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外国へ遊びに行こう
大迷宮に辿り着く
しおりを挟む「ここがエテーナか」
「ようやく着いたね」
黒髪の少年と白髪の少女は、目的地であるとある国へ辿り着いた。
大迷宮『アイヴァン』を有することで、大国にまで成長した国家である。
「たしか今の【勇者】君たちは、ヴァ―プルに帰っているんだっけ?」
「チルリが持ってきてくれた情報だから、たぶん間違いないよ。でも、その行った理由の方は誤情報だと思うよ」
「えっと……どんな理由だっけ?」
「魔族に寝返ったクラスメイトが、イム君という情報だよ。そもそも、ヴァ―プルに従っているわけじゃないんだから、前提が間違っているんだよね」
入口で審査を受け、無事中へ入った所で会話の続きを行う。
「迷宮を通じてだいぶ強くなったと思うけれど、それでもイム君には敵わないなぁ」
「どうして? 例の呪いがあるから?」
「いや、別に殺したくないとかそういう意識は、あくまで地球での僕の倫理観だからね。ソーラみたいにはできないけど、実際少しずつ忌避感は拭えているみたいだし」
「そうだねー、最近のユーシはこの私が認めるほど腕が上がっているよ」
少年の能力は簒奪の力。
殺せば殺すほど糧を手に入れ、そのすべてが少年の力となる。
すでに何度も取捨強化を行っており、その力は並大抵の強者を平伏せさせるモノとなっていた。
だが、そんな力に驕らず少年は初心や基本などを忘れずにいる。
仲間である少女たちにさまざまなことを学び、それらをもう一つの糧として得ることで少しずつ強くなっていった。
「そういえば、すぐに迷宮に行くの?」
「うーん、粘っているとユウキ君たちが戻ってきそうだから急ぎたいね。だけど、ここは大迷宮なんだ……何も準備をしないで行くのもどうかと思うんだよ。とりあえず、チルリの合流ぐらいは待つことにしよう」
「……まあ、それをユーシが望むのなら別にいいけどさ」
二人は宿を取ってから、再び街の中で情報収集を行う。
心優しき者である【勇者】ユウキにより、大迷宮の情報は少しずつ街の中へ広められていたからだ。
「ずいぶんと太っ腹みたいだね」
「だけど、全部完全公開だから旨味は少ないようになっている……本当の意味での冒険者からすれば、あんまり嬉しくないよね」
「あー、全部取られているもんね」
「大迷宮だからすぐに出るようになるとは思うけど、一番最初のいいアイテムは全部あの国が持っていっているだろうし」
ヴァ―プルの【勇者】として活動しているユウキの得た益は、すべてヴァ―プルが持っていく……そのことに誰も疑念を持っておらず、大半を献上していた。
「戦争かぁ……いつの時代も、人族がやることは変わらないね」
「僕たちの世界でも、戦争は有ったからね。特別この世界の人たちが争っているってことじゃなくて、人間という生物そのものが争いと共に進化と退化を繰り返しているんだよ」
「へぇー、けど魔法やスキルが無いのにそれでも戦うんだぁ」
「この世界は一騎当千って言葉が似合う場所だよね。レベルが高くてスキルが強ければ、独りでも国を落とせる。けど、それが無いからこそ僕たちは別の力──科学を使って力を手に入れたんだ。無いモノは創るのさ」
地球人は魔法という超常的な力に頼らず、己の手で自然法則を読み取ることで力を手に入れた──破壊に特化した力の数々。
「けどね、その大半がまず悪意なんだ。誰かとんでもない思想や奇才の持ち主が周りを鑑みずに生んだ力を、別の人が繋ぐんだ。安全なモノにして、技術を応用して、誰かを傷つけるんじゃなくて救えるようにしていく」
「攻撃魔法を回復魔法にするってこと?」
「あはは……その言い方だと説明しづらくなるかな? こっちの世界でもある物でたとえるなら、毒を薬にするってことだよ」
「あっ、それなら分かりやすい! 毒も免疫が付けば上手く利用できるもんね」
なんだか違う気がする、そう思いつつも少年は話を続ける。
「薬はその元となる病気や毒が有ってこそ、意味があるからね。何もない場所から突然毒に対する回復手段は生まれないよ」
「ふーん、それでチキューだとどんな物をそのカガクで創ったりしてたの?」
「空を飛んだり、戦略級魔法を仕草一つで使えるようになったり、どんな離れた場所からでも相手を倒せるようになったよ」
「一つ目はともかく、もう後は全部攻撃的なヤツだね。戦略級魔法が使えるようになるのも凄いけど、どんな場所からでも相手が倒せるなんて呪術みたいじゃん」
戦略級魔法とは、大国を滅ぼすことができるほど大規模かつ高火力の魔法のこと。
呪術とは、魔法とは異なる法則によって対象に負荷を与える現象のことだ。
少年がたとえたのは核兵器とGPSなのだが、その前提が無い状態で連想させたモノは殺伐としているようである意味正しくイコールで繋がるものだった。
閑話休題
「──うん、連絡がきた。先に大迷宮の在る場所へ行くみたいだから、僕たちも行って合流しよう」
「先に行ったんだ。まあ、それならそれで別にいいけど」
「ちょ、ちょっと! どうして腕を絡めてくるのさ!」
「いいじゃんいいじゃん、それくらい。ほらほら、さっさと行こうよ!」
抵抗できるがそれはせず、大人しく少女の誘導で大迷宮へ向かっていく。
その腕に感じる、柔らかな感触を堪能しながら。
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