茶うさぎのテラと白うさぎのシロ

立樹

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前編

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 うさぎのテラとシロは、小さいころから一番のなかよし。
 テラはぴょんぴょこ山の西側に家があって、シロは東側に家があります。
 ぴょんぴょこ山に木枯らしが吹きました。
「もうすぐクリスマスだ」
 ラテは、窓から外をのぞきながらつぶやきました。
 毎年、クリスマスにはシロの家で一緒にケーキを食べるのです。
「きっともうすぐ、シロから招待状が届くぞ」
 テラは楽しみでなりません。
 だって、シロのつくる料理やデザートは天下一品だからです。
 どんな美味しいものよりも、シロが作った料理に比べたらかないません。
「そうだ、プレゼントを用意しなくっちゃ」
 テラは、窓辺からはなれて、テーブルにむかいました。
 ノートをテーブルに広げます。
 どんなプレゼントならよろこんでくれるだろう。
 去年は、棚を。その前の年はソファーを作ってプレゼントしました。
 考えているうちに、いいプレゼントを思いつきました。
「そうだ、あれにしよう。きっとよろこぶぞ」
 さっそくテラは作業にかかります。
 すると、カランとドアベルがなりました。
「誰だろう?」
 ドアを開けると、シロです。
「テラ、遊ぼうよ」
「今日は、ちょ、ちょっとダメなんだ」
「どうして? 誰か来てるの?」
 シロが首をかしげました。それもそのはず。いつものテラならよろこんで遊ぶからです。
 断ったことなんてありませんでした。
 まだクリスマスまで一週間あります。今日遊んでもきっと時間はあるでしょう。でも、シロに喜んでもらうために、いろいろなものを作ってみようと思っていました。
 だから遊んでしまうと満足のいくものを作れないと思ったのです。
 テラは遊びたいのをぐっとがまんして
「ごめん」
 と、ドアを閉めました。
 それから、そっと窓をのぞくと、シロが帰っていくのが見えました。
 その後ろ姿がとてもさびしそうで、もう少しでがまんできずに飛び出していってしまうところでした。
 けれど、テーブルの上に広げたメモ書きをみて、足をとめました。
「ぜったいにシロをよろこばすものを作るぞ!」
 テラは、材料を買いにでかけました。

 しょっていた大きな荷物をテーブルの上に置きます。
 さっき、とんかち山で買ってきた材料を広げます。
 とんかち山では、いろんなものが売っているのです。
 テラは木材をたくさん買ってきました。
「これで、なべをかきまぜるヘラやおたまを作るんだ」
 シロが使っているおたまやヘラが、ひびがいったり、取っ手がかけたりしていたのを見ていたので、もっといいものを使ってほしいといつも思っていました。
 さっそく材料をかかえて、しばらく作業部屋にこもるつもりです。
「あ、そうだ。シロからもらったクッキーも持って行こう」
 棚から缶をとりだし、せっせと作業にとりかかりました。

 木を切ったり、けずったり。
 服といわず、床も木くずだらけ。
 ナイフを持つ手も痛くなってきます。

 でも、シロのよろこぶ顔を思いうかべたら、痛さもわすれて口元がにんまりしてきます。
 そうして四日がすぎました。
 やっと、大中小のおたまとヘラが完成しました。
「できた!」
 テーブルにならべます。テラはいいできばえをしばらくながめていました。
 けれど、なんだか気持ちがもやもやします。
 しばらく腕組みをして考えました。
「そうか! シロだ。シロに会いに行かなくっちゃ」
 テラが作業しているあいだも、シロは毎日テラをたずねてきていたことを思い出したのです。
「シロ、さびしそうにしてたな」
 テラは、もう日が暮れて薄暗い中をかけていきました。
 そうして着いたシロの家でしたが……。
 ドアベルをならして出てきたシロから、
「今日は帰って」
 と、言われてしまいました。
 いつもなら、いくらおそくなっても中に入れてくれていたのに。
 とぼとぼと帰りながら、どうしてだろうと思いました。
 家に帰り、晩ご飯の準備をしながら、はっとしました。
「どうしよう。ぼくがずっとさそいをことわっていたから、シロってばおこっちゃったのかも」
 テラは、いてもたってもいられません。ですが、もう夜。
 外は真っ暗。
「また、明日行ってみよう」
 と、決めました。

 ですが次の日も、次の日も「ごめん」と言って追い返されるばかり。
 最初は、しょんぼりしていたテラでしたが、しだいにあせってきました。
「どうしよう。きっとシロにきらわれちゃったんだ」
 今日は、シロに会って理由をちゃんと聞こう。そう思ってドアをノックしました。
「おはよう、テラ」
 眠そうな目をこすりながら、シロがでてきました。
「シロ、もしかしておこってる? きらいになった?」
 おずおずと聞くと、シロは首を横にふりました。
「そんなわけないよ」
「でも、中に入れてくれないし。今日もだめなんだろ?」
「う、うん」
「やっぱり、ぼくのこときらいなんだ」
「え、ちがうよ」
「じゃあ、なんでさ。理由を聞かせて」
「えっと……」
「ほら、いえないじゃん。シロはやさしいから『キライ』って言えないだけでしょ。もういいよ!」
 ぷいっと背をむけて、家まで走って帰りました。
 後ろからシロの声が聞こえていましたが、立ち止まりませんでした。
 冷たい北風が顔にふきつけてきます。
 おかげで、家に帰ると、体中が寒さで痛いぐらいです。
 暖炉に火をつけ、イスの上でじっとしていました。
 ごはんも食べていません。
 おなかはぐ~となります。
 でも、食べたくありませんでした。
 テーブルの上にはヘラやおたまが並んでいます。
 ふと、今日が何日なのか気になって、カレンダーを見ました。
「明日、クリスマス・イブだ」
 なのに、ぜんぜん楽しくありません。
 シロはおこっていないと言っても、どうして遊んでくれないのか分からないのです。
「プレゼント、渡しに行ったら受け取ってくれるかな」
 テラは、そうだと手をならしました。
「このプレゼントを持って行って、会わなかったことをあやまればいいんだ!」
 そうと決まれば、さっそくおたまやへらをつつみ始めました。
 白い箱に赤いリボンをかけます。
「よし! できた」
 そして、メッセージカードを夜遅くまで書きました。

 
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