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【32】2006年6月7日 12:47・教室・曇り。ホクホクアイナ(レン視点)。
しおりを挟む「はい、日直号令~ッ」
4時間目が終わった。まだチャイムは鳴っていないがキリが良いということで早めに終わってくれた。
私は教科書やノートを片づけるとカバンから弁当を出してユアルを誘いアイナの席に移動した。
が、当の本人は不在だった。
「アイナは?」
「さぁ?お手洗いでしょうか?」
「トイレって、授業終わって1分くらいしか経ってないよ?」
「私たちの席はアイナよりも前列にありますから、授業終了後のアイナの動きが確認し辛いんですよね」
「「・・・・・・・・・」」
私とユアルは互いの顔を見合わせる。2人とも言い知れぬ違和感を抱きながら。
「「 あ ッ ! ! 」」
そして、違和感の正体に気づいた。
「はぁ~~、あれだけ知世田先生とトラブル起こしといて、まだ懲りてないなんて。アイナのヤツッ」
「レン、重ね重ねごめんなさい」
「ユアル、言ってるでしょ?ユアルの責任じゃないって」
「ですが・・・」
「こうしてても時間の無駄だから先に弁当食べてよ?」
「そうですね」
「あ、そうだ。本邸への報告内容考えたんだけど聞いてくれる?」
「はい、もちろんです」
私は数分かけてアイナと角刈りモアイの件に関する本邸への報告内容を聞いてもらった。
「って感じで互いに少し勘違いもあってそれが発端でしたみたいな感じなんだけど?どうかな?」
「問題ないと思います。きっと本邸というか、丹加部(にかべ)さんも納得してくださることでしょう」
「あははッ」
「あら?何か私、おかしなこと言いましたか?」
「ううん、何も。」
本邸の誰を落とせば良いのか、ユアルがしっかり把握しているのがちょっと面白かった。
「ヨシッ!ユアルのお墨つきが貰えれば大丈夫だねッ」
ちょっとしたことでもユアルに確認すると安心感が段違いで増す。
「アイナちゃん!どうしたのそれ!!!?」
教室後方の入り口からクラスメイトの叫び声が聞こえてきた。私とユアルは『アイナ』という聞き慣れた名前に否応(いやおう)なしに反応してしまう。
「ん?これか?貰ったー」
「貰った?買ったんじゃなくて?しかも、そんなにたくさん・・・」
「これはオレのだからな、やらねーぞ?」
「え?あ、うん・・・」
そこには両手にいくつもビニール袋を携えたアイナの姿があった。両手にはそれぞれ3袋ずつビニール袋を持っており、どれもパンやジュースが限界ギリギリまで詰
めこまれていた。
《・・・マジでいい加減にしてよ》
「はぁ~。あの娘、ホントに・・・」
ユアルが両手で頭を抱えてうなだれている。無理もない。私たちの予想ではアイナがまた購買部にパンやジュースを貢いでもらいに行ったのだろうという予測は立てていた。問題はその量だった・・・。
せいぜい数個程度貰って帰ってくるイメージだったのだがどうやらアイナは限度というモノを知らないらしい。数個程度ならまだしも、あの尋常じゃない量はもはや理解できない。
《どうしてこう目立つようなことばかりするんだろう》
最近は極力ポジティブ思考を心がけていた私だが、昨日の今日でこういうことをされるとネガティブ思考の極地である純度100%の殺意を抱かずにはいられなかった。
「ただいまー」
満足ホクホク顔のアイナがトテトテと嬉しそうにこちらに歩いてきた。
私たちの顔が視界に入っていないのか何も悪びれることもなく笑顔で自分の席に座るアイナ。無神経な笑顔のアイナにユアルはついにプルプルと怒りに震え始める。
《やっぱりココもまた私がフォローに入るしかないのかぁ》
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