絆創膏をアソコに貼った私が無双して世界を救う！？

メイデスの森へ！

157 邪神配下の猛攻

　百五十七話　邪神配下の猛攻


　『カウ男、今よ！！』


　ツクヨミの攻撃を大盾で防ぎきっていたカウ子の後ろからカウ男が大斧を振り上げながら飛び出す。


　『これで終わりだ！！』

　
　「触手！」


　空中で斧を振りかぶっているカウ男の両サイドから触手が勢いよく迫る。

　
　「これで終わりよ！」


　『フン！　これしき！』


　カウ男は空中で斧を横に持ち替え、そのままグルグルと斧を回して迫り来る触手を切り刻んでいく。


　「へぇ…、やるじゃない」

　『伊達に邪神様の配下をやっていないものでなぁ！！』


　触手を切り刻んだカウ男はそのまま回転しながらツクヨミのもとへ。
　ツクヨミは黒い渦の障壁を展開してそれを防いだ。


　『お前もなかなかやるじゃないか！！』

　「邪神の配下なんかに負けてるようじゃ示しがつかないわ」

　
　なかなかに熱い戦いだ。
　加勢したいけどタイミングの掴めない私たちはただサイドでツクヨミの応援をしていた。
　ーー…はずだったのだが。


　「ーー…んん？」


　私の身体に何かが巻きつく。


　「え、なにこれ」


　お腹に巻きついたそれを確認してみると、どうやら植物のツルのようだけどー…


　「な、なんにゃこれはー！！」

　「くっ…なんだこれは…、取れないぞ！！」


　振り返ってみるとミーナとアンネも私と同様ツルが身体に巻きついている。


　「ねぇアンネちゃん、これなに！？」

　「アンネにもわからん！」

　
　「植物系の魔物とかいないのかにゃ！？」

　「いや、そのようなものはアンネも聞いたことも見たこともない！」

　「じゃあなんなのにゃーーー！！！」


　ツルはツクヨミにも襲いかかっており、ツクヨミはそれを避けながらの戦闘を強いられていた。


　「あの牛のどっちかの魔法かスキルなのかな！」

　「あぁ、アンネはそうだと思うぞ。じゃないとあの2体の他にも敵が近くにいるってことになるからな」


　私たちがツルに巻かれながらもがいているとカウ子がニヤニヤしながら私たちのもとへ歩み寄ってくる。


　『あーら、あんた達知らないのね、そのツルがどうして私たちだけ狙ってこないのか』

　「ど、どう言うことにゃ！　ー…て言うかそんなよそ見してる余裕お前らなんかにー…」

 『あるわよ。ほら、見て見なさいブスたち』


　カウ子がある方向に指をさす。
　その方向へと視線を向けてみるとー…


　「ーー…！！！　ツクヨミ！」

　「うにゃああ！！　ご主人様ー！！！！」


　ツクヨミは両足をツルに巻かれて動きを止められながらカウ男の攻撃を必死に防いでいた。


　「なんなのこのツルー…厄介ね、この動きー…まるで生きてるようだわ」


　『そう、生きてるんだよそのツルは』


　ツクヨミの展開した障壁に斧で連撃を浴びせているカウ男がニヤリと笑う。


　「なにを適当なことをー…！」

　『お前らの中で見てる奴はいなかったのか？　ガーモンがアソコの先から子種をばら撒いていたのを』


　「ーー…子種ってなんだ？　アンネ、聞いたこともなー…」


　アンネが私たちに尋ねる。


　『ガーモンのもう１つのスキル、【人形化】によるものだ』


　カウ男はアンネの言葉を遮りながら説明を続ける。


　『ガーモンの子種を浴びるとな、一時的にだがそれに魂が宿り、その子種が乾ききるまで自軍の味方にすることができるのだ！』


　カウ男が高らかに叫ぶ。


　ーー…ちょっと待って。
　私がまだエルフの里にいた時から、それをばら撒いて暴れてたんだよね。てことは、結構な量がかかってるんじゃないの？
　
　私は周囲を見渡す。
　するとー…


