27 / 29
27
しおりを挟む
「……」
青木の言葉に息が詰まる。
女性からではなく、男性からの告白に息を飲む。
心臓が飛び出るのではないかという程に脈打ち、火照る頬をどうにもできなかった。
「あ、あのさ、青木」
「何?」
「男惚れってやつか?」
そういうと、俺の頬から手をどかし、盛大に笑った。
お腹を抱えて笑う青木に、
「青木ってそんなに笑うやつだったとは意外だよ」
「誰のせいだよ」
と、涙目で言われた。
「これだけ、真剣に告白したのに、『男惚れ』って……。わざと外しているとしか思えないんだけど」
笑いながら、俺を見た。
信じたくはないけれど、本当らしい。
俺は、頭を抱えた。
「本当か?」
「ああ」
「俺がもし『NO』と言ったら……?」
「諦めるよ」
「このままの関係でいられないのか?」
「難しいだろうね。だって、俺の気持ちを佐藤は知ったんだ。佐藤の性格上、相手の気持ちをないがしろにできないだろ? 真剣に応えようとするだろ?」
頭を抱えたまま青木の声を聞いている。
その通りだ――。
今まで通り、なんて虫のいい態度はとれない。
「だから、佐藤が『NO』というなら、このまま帰るよ」
「え!?」
がばっと顔を上げると、柔らかく見つめる青木の目と合った。
「どうやって?」
「タクシーを呼ぶさ」
どうとでもなるとでも言うように俺を見る。
その目は覚悟を決めた意志の堅い目だった。
「青木、一つ聞いていいか?」
「なんなりと」
「なんで、今日だったんだよ。今日、変だっただろ?」
「それは、賭けたんだよ」
「賭け?」
「そう、本当は、今日こんな風に打ち明ける予定なんてなかったんだ。けれど、どうにもこうにも自分の気持ちにウソをつけなくなってきてて苦しかったんだよね。だから、仕掛けてみた」
「……!?」
「佐藤が、俺を友人としてしか見ていないのは分かっていたし、今までは佐藤に合わせていた。その佐藤に俺がどれだけ意識させることができるのか――、ってね」
「で、俺は、まんまと引っかかったってわけか」
「どうだろ? 最初は、あまり手ごたえ無くって、止めようと思ったよ。このままの関係でいようと思ったんだけどさ、あの、アイスがあまりに無防備で……」
青木は、思い出したようにクスクスと笑う。
「あ、あれは、もういいだろ!!」
思い出すだけでも、顔から火が出そうになるから、もう思い出さないでほしい。
「あと、『うちに来るか』と誘われた時にはどうしようかと思ったよ」
笑いながら言う青木の目には涙がジワリとまつ毛を濡らしていた。
上気で目元が赤く染まり、憂いの瞳に濡れるまつ毛。
男だとわかっていても、あまりの色っぽさに一瞬気を取られてしまった。
これは、女どもがほっとかないはずだ……。
そんな青木から目を離し、顔を伏せた後、しばらくすると、
「佐藤、答えが聞きたい」
と言う彼の真剣な声が俺の胸を打つ。
青木の言葉に息が詰まる。
女性からではなく、男性からの告白に息を飲む。
心臓が飛び出るのではないかという程に脈打ち、火照る頬をどうにもできなかった。
「あ、あのさ、青木」
「何?」
「男惚れってやつか?」
そういうと、俺の頬から手をどかし、盛大に笑った。
お腹を抱えて笑う青木に、
「青木ってそんなに笑うやつだったとは意外だよ」
「誰のせいだよ」
と、涙目で言われた。
「これだけ、真剣に告白したのに、『男惚れ』って……。わざと外しているとしか思えないんだけど」
笑いながら、俺を見た。
信じたくはないけれど、本当らしい。
俺は、頭を抱えた。
「本当か?」
「ああ」
「俺がもし『NO』と言ったら……?」
「諦めるよ」
「このままの関係でいられないのか?」
「難しいだろうね。だって、俺の気持ちを佐藤は知ったんだ。佐藤の性格上、相手の気持ちをないがしろにできないだろ? 真剣に応えようとするだろ?」
頭を抱えたまま青木の声を聞いている。
その通りだ――。
今まで通り、なんて虫のいい態度はとれない。
「だから、佐藤が『NO』というなら、このまま帰るよ」
「え!?」
がばっと顔を上げると、柔らかく見つめる青木の目と合った。
「どうやって?」
「タクシーを呼ぶさ」
どうとでもなるとでも言うように俺を見る。
その目は覚悟を決めた意志の堅い目だった。
「青木、一つ聞いていいか?」
「なんなりと」
「なんで、今日だったんだよ。今日、変だっただろ?」
「それは、賭けたんだよ」
「賭け?」
「そう、本当は、今日こんな風に打ち明ける予定なんてなかったんだ。けれど、どうにもこうにも自分の気持ちにウソをつけなくなってきてて苦しかったんだよね。だから、仕掛けてみた」
「……!?」
「佐藤が、俺を友人としてしか見ていないのは分かっていたし、今までは佐藤に合わせていた。その佐藤に俺がどれだけ意識させることができるのか――、ってね」
「で、俺は、まんまと引っかかったってわけか」
「どうだろ? 最初は、あまり手ごたえ無くって、止めようと思ったよ。このままの関係でいようと思ったんだけどさ、あの、アイスがあまりに無防備で……」
青木は、思い出したようにクスクスと笑う。
「あ、あれは、もういいだろ!!」
思い出すだけでも、顔から火が出そうになるから、もう思い出さないでほしい。
「あと、『うちに来るか』と誘われた時にはどうしようかと思ったよ」
笑いながら言う青木の目には涙がジワリとまつ毛を濡らしていた。
上気で目元が赤く染まり、憂いの瞳に濡れるまつ毛。
男だとわかっていても、あまりの色っぽさに一瞬気を取られてしまった。
これは、女どもがほっとかないはずだ……。
そんな青木から目を離し、顔を伏せた後、しばらくすると、
「佐藤、答えが聞きたい」
と言う彼の真剣な声が俺の胸を打つ。
0
あなたにおすすめの小説
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる