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第69話 終結
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「うわあああ、ああ、あああああ!」
まさか、自分のしてきた行いのせいで苦しむ事になるとは、剣聖も考えはしなかっただろう。
ただの妨害だと思っていた僕のスキルも、思えば色々な使い方ができた。
工夫次第で剣聖にだって勝利する事もできた。
「くっ……」
流石に今日は初めての事を試しすぎたらしい。
一時的にしろ、僕も同じだけ脳内で情報を再生していたからから、頭が熱い。
「クラクラするなぁ。でも、周りの人も大丈夫そうだし、本当に良かった……」
「リストーマ様!」
「……セスティーナ」
「お疲れ様です。本当に、本当によくやってくださいました」
「はは。ありがとうございます。でも、僕は自分にできる事をやったまでですよ」
「こんな時くらい謙遜は必要ないんですよ?」
「ありがとうございます」
真っ先に姫様にハグしてもらえるなんて、本当にやって良かった。
でも、まずいなぁ。姫様にハグされてから体に力が入らない。自分の足でも立てなくなるなんて。
「フロニア様。そちらは?」
「白と黒の女性から、使うが良いと言伝とともに預かって参りました」
「いただきます。リストーマ様。まだ意識はありますか?」
「はい。なんですか?」
声は聞こえるけど、ちょっと視界がぼやけてきた。
そういえば、前にもこんな事あったような……。
「リストーマ様、口を開けてください。入った物は飲み込んでくださいね?」
「うおっ!」
どろっとした液体が口に入ってきた。
今は味も分からない。でも、姫様に言われた通り覚悟して飲み込んだ。
途端、体に力が入る。
さっきまでフラフラだったのに、意識がはっきりした。
なんだこれ。すごい。
「どうです?」
「今までで一番元気ですよ! すごい。何があったらこんなに元気になるのか知りたいくらいです」
「良かった!」
「せ、セスティーナ……」
意識がはっきりすると、改めて姫様にハグされている事が気になる。
いや、公衆の面前でハグされてるって、よく考えたら恥ずかしい。
「もう! 心配かけちゃダメ!」
「そうですよ。リストーマさんはいつも自分を犠牲にするんですから」
「ニュードラ。サーピィまで。ケガはいいの?」
「そうやって自分より他人の事を……。はい。おかげさまでもう大丈夫です」
「フラータも。助けてくれてありがとう」
「うん。皆、無事で良かった!」
心があったかい。
僕にも今は仲間がいるんだ。
死にかけた事もあったけど、それでも今まで生きてこられた。
本当に、良かった。
「あちらは我々の手でなんとかさせていただきます。これまでの事から野放しという訳にもいきませんから」
「そうですね。でも、それでいいんだと思います。考える時間が必要でしょうから」
まさか、自分のしてきた行いのせいで苦しむ事になるとは、剣聖も考えはしなかっただろう。
ただの妨害だと思っていた僕のスキルも、思えば色々な使い方ができた。
工夫次第で剣聖にだって勝利する事もできた。
「くっ……」
流石に今日は初めての事を試しすぎたらしい。
一時的にしろ、僕も同じだけ脳内で情報を再生していたからから、頭が熱い。
「クラクラするなぁ。でも、周りの人も大丈夫そうだし、本当に良かった……」
「リストーマ様!」
「……セスティーナ」
「お疲れ様です。本当に、本当によくやってくださいました」
「はは。ありがとうございます。でも、僕は自分にできる事をやったまでですよ」
「こんな時くらい謙遜は必要ないんですよ?」
「ありがとうございます」
真っ先に姫様にハグしてもらえるなんて、本当にやって良かった。
でも、まずいなぁ。姫様にハグされてから体に力が入らない。自分の足でも立てなくなるなんて。
「フロニア様。そちらは?」
「白と黒の女性から、使うが良いと言伝とともに預かって参りました」
「いただきます。リストーマ様。まだ意識はありますか?」
「はい。なんですか?」
声は聞こえるけど、ちょっと視界がぼやけてきた。
そういえば、前にもこんな事あったような……。
「リストーマ様、口を開けてください。入った物は飲み込んでくださいね?」
「うおっ!」
どろっとした液体が口に入ってきた。
今は味も分からない。でも、姫様に言われた通り覚悟して飲み込んだ。
途端、体に力が入る。
さっきまでフラフラだったのに、意識がはっきりした。
なんだこれ。すごい。
「どうです?」
「今までで一番元気ですよ! すごい。何があったらこんなに元気になるのか知りたいくらいです」
「良かった!」
「せ、セスティーナ……」
意識がはっきりすると、改めて姫様にハグされている事が気になる。
いや、公衆の面前でハグされてるって、よく考えたら恥ずかしい。
「もう! 心配かけちゃダメ!」
「そうですよ。リストーマさんはいつも自分を犠牲にするんですから」
「ニュードラ。サーピィまで。ケガはいいの?」
「そうやって自分より他人の事を……。はい。おかげさまでもう大丈夫です」
「フラータも。助けてくれてありがとう」
「うん。皆、無事で良かった!」
心があったかい。
僕にも今は仲間がいるんだ。
死にかけた事もあったけど、それでも今まで生きてこられた。
本当に、良かった。
「あちらは我々の手でなんとかさせていただきます。これまでの事から野放しという訳にもいきませんから」
「そうですね。でも、それでいいんだと思います。考える時間が必要でしょうから」
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