初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ルイス

彼女の幸せの為に

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彼女は実家に戻り、倒れて以来サミュエル兄上との面会を拒否していた。 

当たり前だ。本当に最低なことをこの期に及んでしでかすサミュエル兄上に私でさえ怒りを感じたのだから。

何度も言うが、吐いて捨てるほどの男共が、彼女を生涯幸せにしたいと願うほど、彼女は素晴らしい女性なのに。 

しかし連日彼女に面会を求めてハーゲンシュタイン邸に通っていた兄上が、やっとのことで彼女から許しを得たと聞いた時、もう許さなくてもよかったのではと本気で思ってしまった。 

かわりに私が彼女も子供たちも絶対に幸せにすることが出来たのにと、そんなことを考えた私は最低な人間なのだろうか。 

城に戻ってきた彼女をサミュエル兄上は周囲が赤面するほど溺愛し、私の心配をよそに彼女は再び新たな命をその身に宿した。 

その後、ウィリアム兄上の毒殺を指示したのがあの女だと明らかになったとき、私はそれほど驚きはしなかった。 

そしてそんな女の仕業で命を亡くしてしまったウィリアム兄上を心の底から哀れに思った。 

それからついにあの女の刑が執行され、もうこれ以上ローズ義姉上を傷つけるものがいなくなったと思うとせいせいすると同時に、兄の冥福を祈った。 




そしてあれから五年の歳月が過ぎた。 

「父上―母上ー!」 

可愛い四人の甥っ子と姪っ子たちに手をひかれる私は、王宮の庭園を仲良く眺めているローズ義姉さんとサミュエル兄上に向けて足を進めた。 

「兄上、また義姉さんを抱き上げて歩いているのですか?今回も医者にはほどほどにするようにいわれていませんでしたか?」 

「ルイス、しようがないだろ。身重のローズが自らこんな場所を歩いて転んだらどうするんだ…。」 

そう言って、ローズ義姉さんに視線を向けた兄上の顔は惚けており、子どもたちから呆れた視線を向けられようが、我関せずを貫く兄上に彼女は困った人ね、なんて言いながらも幸せそうに微笑んでいた。

いつも国王として毅然としているサミュエル兄上しか知らない者が見たら、さぞかし驚くだろうなと容易に想像ができる光景だった。 

我慢が出来なくなったのか、腕の中のローズ義姉さんに突然キスをした兄上は彼女をぎゅっと愛しくてたまらないといった感じで抱きしめた。 
 

ああ…幸せそうに微笑む彼女に寄り添えるサミュエル兄上が心底羨ましい…。 

もうこれ以上、私なんかに付け入る隙を与えないでくれと願いながら、今度こそ彼女の幸せの為に、陰ながら支えていこうと改めて心に誓った。 


この気持ちを心に秘めたままで。 
 

ウィリアム兄上がそうであったようにーーーー。 



【完】

これまで読んでいただきありがとうございました。
 
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