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第25話 遠くとやり取り!?:神ノルキー視点
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どうして逃げてしまったのだ。
いや、わかる。理由は理解しているのだ。
ワタシから山まで逃げたと言うより、悪魔の取り乱し方に危機感を抱いて逃げて……撤退してきたのだ。そう、そうだが…………。
「ねえ! あれ絶対悪魔憑きだよ! アタシの仲間がやったんだよ!」
「…………」
「なに? その顔。疑ってるわけ?」
「……。悪魔憑きだって? そんなわけあるか」
「何を根拠にっ!」
グニグニとほほを引っ張ってくるが、今は考えたい。
悪魔は相手にするだけ時間の無駄だ。
それに、根拠については、同じ言葉をそっくりそのまま返してやりたいが、言って自覚するとは思えない。
おかしくなったり、精神に対し、なにかしらの悪いスキルの影響を受けている様子はなかった。ワタシが見れば能力が上下していることは一目でわかる。
当然のことが、あれは悪魔憑きではない。
そもそも、悪魔の能力が効かなかったことは、この悪魔が吐いていたはずだ。
つまり、耐性はあっても悪魔の影響ではない。悪魔がついているということで、あの人間が、ワタシまで巻き込んで視界を上書きできたわけではない。
「しかし、どう言う仕組みだ? 今までは単に視界や音など、その場の環境ごと、感覚に上書きしていただけだというのに……」
「だから、アタシたち悪魔の力だって言ってんでしょ! 恐れをなすがいいわ。今にアタシに隷属させて、ノルキーちゃんに負けを認めさせてあげるから」
「おー。怖い怖い」
「なにおー!」
「なら聞くが、貴様は同じ真似ができるのか? 悪魔憑きとしてあの人間をしゃべらせることが可能なのか?」
「できないですけどぉ!」
やはり、悪魔ならできるものではない。そもそも、目の前の悪魔が今までで一番力が強い。
力が効いている様子がないだけでなく、これまでの悪魔に対する頑丈さからも、あの人間が悪魔に抵抗があると考えていい。
ここまで考えれば、もう悪魔憑きなどというよくわからないことを考えても仕方がないとわかる。
そもそも、乗っ取った悪魔がいるのなら、今目の前にいる悪魔に対し接触してくるはずだろう。
「ふ、ふん! 負け惜しみね。ノルキーちゃんでも、アタシや誰かの場所を正確に知ることはできても、なにをしているかまではわからないでしょ? ましてや、なにを考えているかなんてわからない。そうでしょ?」
「貴様はどうなんだ?」
「派手じゃないから、からっきし。でも、あの人間は自らの視界を上書きできる。ノルキーちゃんより強いのが悔しいんでしょ!」
「…………」
悔しいが読み通り。
ワタシにできるのは位置の把握まで。わかったところで自分が向かわないとなにもできない。
どれだけ分析しても、あの人間の評価が上がるだけで真相に近づけていない。思い返せば、プラスの影響を受けているような感覚もあった。
その影響なのか、まるで、遠くの者と意思伝達ができているかのように見えた……。
「あくまで強がりを通すのね。でも、それが身を滅ぼすというものよ」
「そうかもな。だが、あれは、悪魔によって頭をおかしくされたのではない。これは確かだ」
「ええそうね。……、ええっ!?」
「まるで誰かと対話しているようだった。あれは独り言じゃないだろう」
「ちょっと待って! ただの独り言じゃなかったの!? やっと認めたんじゃないの!?」
あの人間が一人で話していることがそんなに嬉しかったのか、取り乱しすぎてよく観察していなかったらしい。
興奮気味にぶんぶんと体を揺らしてくる。
本当になにがしたいのだ。この悪魔は。
「やめないか」
「嘘。あのガキ。じゃあ、やっぱり悪魔憑きじゃないの!?」
「そうだと言っているだろう。……しかし、そうなると、本格的にワタシより上位の神の加護が加わっているのか?」
聞き耳でも立てていたのか、悪魔を見るとニヤッとした。
「加護って感じには見えなかったけどね?」
「なにを根拠に!」
いや、なんだかこんなやりとりさっきもしたな。
「ええい! いいんだ別に加護じゃなくとも。整理すると……」
「あのガキはアタシやノルキーちゃんにまで視界を上書きする能力がある」
「加えて、外部とやり取りすることも可能。おそらく、透明になっている誰かというよりも、その場にいない誰かとやり取りができる」
「悪魔なら許してあげようと思ったけど、やっぱりあのガキ気に入らないわ」
「多分、貴様も同じように思われてるぞ」
「なんでよ!」
こんな騒がしいヤツ、誰だって迷惑に思うだろう。
ワタシも早く抹消したいというのに。スキだらけでいながら攻撃だけは当たらないから厄介だ。
「ま、でも、態度は気に入らないけど、やっぱり能力は欲しくなったわ。あの力は人間が持つには規格外。いえ、誰が持っていても、その力は強力」
「……さて、人間に取り入るか。……うまく話せるだろうか」
やはり、近づいて見てしまうと、なんだか落ち着かなくなってしまった。
人間というのは、思っていた以上に魅力があるのか。それとも、あの力の影響なのか。