　「ーー……！！？？」


　周囲の木々の根元から謎のツルが飛び出してウネウネと動き、その先は全て私たちに向けられている。


　言うなれば４人vsその他大勢


　「力の差が違いすぎるにゃーー！！」

　　
　ミーナが諦めたように泣きわめく。


　「くっー…こんなことになると分かっていればガルフを呼んで、、いや、この数はガルフでも押さえ込まれるか」


　アンネも悔しそうに下唇を噛みながら周囲のツルを睨みつける。


　『悔やんでも意味ないわよーだ！』

　
　大盾を構えたカウ子が楽しそうに笑いながら私たちをみる。


　「どうしてにゃ！！」

　『だって今からアンタたちは私に殺されるんだから！！』

　
　カウ子は大盾を力強く握りしめ、一番騒いでいるミーナに狙いを定める。


　「にゃにゃ！！？？」

　『アンタが一番うるさいから先に楽に潰してあげるわ！！』

　「にゃーー！！　やめるにゃーー！！！」

　『ギャハハハハ！！　その叫ぶ声、たまらないわーー！！』


　カウ子が大盾を前に突き出し、ミーナに向けて突撃を開始。


　「アンネちゃん！　あの牛にクリスタルロックを！」

　「ダメだ、両手もツルに自由を奪われている！　魔法自体の発動が出来ない！」

　「ミーナあああああ！！！」


　「うにゃああああああああ！！！」


　カウ子の大盾がミーナの身体に接触するー…そのギリギリの時だった。
　

　ミーナの目の前に金色の結界が出現。
　それに触れたカウ子が勢いよく吹き飛ばされる。


　「うにゃ！？　なんにゃなんにゃ！？　なにが起こったにゃ！？」


　ミーナは周囲を見渡しながら頭にハテナマークを浮かべている。
　
　そっか、ミーナはまだ見たことなかったもんね。


　「ナタリーちゃんー！！　ヨミちゃんにミーナちゃんもー！！」


　ヒミコが息を切らしながらこちらに向かって走ってくる。


　「誰だ、あの子供は。あれもお前たちの仲間か？」

　「うん、そうだよ」

　「ヒミコちゃんにゃーー！！！」


　「もうヨミちゃん、走るの早すぎー！　みーちゃん迷子で泣きそうになったんだからね！」

　ヒミコが膝に手をつきながらツクヨミの目の前にも金色の結界を展開。
　それに触れたカウ男も勢いよく吹き飛ばされる。


　『なっー…邪神様の拠り所…！』

　『バカカウ男！　ここで言ったらダメでしょ！！』

　『あ、ー…あぁそうか！！』


　なんだろう、牛の2人が言い争いをしている。仲間割れかな。


　「ヨミちゃん大丈夫？」

　「えぇ。助かったわヒミコ。そうだわ、少しの間でいいからこの周辺に結界を張ってくれないかしら。」

　「結界を？」

　「そう。さっきから周りのツルが襲ってきて邪魔なのよ」

　「そうなの？　みーちゃんには襲ってこなかったけど、なんでかな」

　「知らないわよ。ヒミコなんか眼中になかったんじゃないの？」

　「ぶーっ！」


　ヒミコは頬を膨らましながら周囲のツルを睨みつける。

　
　「もう！　みーちゃんだってやればできるんだからねー！！！」


　ヒミコは私たちの周囲に金色の結界を展開。
　それにより私たちを縛っていたツルも千切れ、私たちもやっと解放される。


　「さて…これで邪魔もなくなったことだし、やっとお前たちを殺せるわ」


　ツクヨミが黒い球体を手のひらに出しながら牛2人のもとへ歩み寄る。


　『くっー…、カウ子！』

　『分かったわー！！』


　カウ子は手に持っていた大盾をツクヨミ目掛けて投げつける。


　「なんなの捨て身？」


　ツクヨミは片方の手で障壁を展開しそれを弾く。


　『今だ！』


　カウ男が障壁に向けて斧を振り回し連撃を再び浴びせ始める。


　「だからそれは無駄だとー…」


　『隙ありぃー！！！』

　
　「ーー…！！？？」


　ツクヨミがカウ男の連撃に注意を向けている間にカウ子が素早くツクヨミの背後に移動。
　がっしりと後ろから腕を回してツクヨミの動きを封じる。


　「ツクヨミ！！」


　カウ子の動きがあんなに早かったなんて！

　私は覇王ミルキーポップをカウ子に向ける。


　『やめたほうがいいわよー！　この女に当たっちゃうかもー！』


　カウ子がニヤリと笑みを浮かべながらきつくツクヨミを締め上げる。


　「くっー…アンタがそんなに早いとは予想外だわ」

　『でしょうね！　でも考えてみてよブス。　あの重たい大盾を持ちながらでも結構早く走れるのよ？　なら大盾なしならもっと早く移動できるの当たり前でしょう』


　「ヨミちゃん！」


　『おっと、静かにしてなさいおチビちゃん。今あなたがその結界を解いたら今度は周囲のツルがみんなを襲うわよ』


　再び訪れた絶体絶命のピンチ。
　私たちが為す術もなく立ち尽くしていると、少し強めの風がビュンと吹いた。