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第43話 オーク肉の価値!
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「戻りました。…………遠い……」
なんでだろう、姫様の部屋が遠くなっている気がする。
廊下までお金で埋め尽くされている。
お金で埋め尽くされている!
「て、『テレポート』! ダメ、全然減りません……」
「セスティーナ。なんですかこれ。出る前よりひどくなってますよ!」
「予想外でした! 安易にリストーマ様に言った言葉が裏目に出てしまったようです」
「僕に言った言葉……?」
常時お金は送れるようにってやつか!
「え、これ、姫様の計画通りじゃないんですか!?」
「違います違います! そんなことありません。先ほどのオークの件から止まる様子がなく……。ここまでとは予想できませんでした。申し訳ありません」
「い、いや。セスティーナが謝ることじゃないですよ。これは、僕が近くの方がいいと思ったからで……」
言ってるそばから、姫様がテレポートで移動させた分以上のお金が流れてくる。
どうやら、オークの肉というのは、姫様に聞くまでもなく希少で喉から手が出るほどのものみたいだ。
「ひ、ひとまず転送先を変えましょう。リストーマ様のために宝物庫を用意していただきました。そちらにお願いします」
「場所は?」
「わ、わたしが案内します」
「じゃあ、セスティーナちゃんは、あたしが見てるね!」
「ありがとうございます。ここは私たちが食い止めておきます」
「お願いします。ニュードラも」
「はい」
「任せて!」
「行きましょう」
「うん」
必要ないとか言ってる場合じゃない。
城内がお金まみれでは本当に色々な人が生活に不便することになる。
これは、一刻を争う事態だ。
「ここです。今あるのは、セスティーナさんがすでに送っておいたリストーマさんのお金です」
「でも、これだけの空きスペースなら大丈夫そうだね」
僕のいた屋敷ほどの広さはありそうだ。
特に場所のこだわりはない。とにかく、この宝物庫の中に。
「「うわあああああ!」」
転移先を移動させた途端、お金が滝のように降ってきた。
慌てて出たから量はわからないけど、危うく押しつぶされるところだった。
「なんですかあれ……」
「閉まった?」
「はい。しかし、ここを埋め尽くすのも時間の問題ですね」
「そう、だね……」
姫様の部屋も僕が過ごしてきた場所と比べれば広いのに、それが埋め尽くされるほどのお金。
そして、それより広い空間でも波のように押し寄せてくるような量のお金。
「急いで姫様のところに戻らないと」
「そうですね」
二人が心配だ。
「セスティーナ!」
「り、リストーマ様……」
「……ひとつもなくなっちゃったよぉ」
「それは大丈夫。お疲れ様です、セスティーナ」
「はい。これで、一安心ですね」
「ニュードラもありがとね」
「うん!」
しかし、一安心ではあるけど、どうなるのやらという気持ちもある。
「そうです。どうしてこんなことになったんですか? セスティーナじゃないとなると、本当に……」
「はい。みなさんのリストーマ様を応援したい気持ち、あとは、オーク肉がほしい気持ちでしょうね」
「そんなにですか? もしかして、オーク肉はただ食べられるだけじゃない、とか?」
「いえ、オーク肉はとても美味しいと言われ、高額で取引されているただのお肉です。そのため、取引の際にひいきしてほしくて、という方も一部にいたのでしょう。予想外の事態でしたが、お金の管理を任せていただいていたのにこんなことになって申し訳ないです」
「本当に気にしないでください。セスティーナのせいじゃありませんから」
「ありがとうございます」
でも、びっくりした。
そんなに大量にお金を使ってもほしがるほどのものなんだ、オーク肉って。
けどそれって、今朝の分は僕に対してだけってことか……?
「それで、そのオーク肉はどうされました?」
「フロニアさんたちに預けました」
結局オーク肉は、状態がいいことから競売にかけられたそう。
さらに報酬として、競売での売り上げの一部が僕のところに入ってくるらしい。
ちょっと頭が痛くなってきた。
「僕がやってることは、あんなにお金がもらえるほどのことだったのかな……?」
「ふふっ。それだけのことはしていますよ」
「そうですねぇ。思い返せばオークは血も美味しかった気がします。ただ、わたしたちでは力不足で、一度しかその味を味わえませんでしたけど……」
「じゅるり……」
どうやら、僕だけが知らなかっただけで、オークの肉というのは、それほどまでに色々な人々を魅了するものらしい。
戦った僕としては、すぐに食べるような気持ちにはなれないけど、誰かが美味しく食べてくれるならそれでいいか。
「そうです。オーク肉は売られてしまったので諦めるしかありませんが、お金については使ってみた方がよろしいかと」
「でも、僕、お金について知りませんし」
「だからですよ。お金について知るために使ってみるんです」
「知るために使う……。でも、僕がですか?」
「はい!」
最低限は使ってきたけど、姫様が言ってるのはそういうことじゃないんだろうな。
そう考えると、あまり使ってこなかった僕にうまく使えるのかな?
「リストーマ様がお給金をどう使うかはリストーマ様の自由です。ですが、もう少し、お勉強してみませんか?」
「勉強……。そうですね」
「と言いつつ。本当は、あの時できなかったことをしたいだけなのですけどね」
「なるほど!」
そうだ。そういえば姫様とやろうとしていてできなかったことがあった。
いつか、街を歩いていたあの時のこと。僕だけが食べてしまったパンのこと。
せっかく姫様から提案してくださっているのだ。この機会を逃すわけにはいかない。
「僕にお金の使い道を少し教えてください」
なんでだろう、姫様の部屋が遠くなっている気がする。
廊下までお金で埋め尽くされている。
お金で埋め尽くされている!