初めての感覚、スキルや技を始めてくらってから、意識にへばりつくように残っている。
「この悪魔にだけは渡してなるものか」
いや、わかる。理由は理解しているのだ。
ワタシから山まで逃げたと言うより、悪魔の取り乱し方に危機感を抱いて逃げて……撤退してきたのだ。そう、そうだが…………。
「ねえ! あれ絶対悪魔憑きだよ! アタシの仲間がやったんだよ!」
「…………」
「なに? その顔。疑ってるわけ?」
「……。悪魔憑きだって? そんなわけあるか」
「何を根拠にっ!」
グニグニとほほを引っ張ってくるが、今は考えたい。
悪魔は相手にするだけ時間の無駄だ。
それに、根拠については、同じ言葉をそっくりそのまま返してやりたいが、言って自覚するとは思えない。
おかしくなったり、精神に対し、なにかしらの悪いスキルの影響を受けている様子はなかった。ワタシが見れば能力が上下していることは一目でわかる。
当然のことが、あれは悪魔憑きではない。
そもそも、悪魔の能力が効かなかったことは、この悪魔が吐いていたはずだ。
つまり、耐性はあっても悪魔の影響ではない。悪魔がついているということで、あの人間が、ワタシまで巻き込んで視界を上書きできたわけではない。
「しかし、どう言う仕組みだ? 今までは単に視界や音など、その場の環境ごと、感覚に上書きしていただけだというのに……」
「だから、アタシたち悪魔の力だって言ってんでしょ! 恐れをなすがいいわ。今にアタシに隷属させて、ノルキーちゃんに負けを認めさせてあげるから」
「おー。怖い怖い」
「なにおー!」
「なら聞くが、貴様は同じ真似ができるのか? 悪魔憑きとしてあの人間をしゃべらせることが可能なのか?」
「できないですけどぉ!」
やはり、悪魔ならできるものではない。そもそも、目の前の悪魔が今までで一番力が強い。
力が効いている様子がないだけでなく、これまでの悪魔に対する頑丈さからも、あの人間が悪魔に抵抗があると考えていい。
ここまで考えれば、もう悪魔憑きなどというよくわからないことを考えても仕方がないとわかる。
そもそも、乗っ取った悪魔がいるのなら、今目の前にいる悪魔に対し接触してくるはずだろう。
「ふ、ふん! 負け惜しみね。ノルキーちゃんでも、アタシや誰かの場所を正確に知ることはできても、なにをしているかまではわからないでしょ? ましてや、なにを考えているかなんてわからない。そうでしょ?」
「貴様はどうなんだ?」
「派手じゃないから、からっきし。でも、あの人間は自らの視界を上書きできる。ノルキーちゃんより強いのが悔しいんでしょ!」
「…………」
悔しいが読み通り。
ワタシにできるのは位置の把握まで。わかったところで自分が向かわないとなにもできない。
どれだけ分析しても、あの人間の評価が上がるだけで真相に近づけていない。思い返せば、プラスの影響を受けているような感覚もあった。
その影響なのか、まるで、遠くの者と意思伝達ができているかのように見えた……。
「あくまで強がりを通すのね。でも、それが身を滅ぼすというものよ」
「そうかもな。だが、あれは、悪魔によって頭をおかしくされたのではない。これは確かだ」
「ええそうね。……、ええっ!?」
「まるで誰かと対話しているようだった。あれは独り言じゃないだろう」
「ちょっと待って! ただの独り言じゃなかったの!? やっと認めたんじゃないの!?」
あの人間が一人で話していることがそんなに嬉しかったのか、取り乱しすぎてよく観察していなかったらしい。
興奮気味にぶんぶんと体を揺らしてくる。
本当になにがしたいのだ。この悪魔は。
「やめないか」
「嘘。あのガキ。じゃあ、やっぱり悪魔憑きじゃないの!?」
「そうだと言っているだろう。……しかし、そうなると、本格的にワタシより上位の神の加護が加わっているのか?」
聞き耳でも立てていたのか、悪魔を見るとニヤッとした。
「加護って感じには見えなかったけどね?」
「なにを根拠に!」
いや、なんだかこんなやりとりさっきもしたな。
「ええい! いいんだ別に加護じゃなくとも。整理すると……」
「あのガキはアタシやノルキーちゃんにまで視界を上書きする能力がある」
「加えて、外部とやり取りすることも可能。おそらく、透明になっている誰かというよりも、その場にいない誰かとやり取りができる」
「悪魔なら許してあげようと思ったけど、やっぱりあのガキ気に入らないわ」
「多分、貴様も同じように思われてるぞ」
「なんでよ!」
こんな騒がしいヤツ、誰だって迷惑に思うだろう。
ワタシも早く抹消したいというのに。スキだらけでいながら攻撃だけは当たらないから厄介だ。
「ま、でも、態度は気に入らないけど、やっぱり能力は欲しくなったわ。あの力は人間が持つには規格外。いえ、誰が持っていても、その力は強力」
「……さて、人間に取り入るか。……うまく話せるだろうか」
やはり、近づいて見てしまうと、なんだか落ち着かなくなってしまった。
人間というのは、思っていた以上に魅力があるのか。それとも、あの力の影響なのか。
初めての感覚、スキルや技を始めてくらってから、意識にへばりつくように残っている。
「この悪魔にだけは渡してなるものか」
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