あなたが嫌われ者でも好きなんです

らいち

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なんでこんなに落ち着かなくなるんだろう

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「行ってきます」
「行ってらっしゃい、気を付けてね」

いつものように、お母さんに送り出されて学校に向かう。
学校へは歩いて20分くらいだ。

駅を超えて学校が近づいてくるにあたり、同じ制服を来た人たちが増えてくる。私と同じように一人で歩いている人もいるけど、友達同士で楽しそうにお喋りしながら歩いている子も結構いる。
本当は、ああやって友達同士で登下校をしている人たちが羨ましくてしょうがない。
人見知りが激しいうえに、おしゃべりが苦手な私にはかなり高いハードルなんだけど…。


校内に入って、そろそろ教室が見えてきたところで、誰かが横に並んで来た。
え? と思って振り向くと、伶英くんがニコリとほほ笑んだ。

ドキーン!

ま、まただ。
体の中を走り抜けるような大きな心臓の音。それと同時に、顔も熱くなってきた。

「お早う、妃愛梨ちゃん」

ひ、妃愛梨ちゃん!?

綺麗でカッコいい顔を、ふわりと柔らかな色に変え、伶英くんが優しく微笑みながら私を見ている。

ちゃん付けされて呼ばれて舞い上がり、しかも綺麗な顔にじっと見つめられて、恥ずかしさと緊張とで訳が分からなくなって来てしまった。
掌からは、じわじわと汗が滲み出てくる。

へ、返事。
挨拶し返さなきゃ……!

汗でベタベタになった手をギュッと握りしめて、きゅっと結んでいた唇を何とか開いた。

頑張れ、頑張れ私!


「……あ、あの……。お、」
「お早う、草津さん!」

「え、あっ……」

無意識に下を向いてしまっていた顔を上げると、広美さんが反対側から顔を覗き込んでいた。
だけどすぐに私から目を逸らして、伶英くんの方を向く。

「伶英、草津さん大人しいんだから、変にちょっかい出したらダメだよ」
「ちょっかいってなんだよ。挨拶してるだけだろ?」

何だか2人の雰囲気が悪い。
昨日も思ったけど、広美さんは伶英くんのこと嫌いなのかな…?

「ほら、行こう。草津さん」
「おいっ!」

抗議する伶英くんを無視して、広美さんは私の背中を押して教室へと促した。
結構強い力で押されていたので、躊躇はしたもののそのまま私は教室へと入ってしまった。

しまった!
また、伶英くんにきちんと返事もしないままになってしまった。

「ひ、広美さん」
「何?」
「私、伶英くんに挨拶しそびれちゃった」
「良いのよ、それで! 昨日も言ったでしょ? あいつ、普通に二股かけるような奴なんだよ。相手にする事無いよ!」
「でも……」
「草津さん大人しいし人を見る目無さそうだから心配なんだよ。あいつに泣かされた子、何人も見て来たから」
「…………」

そう言えば、昨日もそんなこと言ってたっけ……。

伶英君が何人もの女の子と軽く付き合って、それでもめごとが絶えなかったって……。


チクン。
あれ? 胸が痛い…。


何でこんなに伶英君の事を思うだけで、気持ちが落ち着かなくなるんだろう…。
本当に、変だよ私…。
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