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メイデスの森へ!
156 怒ったツクヨミ
しおりを挟む百五十六話 怒ったツクヨミ
「なに? ガーモンだったかちら。そいつ以外に新しいの増えてない?」
ツクヨミがカウ男、カウ子、アンネへと視線を移していく。
「あ、ツクヨミ、アンネちゃんー…そのエルフのピンク髪の子は敵じゃないよ」
「そうなの?」
「うん! 敵はそのガーモンって猿と、牛の2人!」
私は3人を順に指差していく。
「こいつらみんな邪神の配下?」
『何だこの女ー…邪神様だ!』
カウ男がツクヨミに怒鳴りつける。
「邪神様? ありえないわね、『様』をつけるのは魔王様以外似合っていないわ」
ツクヨミが軽く笑いながら首を左右に振る。
『ー…魔王様…だと?』
「えぇ。あの偉大な魔王様よ。弱体化してなかったら邪神なんか一瞬で返り討ちだったんだから」
ーー…うっ。
弱体化させちゃった原因って私だし、ツクヨミには言えてないけど心が痛い。
『フン、何を言うかと思えばあんな雑魚のことか』
心の痛みと戦ってる私を置いて、カウ男がツクヨミを見ながら鼻で笑う。
「ーー…どう言う意味かちら」
『言葉の通りさ。トップたるもの、いついかなる時も注意して行動しなければならない。それを怠っていた魔王にはその資格がなかっただけのことさ』
カウ男はその巨大な斧でミーナを吹き飛ばし、ゆっくりとその体をツクヨミに向ける。
「ーー…なんでちゅって?」
ツクヨミの身体にドス黒い瘴気が纏だす。
『カウ男、そのブスにもう一度言っておやり! 魔王のマヌケーって!』
アンネの対峙していたカウ子までもがツクヨミに魔王の暴言を浴びせる。
「ーー……」
ツクヨミの様子がおかしい。
全身を細かく震わせながら俯いている。
『ギャハハハー! 見てよカウ男! あのブス、大好きな魔王をボロカス言われて泣いちゃってるわー! 何であんな雑魚にあこがれたのかしらねー!!』
カウ子がツクヨミを指差し、涙を流しながら笑う。
ーー…いや、ツクヨミは泣いてるんじゃない。カウ子たちには見えてないんだろうか、前髪の間から見えるあの鋭い眼光がー……。
「ーー…言いたいことはそれだけかちら」
ツクヨミは手を顔の近くで強く握りしめる。
『ーー…ん?』
『なになにこわーい』
「殺す」
そう呟くとツクヨミは幼児化モードを解除。
同時に身体からはさっきまでとは比べものにならないほどの瘴気が溢れ出す。
『『ーー…!!??』』
「魔王様を侮辱した罪、その命で払って貰うわ」
『カウ子、そのピンクのガキよりあいつだ! なんか嫌な予感がする!!』
『わかったわカウ男! おどきおブス!!』
カウ子は大盾を勢いよく突き出してアンネに威嚇。驚いたアンネは後方へ飛び距離をとる。
『カウ男! あのブスの攻撃は私が受け止める! そこに生まれる隙を狙いなさい!』
『わかっている!!』
カウ子が大盾を突き出して先ほどのアンネの時と同様、ツクヨミに向けて突撃。その後ろを大斧を持ったカウ男が続く。
「カウ男、カウ子! 先に俺の拘束を解いてくれよ! んで一緒にその女ヤろうぜ!!」
「猿は黙って」
「ーー…!!??」
ツクヨミがガーモンを睨みつけると新たな触手が出現。ぐるぐるとガーモンのおちんちんに巻きついていく。
「おおおおお! これはいい締め付け具合!! こんな快感を与えてくれるなんてありがたー…」
「潰れなさい」
「ーー…へ?」
ツクヨミの声に反応して触手がギュウッとガーモンのおちんちんを締め付けだす。
「いーたたたたた!! ちぎれ…千切れるー…!!!!」
ガーモンのおちんちんの先が赤色から青色に。
「ぎゃああああああああああ!!!!」
それが青色から黒色に変わった時、ガーモンは泡を吹いて力尽きた。
『ーー…!!』
『ガーモンちゃん!!』
これにはカウ男とカウ子も動揺。仲間の無残な敗北を目にした2人の動きが一瞬鈍る。
「どこを見ているの?」
『『ーー…!!??』』
よそ見をしていた2人のもとへ、ツクヨミは黒い球体を連続で浴びせていく。
「ーー…なんだあの禍々しい力を持った女は。お前の仲間か?」
アンネが少し顔を引きつりながら私に尋ねる。
「そうだよ、ツクヨミって言うんだ。強いでしょ」
「強いと言うかなんと言うかー…ツッコミどころが多すぎるぞ」
まぁそうだろうね。
突然子供体系からあんなセクシーな大人モードに変わるし、魔王さんを崇拝してるんだもんね。
「あれがミーナのご主人様にゃ!」
カウ男に吹っ飛ばされて腹部に傷を負ったミーナが茂みからメイスを杖代わりにしながらこちらに向かって歩いてくる。
「そうなのか!? あれがミーナのご主人なのか!?」
「そうにゃ。ミーナ、あんなに怒ってるご主人様見るの初めてだけど、かっこいいにゃあ…」
「そうか? アンネからしたら、ミーナには悪いが怖さすら感じるけどな」
アンネとミーナはそれぞれ違う表情をしながらカウ男・カウ子との戦闘を繰り広げているツクヨミを眺めていた。
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