あなたが嫌われ者でも好きなんです

らいち

文字の大きさ
20 / 23

今度こそがんばれ私

しおりを挟む
「俺が誰に構おうが、金山には関係ないだろ? 俺は妃愛梨ちゃんのこと可愛いと思うし、誰かの評判なんて気にしないな。俺は自分の気持ちを信じるだけだから」


ドクン――

体の中を電流が走るように、心音が響いた。


自分の気持ちを信じる……。

そう、だよね。伶英くんの言う通りだ。

広美さんは伶英くんが女好きだって言っていて、好きになったら泣くよって言ってたけど、私の目に映る伶英くんは優しくて明るい人だ。
いつも彼の周りには男女問わず人がいて、たくさんの人に慕われている人気者にしか見えない。


「勝手にすれば?」

少し怒ったように言って、広美さんは廊下の向こうへと歩いて行った。
盗み聞きのようになってしまっていた私はハッと我に返って、彼らに見つからないように元来た道を戻って行った。

教室に入り、自分の席に力なく座る。ため息を吐いた後、広美さんの言葉を思い出していた。
そう言えば――

広美さんは私の事を退屈な子だって伶英くんに言ってた。なんで妃愛梨なんかに構うのかとも。
私には、伶英くんを好きになったら泣かされるよって忠告してたのに……。

やっぱり、何だか変。

私の心の中は、広美さんへの不信感で一杯になっていた。



翌朝、学校へ向かう途中で、「妃愛梨ちゃん、お早う」と声を掛けられた。驚いて振り返ると伶英くんがいた。

「あ…」

伶英くんの顔を見た途端、昨日彼が「妃愛梨ちゃんのこと可愛いと思う」と広美さんに言っていたことを思い出してしまった。
瞬時に頬が熱くなる。
ドキドキすると同時に、真っ赤になっているだろう顔を見られるのが恥ずかしくて、私はまた下を向いてしまった。

何やってんの、私。挨拶くらいちゃんと返さないと!

だけど、そう思えば思うほど掌から汗が滲み出て、焦って言葉が出なくなる。

しばらく俯いてドキドキしていたら、伶英くんの困惑した声が聞こえて来た。

「あの、さ。ちょっと気になってたんだけど。もしかして妃愛梨ちゃん、俺と話すの楽しくない? いつも下向いちゃって」

ハッとして顔を上げる。
一番されたくない誤解を、私の情けない行動が引き起こしている事に気が付いた。

「そ、そんな事無いけど…」

慌てて返事をするけれど、誤解を解く上手い言葉が見つからない。伶英くんの少し困ったような表情も、少しも緩むことが無かった。

どうしよう、どうしよう。
気持ちばかりが焦ってしまう。

頑張るって決めたのに、せめて明るく笑って伶英くんの話を聞くくらいはしたいと思っていたのに。
今の私は笑顔を見せることも、挨拶1つも満足いく返事を返せないくらいにテンパっていた。

そんな自分が情けなくて悲しくて、また次第に顔が俯きかげんになってしまう。


伶英くんのため息が聞こえて、ビクッとした。


恐る恐る顔を上げると、伶英くんが困ったように頭を掻いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

君を幸せにする、そんな言葉を信じた私が馬鹿だった

白羽天使
恋愛
学園生活も残りわずかとなったある日、アリスは婚約者のフロイドに中庭へと呼び出される。そこで彼が告げたのは、「君に愛はないんだ」という残酷な一言だった。幼いころから将来を約束されていた二人。家同士の結びつきの中で育まれたその関係は、アリスにとって大切な生きる希望だった。フロイドもまた、「君を幸せにする」と繰り返し口にしてくれていたはずだったのに――。

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

処理中です...