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買ったものをテーブルの上に置いた。
手の平を見ると、赤い線がいくつもできている。
「ボストンバッグもここに置いていいですか」
手から顔を上げ、声のする方へと向ける。視線の先にはベランダへと続く窓があり、その窓には、側に立つボストンバッグを肩にかけた杉山が映っていた。
「ああ」
頷くと、杉山の側へと寄り、手を取った。
「え、ちょ、川浪さん?」
慌てたような声を出す杉山の手の平にも、赤い線が幾筋もできていた。
手を放し、赤い線をなぞる。
「……っん」
思わずといったような声と共に、手を素早く引っ込めた杉山を見ると、戸惑ったような、訴えかけるような顔をしていた。
その顔に、ぞくりと旋律が走る。
「わ、悪い。手、痛くないか?」
杉山から顔を背け、誤魔化すように頭をかいた。
「だ、大丈夫です」
ボスっとボストンバッグを置く音がした。
「川浪さん」
呼ぶ声が真剣な声に変わった。
「あれは駄目です」
「そうだな。すまん。軽率な行動だった。軽はずみに触れないように気をつけるよ。疲れただろ。着替えて飲むか」
「そういうことではないんです」
杉山は隼大の手を取ると、手の平を上に向け同じように赤い線を指でなぞった。
痺れるようなこそばゆい感触に、思わずグッと強く手をにぎり込む。
それでも、さっきの感触が残っている。もし胸の内に毛があるのなら、ぞわりと逆立ったままだろう。
「……」
言葉にならず、杉山を見た。
「だから、駄目だと言ったんです」
そう言った杉山はふわりと笑った。
触られたのがイヤだと思っていたけれど、この気持ちになるのが駄目だと言ったのか。
行為がいやではなく、この感覚か――。
まだ、ぞわりとした感覚が残っている。
目の前にいるのは杉山だ。
それがわかっていても、手が出そうになる。
これが昨日であったのなら、こんな気持ちにならなかった。
たった一晩過ごしただけ、それだけなのに、隼大は情が移っていることを認めざる得なかった。
手の平を見ると、赤い線がいくつもできている。
「ボストンバッグもここに置いていいですか」
手から顔を上げ、声のする方へと向ける。視線の先にはベランダへと続く窓があり、その窓には、側に立つボストンバッグを肩にかけた杉山が映っていた。
「ああ」
頷くと、杉山の側へと寄り、手を取った。
「え、ちょ、川浪さん?」
慌てたような声を出す杉山の手の平にも、赤い線が幾筋もできていた。
手を放し、赤い線をなぞる。
「……っん」
思わずといったような声と共に、手を素早く引っ込めた杉山を見ると、戸惑ったような、訴えかけるような顔をしていた。
その顔に、ぞくりと旋律が走る。
「わ、悪い。手、痛くないか?」
杉山から顔を背け、誤魔化すように頭をかいた。
「だ、大丈夫です」
ボスっとボストンバッグを置く音がした。
「川浪さん」
呼ぶ声が真剣な声に変わった。
「あれは駄目です」
「そうだな。すまん。軽率な行動だった。軽はずみに触れないように気をつけるよ。疲れただろ。着替えて飲むか」
「そういうことではないんです」
杉山は隼大の手を取ると、手の平を上に向け同じように赤い線を指でなぞった。
痺れるようなこそばゆい感触に、思わずグッと強く手をにぎり込む。
それでも、さっきの感触が残っている。もし胸の内に毛があるのなら、ぞわりと逆立ったままだろう。
「……」
言葉にならず、杉山を見た。
「だから、駄目だと言ったんです」
そう言った杉山はふわりと笑った。
触られたのがイヤだと思っていたけれど、この気持ちになるのが駄目だと言ったのか。
行為がいやではなく、この感覚か――。
まだ、ぞわりとした感覚が残っている。
目の前にいるのは杉山だ。
それがわかっていても、手が出そうになる。
これが昨日であったのなら、こんな気持ちにならなかった。
たった一晩過ごしただけ、それだけなのに、隼大は情が移っていることを認めざる得なかった。
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