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異変
十字架が怖い
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首の傷は塞がってきているけれどまだ跡が残っている。気にして首筋を触っていると、大石君があたしの手を外して傷跡を覗き込んだ。
「だいぶ小さくなってるな。大丈夫、そのうち消えるだろ」
「……うん」
「あれはエルザとは無関係だからな。魔界人でもないけど」
「え、そうなの?」
「ああ、やっぱり勘違いしていたか。アレは吸血鬼だ。悪魔ではない」
「……え? 吸血鬼って……」
それって、ヤバいんじゃ……?
吸血鬼に血を吸われたら吸血鬼になっちゃうんじゃなかったっけ……。
思わず舌で糸切り歯が長くなってないかと確認してしまう。
……うん、大丈夫。今の所そんな気配はないみたい。
あれって迷信だよね。どちらも根拠はないけれど。
悶々としていたら後ろから元気な千夏ちゃんの声が飛んできた。
「いづみー、大石君おはよー。ねえ、聞いた? 転校生が来るんだって!」
「転校生?」
「うん。それがね、結構……あ、先生来た」
千夏ちゃんの言葉にドアを見ると、担任の先生が入ってきた。
その横をすり抜けるように真奈美が慌てて入り込み、こちらを向いて苦笑いした。寝坊したなと笑い返して腰かけて前を向いた。
大石君も自分の席へと戻って行った。
「城田敦です。俺の親父は牧師です。こちらの教会の牧師さんが、高齢のため職務を果たせなくなったという事で移動になりました。どうぞよろしくお願いします」
あたしは彼の自己紹介の言葉よりも、彼の首元から目が離せないでいた。
まばゆい光を放つ十字架。
朝日に照らされてキラキラ光るそれが、まるであたしを責めているかのように思えたんだ。
なんと表現していいのか分からない。頭の中も体中も、変な違和感で気持ちが悪い。
そして何より、あの首で揺れている十字架が怖い。
……なにこれ……。このあたしの反応って……。
まるで映画の中で、魔物が十字架に追いつめられて怖がっている姿とおんなじじゃない……!
思わず口を両手で覆う。
額からは脂汗がにじみ、膝が諤諤と震えていた。
「だいぶ小さくなってるな。大丈夫、そのうち消えるだろ」
「……うん」
「あれはエルザとは無関係だからな。魔界人でもないけど」
「え、そうなの?」
「ああ、やっぱり勘違いしていたか。アレは吸血鬼だ。悪魔ではない」
「……え? 吸血鬼って……」
それって、ヤバいんじゃ……?
吸血鬼に血を吸われたら吸血鬼になっちゃうんじゃなかったっけ……。
思わず舌で糸切り歯が長くなってないかと確認してしまう。
……うん、大丈夫。今の所そんな気配はないみたい。
あれって迷信だよね。どちらも根拠はないけれど。
悶々としていたら後ろから元気な千夏ちゃんの声が飛んできた。
「いづみー、大石君おはよー。ねえ、聞いた? 転校生が来るんだって!」
「転校生?」
「うん。それがね、結構……あ、先生来た」
千夏ちゃんの言葉にドアを見ると、担任の先生が入ってきた。
その横をすり抜けるように真奈美が慌てて入り込み、こちらを向いて苦笑いした。寝坊したなと笑い返して腰かけて前を向いた。
大石君も自分の席へと戻って行った。
「城田敦です。俺の親父は牧師です。こちらの教会の牧師さんが、高齢のため職務を果たせなくなったという事で移動になりました。どうぞよろしくお願いします」
あたしは彼の自己紹介の言葉よりも、彼の首元から目が離せないでいた。
まばゆい光を放つ十字架。
朝日に照らされてキラキラ光るそれが、まるであたしを責めているかのように思えたんだ。
なんと表現していいのか分からない。頭の中も体中も、変な違和感で気持ちが悪い。
そして何より、あの首で揺れている十字架が怖い。
……なにこれ……。このあたしの反応って……。
まるで映画の中で、魔物が十字架に追いつめられて怖がっている姿とおんなじじゃない……!
思わず口を両手で覆う。
額からは脂汗がにじみ、膝が諤諤と震えていた。
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