立てしてあげるよ?」
「ごめん、無理」

咄嗟に言葉が出て、即座に断ってしまった。
私がこんなふうに、きっぱりと否定するとは思ってもいなかったのだろう。広美さんがびっくりしたように目を見開いた。

「……なんで? 健一郎、優しかったでしょう?」
「だって……、なんて言うか理屈じゃないの。城田君は、……ちょっと違う」

言いにくい事だけど、きっぱり断らないとまた広美さんはこの話を進めて来そうだ。
押せば何とかなると思われないように、たどたどしくてもと、頑張って言葉を紡いだ。そんな私に広美さんは一瞬眉を顰めたものの、これ見よがしにため息を吐いて見せた。

「伶英なんかよりずっと良いのに。あんな奴諦めないと、絶対痛い目に合うんだからね!」

よっぽど腹に据えかねたんだろう。
広美さんは捨て台詞のように言い捨てて、教室に入って行った。


怒らせちゃった……。
でも、好きでも無い人と付き合えと言われても無理だもの。仕方ないよね。


「遅いぞ、伶英―」

遠くから聞こえた声に、ハッとして振り向く。視線の先には、数人の男女に取り囲まれた伶英くんがいた。

伶英くんの教室とは離れているので、みんなが何を話しているかまでは聞き取れなかったけれど、楽しそうに笑う姿は仲の良さが感じられて羨ましく思ってしまう。

楽しそうな伶英くんに目が奪われて、ついついじっと見ていたら、伶英くんの間近にいる子に気付いてしまった。

あの子……。

確か前に、私のこと無表情な顔で見ていた子だ。
伶英くんの事、好きなのかな……。

そう思ったとたん、胸が苦しくなって、キュッと唇を噛みしめた。


他の誰かが伶英くんの事を好き……。そう思うだけで、焦る気持ちが膨らんでしまう。

だけど何もできない私はどうしたら良いのか分からない。

だって、話しかけてくれても顔も見れなきゃ、こちらから話を膨らませることも出来ない。楽しくない子だと思われていても仕方が無いし、もう呆れられてるかもしれない。


思いが叶う相手じゃ無いって分かってはいても、それでも諦められそうになくて……。

私はため息を一つ吐いて、そのまま自分の席へと戻った。
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