「て、『テレポート』! ダメ、全然減りません……」
「セスティーナ。なんですかこれ。出る前よりひどくなってますよ!」
「予想外でした! 安易にリストーマ様に言った言葉が裏目に出てしまったようです」
「僕に言った言葉……?」
常時お金は送れるようにってやつか!
「え、これ、姫様の計画通りじゃないんですか!?」
「違います違います! そんなことありません。先ほどのオークの件から止まる様子がなく……。ここまでとは予想できませんでした。申し訳ありません」
「い、いや。セスティーナが謝ることじゃないですよ。これは、僕が近くの方がいいと思ったからで……」
言ってるそばから、姫様がテレポートで移動させた分以上のお金が流れてくる。
どうやら、オークの肉というのは、姫様に聞くまでもなく希少で喉から手が出るほどのものみたいだ。
「ひ、ひとまず転送先を変えましょう。リストーマ様のために宝物庫を用意していただきました。そちらにお願いします」
「場所は?」
「わ、わたしが案内します」
「じゃあ、セスティーナちゃんは、あたしが見てるね!」
「ありがとうございます。ここは私たちが食い止めておきます」
「お願いします。ニュードラも」
「はい」
「任せて!」
「行きましょう」
「うん」
必要ないとか言ってる場合じゃない。
城内がお金まみれでは本当に色々な人が生活に不便することになる。
これは、一刻を争う事態だ。
「ここです。今あるのは、セスティーナさんがすでに送っておいたリストーマさんのお金です」
「でも、これだけの空きスペースなら大丈夫そうだね」
僕のいた屋敷ほどの広さはありそうだ。
特に場所のこだわりはない。とにかく、この宝物庫の中に。
「「うわあああああ!」」
転移先を移動させた途端、お金が滝のように降ってきた。
慌てて出たから量はわからないけど、危うく押しつぶされるところだった。
「なんですかあれ……」
「閉まった?」
「はい。しかし、ここを埋め尽くすのも時間の問題ですね」
「そう、だね……」
姫様の部屋も僕が過ごしてきた場所と比べれば広いのに、それが埋め尽くされるほどのお金。
そして、それより広い空間でも波のように押し寄せてくるような量のお金。
「急いで姫様のところに戻らないと」
「そうですね」
二人が心配だ。
「セスティーナ!」
「り、リストーマ様……」
「……ひとつもなくなっちゃったよぉ」
「それは大丈夫。お疲れ様です、セスティーナ」
「はい。これで、一安心ですね」
「ニュードラもありがとね」
「うん!」
しかし、一安心ではあるけど、どうなるのやらという気持ちもある。
「そうです。どうしてこんなことになったんですか? セスティーナじゃないとなると、本当に……」
「はい。みなさんのリストーマ様を応援したい気持ち、あとは、オーク肉がほしい気持ちでしょうね」
「そんなにですか? もしかして、オーク肉はただ食べられるだけじゃない、とか?」
「いえ、オーク肉はとても美味しいと言われ、高額で取引されているただのお肉です。そのため、取引の際にひいきしてほしくて、という方も一部にいたのでしょう。予想外の事態でしたが、お金の管理を任せていただいていたのにこんなことになって申し訳ないです」
「本当に気にしないでください。セスティーナのせいじゃありませんから」
「ありがとうございます」
でも、びっくりした。
そんなに大量にお金を使ってもほしがるほどのものなんだ、オーク肉って。
けどそれって、今朝の分は僕に対してだけってことか……?
「それで、そのオーク肉はどうされました?」
「フロニアさんたちに預けました」
結局オーク肉は、状態がいいことから競売にかけられたそう。
さらに報酬として、競売での売り上げの一部が僕のところに入ってくるらしい。
ちょっと頭が痛くなってきた。
「僕がやってることは、あんなにお金がもらえるほどのことだったのかな……?」
「ふふっ。それだけのことはしていますよ」
「そうですねぇ。思い返せばオークは血も美味しかった気がします。ただ、わたしたちでは力不足で、一度しかその味を味わえませんでしたけど……」
「じゅるり……」
どうやら、僕だけが知らなかっただけで、オークの肉というのは、それほどまでに色々な人々を魅了するものらしい。
戦った僕としては、すぐに食べるような気持ちにはなれないけど、誰かが美味しく食べてくれるならそれでいいか。
「そうです。オーク肉は売られてしまったので諦めるしかありませんが、お金については使ってみた方がよろしいかと」
「でも、僕、お金について知りませんし」
「だからですよ。お金について知るために使ってみるんです」
「知るために使う……。でも、僕がですか?」
「はい!」
最低限は使ってきたけど、姫様が言ってるのはそういうことじゃないんだろうな。
そう考えると、あまり使ってこなかった僕にうまく使えるのかな?
「リストーマ様がお給金をどう使うかはリストーマ様の自由です。ですが、もう少し、お勉強してみませんか?」
「勉強……。そうですね」
「と言いつつ。本当は、あの時できなかったことをしたいだけなのですけどね」
「なるほど!」
そうだ。そういえば姫様とやろうとしていてできなかったことがあった。
いつか、街を歩いていたあの時のこと。僕だけが食べてしまったパンのこと。
せっかく姫様から提案してくださっているのだ。この機会を逃すわけにはいかない。
「僕にお金の使い道を少し教えてください」
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