茶うさぎのテラと白うさぎのシロ

立樹

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後編

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次の日。
 日も高く上らないうちに、シロの家に行こうとドアを開けようとしてビックリしました。
「開かない!」
 カーテンをあけても、家の中は暗いまま。
 どうやら一晩で、雪が家をおおいかくしてしまったようでした。
 たくさん雪が降って、家からでられないようです。
 冬のぴょんぴょこ山ではよくあることでした。
 いつもなら、こんな日は、一日、布団に丸まって寝ています。
 けれど、今日はそんなことできません。
 急いで、作業部屋から雪かきの道具をだしてきて、なんとか扉を押し開けたときでした。
 地面に手紙のようなものが落ちているのに気がつきました。
 ひろってみると、

 テラへ

 と書かれています。
 裏面には、

 シロ

 と書かれていました。
 雪にぬれてふにゃふにゃになった封筒を開け、中を見るとカードがはいっていました。
 取りだして読んでみます。
「招待状。今日の夜七時からクリスマスパーティをします。プレゼントもあります。来てください。だって」
 テラは、「やった! 招待状だ」と家中をとびはねました。
 おこっていたんじゃないんだ。
 そうだよ、シロだもんな。
 雪がふる中持ってきてくれたんだ。
 きっと、寒くて冷たくて、大変だったろうな。
「こうしちゃいられないや」
 夜七時と書いてありますが、いてもたってもいられません。
 それに、こんな大雪の中、シロが困っていないかという心配もありました。
 少し開いた扉から、シャベルで雪をかいていきます。
 やっと、空が見えたときには、テラはあせだくになっていました。
 日も高くのぼっています。
 プレゼントを持って、雪が降りしきる中、シロの家に向かって走ります。
 けれど、シロの家も雪でうまってしまっていました。
 シャベルを持ってくる時間もおしくて、手や足をつかって雪をほっていきます。
 やっとドアベルを見つけてならしました。

「だれ?……って、テラ!」
 少し開いたすき間からシロが顔をだしました。
 寝ぼけた目がぱっと大きくなりました。
「夜じゃないけど、いい?」
「いいけど。このすごい雪、シャベルを持ってきて雪かきしたの?」
「手さ」
「わ、大変。手伝うよ。シャベル持ってくるから」

 テラはシロと一緒に家のドアのまわりの雪かきをしました。
「やっとドアが開くね。テラ、入って」
「え、やった」
 テラは、中に入れることがこんなに嬉しかったことはありません。
 プレゼントを持って中に入ると
「うわ……」
 クリスマスかざりでいっぱいの部屋におどろきました。
「どう、気に入ってくれた?」
「うん、わくわくする」
「よかった。じゃあ、ミルクを入れてくる」
 キッチンに行こうとするシロをテラは
「待って」
 と呼びとめました。
「あのさ、これ。クリスマスプレゼント」
「ありがとう。開けていい?」
「いいよ」
 シロは赤いリボンをほどいて、箱のふたを開けます。
 中の大中小のおたまとへらを、取りだして、テーブルの上に並べました。
「ありがとう。これ、買ったの?」
「ちがうよ。ぼくが作ったんだ」
 へへんと鼻をこすりながら言いました。
 シロが買ったものと間違えてうれしかったのです。
「すごいや。……そっか。もしかして遊べないって言ってたのって、これを作ってたとか?」
「そう! 四日もかかっちゃってさ。遊べなくてごめん」
「なんだ、テラもぼくと同じ理由だったんだ」
「え?同じ……、あ、もしかしてこの間から家の中に入れてくれなかったのって、クリスマスの準備をしてるから?」
 テラが聞くと、シロがうなずきました。
 ツリーに、窓にも緑や赤、白の飾りが。テーブルの上や棚にも、クリスマスの小物のかざりが置かれ、部屋にいると、町のおもちゃ屋さんにいるみたいに思えてきます。
「サイコーのクリスマスだ」
 テラが言うと、シロが笑ってうなずきました。
 それからテラとシロは、クリスマス・イブを楽しみました。
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